列子 / 湯問篇
南國之人祝髮而裸、北國之人鞨巾而裘、中國之人冠冕而裳。九土所資、或農或商、或田或漁、如冬裘夏葛、水舟陸車。默而得之、性而成之。
新字:南国之人祝髪而裸、北国之人鞨巾而裘、中国之人冠冕而裳。九土所資、或農或商、或田或漁、如冬裘夏葛、水舟陸車。黙而得之、性而成之。
書き下し
南國の人は髮を祝りて裸なり。北國の人は巾を鞨きて裘たり。中國の人は冠冕して裳す。九土の資る所、或いは農し或いは商し、或いは田し或いは漁す。冬の裘・夏の葛、水の舟・陸の車の如し。默して之を得、性として之を成す。
現代語訳
南の国の人は髪を短く切って裸である。北の国の人は頭巾をかぶり皮衣を着る。中原の人は冠をかぶり裳をつける。九つの土地でよりどころとするものも、あるいは農、あるいは商、あるいは狩、あるいは漁である。冬の皮衣と夏の葛布、水の舟と陸の車のようなものだ。黙っていてもそれを得、生まれつきのこととしてそれを成している。
解説
服装も生業も、土地ごとに違う。それを列子は優劣ではなく、冬の皮衣と夏の葛布、水の舟と陸の車として並べます。適応の結果であって、選択の優劣ではない。そして「默して之を得、性として之を成す」――誰に教わるでもなく身につき、生まれつきのようになっている。ここが要点です。土地に合った振る舞いは、意識せずに身につくので、当人にはそれが「当たり前」に見えます。他社や他国のやり方を見て違和感を持つとき、それはたいてい優劣ではなく、こちらの当たり前が土地の産物だという話です。次の段で、列子はこの原理をずっと極端な例に当てはめます。
この章句が説くこと
南国の人は髪を祝りて裸なり冬の裘夏の葛水の舟陸の車黙して之を得性として之を成す
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