列子 / 周穆王篇
東極之北隅有國曰阜落之國。其土氣常燠、日月餘光之照。其土不生嘉苗。其民食草根木實、不知火食、性剛悍、彊弱相藉、貴勝而不尚義、多馳步、少休息、常覺而不眠。
新字:東極之北隅有国曰阜落之国。其土気常燠、日月余光之照。其土不生嘉苗。其民食草根木実、不知火食、性剛悍、彊弱相藉、貴勝而不尚義、多馳歩、少休息、常覚而不眠。
書き下し
東極の北隅に國有り、阜落の國と曰う。其の土氣常に燠かく、日月の餘光照らす。其の土は嘉苗を生ぜず。其の民は草根木實を食い、火食を知らず。性は剛悍にして、彊弱相い藉く。勝つを貴びて義を尚ばず。馳步すること多く、休息すること少なく、常に覺めて眠らず。
現代語訳
東の果ての北の隅に国がある。阜落の国という。その土地の気候はいつも暖かく、日月の余った光が照らしている。その土地には良い作物が育たない。その民は草の根や木の実を食べ、火を通して食べることを知らない。性質は荒々しく強く、強い者が弱い者を踏みつける。勝つことを貴び、義を尊ばない。走り回ることが多く、休むことが少なく、いつも目覚めていて眠らない。
解説
三つめの国は、常に目覚めていて眠らない国です。そして描かれる姿は、荒々しく、強い者が弱い者を踏みつけ、勝つことを貴んで義を尊ばない。休息が少ないことと、勝ち負けだけの価値観は、同じ一つの状態として書かれています。眠らない社会は、義を持たない。ここは現代の働き方への警句として、そのまま読めます。休みが少ない組織で人が荒くなるのは、性格の問題ではなく状態の問題です。しかも本人たちは、それが荒いことに気づきません。三つの国のうち、私たちがどれに近づいているかを測る物差しとして、この国の描写は使えます。
この章句が説くこと
阜落の国常に覚めて眠らず勝つを貴びて義を尚ばず彊弱相い藉く
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