列子 / 説符篇
人有枯梧樹者、其鄰父言枯梧之樹不祥、其鄰人遽而伐之。鄰人父因請以爲薪。其人乃不悅、曰:「鄰人之父徒欲爲薪而教吾伐之也。與我鄰、若此其險、豈可哉?」
新字:人有枯梧樹者、其鄰父言枯梧之樹不祥、其鄰人遽而伐之。鄰人父因請以為薪。其人乃不悅、曰:「鄰人之父徒欲為薪而教吾伐之也。与我鄰、若此其険、豈可哉?」
書き下し
人に枯梧の樹有る者あり。其の鄰の父枯梧の樹は不祥なりと言う。其の鄰人遽かにして之を伐る。鄰人の父因りて請いて以て薪と爲す。其の人乃ち悅ばずして曰く、鄰人の父は徒だ薪と爲さんと欲して吾に之を伐らしめしなり。我と鄰たりて、此くの若く其れ險なるは、豈に可ならんや、と。
現代語訳
ある人の家に枯れた桐の木があった。隣の老人が、枯れた桐の木は不吉だと言った。その人はあわてて切り倒した。すると隣の老人が、それを薪にくれと頼んだ。その人は不愉快になって言った。「隣の老人は、ただ薪にしたくて私に切らせたのだ。私の隣人でありながら、これほど腹黒いとは、あんまりではないか」。
解説
助言のあとに利益を受け取ると、助言そのものが疑われる。老人は本当に不吉だと思っていたのかもしれませんし、薪が欲しかったのかもしれません。分かりません。しかし順序が悪かった。切らせて、そのあとで薪を求めた。実務でも同じ構図が絶えず起きます。提案した側が、その提案で利益を得る立場にあるとき、提案の中身がどれほど正しくても、動機を疑われます。だから助言と利益を切り離すか、切り離せないなら先に開示するしかない。この老人は、どちらもしませんでした。
この章句が説くこと
枯梧の樹は不祥なり鄰人の父因りて請いて以て薪と為す此くの若く其れ険なるは豈に可ならんや
関連する章句
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呂氏春秋・去宥③人の人と鄰する者有り。枯れたる梧樹有り。其の鄰の父、梧樹の善からざるを言うや、鄰人遽に之を伐る。鄰の父因りて請いて以て薪と為す。其の人悦ばずして曰く、「鄰者此くの若く其れ險なり。豈に之が鄰為る可けんや。」此れ宥せらるる所有るなり。夫れ請いて以て薪と為すと請わざるとは、此を以て枯れたる梧樹の善きと善からざるとを疑う可からざるなり。齊人に金を得んと欲する者有り。清旦、衣冠を被り、金を鬻ぐ者の所に往き、人の金を操るを見て、攫みて之を奪う。吏搏えて之を束縛し、問いて曰く、「人皆焉に在り。子、人の金を攫めるは、何の故ぞ。」吏に對えて曰く、「殊に人を見ず、徒だ金を見るのみ。」此れ真に大いに宥せらるる所有るなり。夫れ人宥せらるる所有る者は、固より晝を以て昏と為し、白を以て黑と為し、堯を以て桀と為す。宥の敗を為すこと亦た大なり。亡國の主は、其れ皆甚だ宥せらるる所有るか。故に凡そ人は必ず宥を別ちて然る後知る。宥を別てば則ち能く其の天を全うす。
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