列子 / 湯問篇
王以爲實人也、與盛姬內御並觀之。技將終、倡者瞬其目而招王之左右侍妾。王大怒、立欲誅偃師。偃師大懾、立剖散倡者以示王、皆傅會革、木、膠、漆、白、黑、丹、青之所爲。王諦料之、內則肝、膽、心、肺、脾、腎、腸、胃、外則筋骨、支節、皮毛、齒髮、皆假物也、而無不畢具者、合會復如初見。
新字:王以為実人也、与盛姬内御並観之。技将終、倡者瞬其目而招王之左右侍妾。王大怒、立欲誅偃師。偃師大懾、立剖散倡者以示王、皆傅会革、木、膠、漆、白、黒、丹、青之所為。王諦料之、内則肝、胆、心、肺、脾、腎、腸、胃、外則筋骨、支節、皮毛、齒髪、皆仮物也、而無不畢具者、合会復如初見。
書き下し
王以て實の人なりと爲し、盛姬・内御と並びて之を觀る。技將に終わらんとして、倡者其の目を瞬きて王の左右の侍妾を招く。王大いに怒り、立ちどころに偃師を誅せんと欲す。偃師大いに懾れ、立ちどころに倡者を剖散して以て王に示す。皆な革・木・膠・漆・白・黑・丹・青を傅會して爲る所なり。王諦らかに之を料るに、内は則ち肝・膽・心・肺・脾・腎・腸・胃、外は則ち筋骨・支節・皮毛・齒髮、皆な假物なり。而も畢く具わらざる無き者なり。合會すれば復た初めて見しが如し。
現代語訳
王はそれを本物の人間だと思い、寵姫の盛姫や奥向きの女官たちと並んで見物した。芸が終わろうとするころ、その芸人が目配せをして、王のそばの侍女たちを誘った。王は激怒し、その場で偃師を処刑しようとした。偃師はひどく恐れ、その場で芸人を切り開いて解体し、王に見せた。すべて革と木と膠と漆、白・黒・朱・青の顔料を継ぎ合わせて作ったものであった。王が詳しく調べてみると、内には肝・胆・心・肺・脾・腎・腸・胃があり、外には筋骨・関節・皮膚と毛・歯と髪があり、どれ一つ欠けているものがない。組み立て直すと、また最初に見たときのとおりになった。
解説
人形が目配せをした、それだけで王は作った人間を殺そうとしました。理由は嫉妬です。技術の是非ではありません。偃師の対応が的確でした。弁明せず、その場で解体して中身を見せた。これは革と木と膠でできています、と。作品の完璧さを主張するのではなく、作品が人でないことを証明した。危機のときに何を示すかの判断です。しかも解体して見せたあと、組み立て直すとまた元どおりになった。壊して見せられる、そして戻せる。この二つが揃っていたから、彼は生き延びました。自分の作ったものを、必要なときに分解して説明できるかどうかは、技術者にとって今も同じ問題です。
この章句が説くこと
倡者其の目を瞬きて侍妾を招く王大いに怒る革木膠漆を傅会して為る所なり合会すれば復た初めの如し
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