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列子 / 仲尼篇

伯豐子不應。伯豐子之從者越次而進曰:「大夫不聞齊魯之多機乎?有善治土木者、有善治金革者、有善治聲樂者、有善治書數者、有善治軍旅者、有善治宗廟者、羣才備也。而無相位者、無能相使者。而位之者無知、使之者無能、而知之與能爲之使焉。執政者、迺吾之所使、子奚矜焉?」鄧析無以應、目其徒而退。

新字:伯豊子不応。伯豊子之従者越次而進曰:「大夫不聞斉魯之多機乎?有善治土木者、有善治金革者、有善治声楽者、有善治書数者、有善治軍旅者、有善治宗廟者、羣才備也。而無相位者、無能相使者。而位之者無知、使之者無能、而知之与能為之使焉。執政者、迺吾之所使、子奚矜焉?」鄧析無以応、目其徒而退。

書き下し

伯豐子應えず。伯豐子の從者次を越えて進みて曰く、大夫は齊魯の機多きを聞かざるか。土木を善く治むる者有り、金革を善く治むる者有り、聲樂を善く治むる者有り、書數を善く治むる者有り、軍旅を善く治むる者有り、宗廟を善く治むる者有り。羣才備わるなり。而れども相い位せしむる者無く、相い使う能う者無し。而して之を位せしむる者は知無く、之を使う者は能無し。而して知と能とは之が使と爲る。執政なる者は、迺ち吾の使う所なり。子奚ぞ矜るか、と。鄧析以て應うる無く、其の徒に目して退く。

現代語訳

伯豊子は答えなかった。伯豊子の従者が席次を越えて進み出て言った。「大夫は、斉や魯に多くの技があることをお聞きになりませんか。土木をよく治める者があり、武具をよく治める者があり、音楽をよく治める者があり、文書と計算をよく治める者があり、軍隊をよく治める者があり、宗廟をよく治める者がある。あらゆる才能がそろっている。ところが、それらに位を与える者はおらず、それらを使いこなせる者もいない。そして位を与える者には知識がなく、使う者には能力がない。それでいて、知識ある者も能力ある者も、その人に使われている。政をとる者こそ、我々が使っているものなのだ。あなたは何を誇っておられるのか」。鄧析は答えることができず、弟子たちに目配せして立ち去った。

解説

反論は二段構えです。第一に、位を与える者には知識がなく、使う者には能力がない。第二に、それでも知識ある者も能力ある者もその人に使われている。ここまでは事実の確認です。そこから一気に反転します。「執政なる者は、迺ち吾の使う所なり」――為政者こそ、我々が使っているのだ、と。誰が誰を使っているかは、上下ではなく、何のために存在しているかで決まる。しかも答えたのは伯豊子ではなく、席次を越えて出てきた従者でした。当人が黙っていたところに、後ろの者が出てきて論を決める。組織の底力がどこにあるかを示す配置でもあります。

この章句が説くこと

羣才備わるなり之を位せしむる者は知無く之を使う者は能無し執政なる者は迺ち吾の使う所なり権限委譲

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