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列子 / 説符篇

昔齊人有欲金者、清旦衣冠而之市、適鬻金者之所、因攫其金而去。吏捕得之、問曰:「人皆在焉、子攫人之金何?」對曰:「取金之時、不見人、徒見金。」

新字:昔斉人有欲金者、清旦衣冠而之市、適鬻金者之所、因攫其金而去。吏捕得之、問曰:「人皆在焉、子攫人之金何?」対曰:「取金之時、不見人、徒見金。」

書き下し

昔齊人に金を欲する者有り。清旦に衣冠して市に之く。鬻金者の所に適き、因りて其の金を攫みて去る。吏捕らえて之を得たり。問いて曰く、人皆な焉に在り。子人の金を攫むは何ぞや、と。對えて曰く、金を取るの時、人を見ず、徒だ金を見るのみ、と。

現代語訳

昔、斉の人で金を欲しがる者がいた。夜明けに衣冠を整えて市場へ行った。金を売る店に立ち寄り、そこで金をつかんで立ち去った。役人が捕らえて取り押さえ、尋ねた。「人がみなそこにいたではないか。あなたが人の金をつかんだのはなぜか」。男は答えた。「金を取るとき、人は見えなかった。ただ金だけが見えた」。

解説

『列子』全八篇の最後がこの話です。白昼、衣冠を整えて、大勢の目の前で金をつかんだ。捕まってからの答えが、この書の締めくくりにふさわしい。人は見えず、金だけが見えた。前の段の「顎さえ忘れる」と同じ構造で、欲しいものに心が向いた瞬間、他のすべてが視界から消える。しかも彼は隠れてもいません。見えていないのだから、隠す必要も感じなかった。企業の不正が、なぜあれほど露骨な形で行われるのかを、この一言が説明しています。悪意ではなく、視野の話です。列子はこの一行で書を閉じました。

この章句が説くこと

清旦に衣冠して市に之く其の金を攫みて去る金を取るの時人を見ず徒だ金を見るのみ

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