列子 / 周穆王篇
周穆王時、西極之國有化人來、入水火、貫金石、反山川、移城邑、乘虛不墜、觸實不硋。千變萬化、不可窮極。既已變物之形、又且易人之慮。
新字:周穆王時、西極之国有化人来、入水火、貫金石、反山川、移城邑、乗虚不墜、触実不硋。千変万化、不可窮極。既已変物之形、又且易人之慮。
書き下し
周の穆王の時、西極の國に化人有り來たる。水火に入り、金石を貫き、山川を反し、城邑を移す。虛に乘りて墜ちず、實に觸れて硋がず。千變萬化、窮極すべからず。既已に物の形を變じ、又た且つ人の慮を易う。
現代語訳
周の穆王の時代に、西の果ての国から幻術を使う人がやって来た。水にも火にも入り、金や石を貫き、山や川をひっくり返し、都市を移した。何もない空に乗っても落ちず、実体に触れてもさえぎられない。千変万化して、きわめ尽くすことができない。すでに物の形を変えたうえに、さらに人の心の思いまで変えてしまった。
解説
物の形を変えるだけでも十分に驚異ですが、この幻術使いの本領は最後の一行にあります。人の思いのほうを変えた。周穆王篇はここから、夢と現実の区別が溶けていく長い物語に入りますが、その入口で「変えられるのは外側だけではない」と宣言しています。実務でこれは他人事ではありません。数字や事実を動かさなくても、人の受け取り方を動かせば結果は変わる。広告も、社内の説明も、株価の説明資料も、そこに立っています。技術として持つ以上、自分の思いが誰かに変えられている可能性も同時に引き受けることになります。この後の穆王が、まさにそれを体験します。
この章句が説くこと
化人水火に入り金石を貫く既已に物の形を変じ又た人の慮を易う
関連する章句
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『列子』周穆王篇此に由りて穆王自失する者三月にして復す。更めて化人に問う。化人曰く、吾王と神遊せるなり。形奚ぞ動かんや。且つ曩の居る所は、奚ぞ王の宮に異ならん。曩の游びし所は、奚ぞ王の圃に異ならん。王は閒かに恆に有り、疑らくは蹔く亡きのみ。變化の極み、徐疾の間、盡く模すべけんや、と。王大いに悅ぶ。
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