列子 / 湯問篇
土氣和、亡札厲。人性婉而從物、不競不爭、柔心而弱骨、不驕不忌、長幼儕居、不君不臣、男女雜游、不媒不聘、緣水而居、不耕不稼、土氣溫適、不織不衣、百年而死、不夭不病。其民孳阜亡數、有喜樂、亡衰老哀苦。其俗好聲、相攜而迭謠、終日不輟音。飢惓則飲神瀵、力志和平。過則醉、經旬乃醒。沐浴神瀵、膚色脂澤、香氣經旬乃歇。
新字:土気和、亡札厲。人性婉而従物、不競不争、柔心而弱骨、不驕不忌、長幼儕居、不君不臣、男女雑游、不媒不聘、縁水而居、不耕不稼、土気温適、不織不衣、百年而死、不夭不病。其民孳阜亡数、有喜楽、亡衰老哀苦。其俗好声、相攜而迭謡、終日不輟音。飢惓則飲神瀵、力志和平。過則酔、経旬乃醒。沐浴神瀵、膚色脂沢、香気経旬乃歇。
書き下し
土氣和して、札厲亡し。人性は婉やかにして物に從い、競わず爭わず。心柔らかにして骨弱く、驕らず忌まず。長幼儕しく居り、君ならず臣ならず。男女雜り游び、媒せず聘せず。水に緣りて居り、耕さず稼えず。土氣溫適にして、織らず衣ず。百年にして死し、夭からず病まず。其の民孳阜して數亡く、喜樂有りて、衰老哀苦亡し。其の俗は聲を好み、相い攜えて迭いに謠い、終日音を輟めず。飢え惓めば則ち神瀵を飲み、力志和平なり。過ぐれば則ち醉い、旬を經て乃ち醒む。神瀵に沐浴すれば、膚色は脂澤し、香氣は旬を經て乃ち歇む。
現代語訳
土地の気は和やかで、疫病がない。人の性質は柔らかで物事に従い、競わず争わない。心は柔らかく骨は弱く、驕らず妬まない。老いも若きも対等に暮らし、君主も臣下もない。男女は入りまじって遊び、仲人も結納もない。水のほとりに住み、耕しも植えもしない。気候はほどよく温かく、織りも着もしない。百年で死に、早死にも病気もない。その民は増え栄えて数え切れず、喜びと楽しみがあり、老衰も悲しみも苦しみもない。その風習は歌を好み、手を取り合って代わるがわる歌い、一日じゅう声をやめない。飢えたり疲れたりすれば神瀵を飲み、力も心も穏やかになる。飲みすぎれば酔い、十日ほどで醒める。神瀵で水浴びすれば、肌はつやを帯び、香りは十日ほどで消える。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『列子』湯問篇禹の水土を治むるや、迷いて塗を失い、一國に謬る。北海の北に濱し、齊州を距ること幾千萬里なるかを知らず。其の國を名づけて終北と曰う。際畔の齊限する所を知らず。風雨霜露無く、鳥獸・蟲魚・草木の類を生ぜず。四方悉く平らかにして、周るに喬陟を以てす。國の中に當たりて山有り。山を壺領と名づく。狀は甔甀の若し。頂に口有り、狀は員環の若し。名づけて滋穴と曰う。水有りて湧き出づ。名づけて神瀵と曰う。臭いは蘭椒に過ぎ、味は醪醴に過ぐ。一源分かれて四埒と爲り、山下に注ぐ。一國を經營して、悉く徧からざる亡し。
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『列子』黄帝篇列姑射山は海河の洲中に在り。山上に神人有り。風を吸い露を飲み、五穀を食らわず。心は淵泉の如く、形は處女の如し。偎まず愛せずして、仙聖之が臣と爲り、畏れず怒らずして、愿慤之が使と爲り、施さず惠まずして、物おのずから足り、聚めず歛めずして、己に愆ち無し。陰陽常に調い、日月常に明らかに、四時常に若く、風雨常に均しく、字育常に時あり、年穀常に豐かにして、土に札傷無く、人に夭惡無く、物に疵厲無く、鬼に靈響無し。
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『列子』湯問篇南國の人は髮を祝りて裸なり。北國の人は巾を鞨きて裘たり。中國の人は冠冕して裳す。九土の資る所、或いは農し或いは商し、或いは田し或いは漁す。冬の裘・夏の葛、水の舟・陸の車の如し。默して之を得、性として之を成す。
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『列子』湯問篇湯又た問う、物に巨細有るか、修短有るか、同異有るか、と。革曰く、渤海の東、幾億萬里なるかを知らず、大壑有り。實に惟れ底無きの谷、其の下に底無し。名づけて歸墟と曰う。八紘九野の水、天漢の流れ、之に注がざる莫し。而も增す無く減ずる無し。其の中に五山有り。一に岱輿と曰い、二に員嶠と曰い、三に方壺と曰い、四に瀛洲と曰い、五に蓬萊と曰う。其の山の高下周旋は三萬里、其の頂の平らかなる處は九千里。山の中閒相い去ること七萬里、以て鄰居と爲す。其の上の臺觀は皆な金玉、其の上の禽獸は皆な純縞なり。珠玕の樹は皆な叢生し、華實は皆な滋味有り、之を食らえば皆な老いず死せず。居る所の人は皆な仙聖の種なり。一日一夕に飛びて相い往來する者、數うべからず。
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