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列子 / 説符篇

齊有貧者、常乞於城市。城市患其亟也、衆莫之與。遂適田氏之廄、從馬醫作役而假食。郭中人戲之曰:「從馬醫而食、不以辱乎?」乞兒曰:「天下之辱莫過於乞。乞猶不辱、豈辱馬醫哉?」

新字:斉有貧者、常乞於城市。城市患其亟也、衆莫之与。遂適田氏之廄、従馬医作役而仮食。郭中人戯之曰:「従馬医而食、不以辱乎?」乞児曰:「天下之辱莫過於乞。乞猶不辱、豈辱馬医哉?」

書き下し

齊に貧者有り、常に城市に乞う。城市其の亟なるを患い、衆之に與うる莫し。遂に田氏の廄に適き、馬醫に從いて役を作して食を假る。郭中の人之を戲れて曰く、馬醫に從いて食らう、以て辱ならずや、と。乞兒曰く、天下の辱は乞に過ぐる莫し。乞すら猶お辱ならず。豈に馬醫を辱としめんや、と。

現代語訳

斉に貧しい者がいて、いつも町で物乞いをしていた。町の人はその頻繁さを迷惑がり、誰も与えなくなった。そこで田氏の厩へ行き、馬医のもとで働いて食べさせてもらった。町なかの人がからかって言った。「馬医について食べさせてもらうとは、恥ずかしくないのか」。物乞いの男は言った。「天下の恥で、物乞いにまさるものはない。物乞いすら恥ではなかった。どうして馬医を恥としよう」。

解説

物乞いより下の仕事はない、だから何も恥ずかしくない。開き直りのようですが、論理としては正確です。彼はすでに底を経験しているので、そこから上がる行為はすべて恥ではない。しかも彼は物乞いをやめて働きに出ています。からかった側は、働くことを恥だと言っている。どちらが正しいかは明らかです。仕事の貴賤で人を測る癖への、静かな反論として読めます。そして「乞すら猶お辱ならず」――物乞いですら恥ではなかった、と言い切る。底を知っている人の強さは、失うものが無いことではなく、恥の基準を自分で持っていることにあります。

この章句が説くこと

馬医に従いて役を作して食を仮る天下の辱は乞に過ぐる莫し豈に馬医を辱としめんや

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