列子 / 周穆王篇
化人復謁王同游、所及之處、仰不見日月、俯不見河海。光影所照、王目眩不能得視、音響所來、王耳亂不能得聽。百骸六藏、悸而不凝。意迷精喪、請化人求還。化人移之、王若殞虛焉。既寤、所坐猶嚮者之處、侍御猶嚮者之人。視其前、則酒未清、肴未昲。王問所從來、左右曰:「王默存耳。」
新字:化人復謁王同游、所及之処、仰不見日月、俯不見河海。光影所照、王目眩不能得視、音響所来、王耳乱不能得聴。百骸六蔵、悸而不凝。意迷精喪、請化人求還。化人移之、王若殞虚焉。既寤、所坐猶嚮者之処、侍御猶嚮者之人。視其前、則酒未清、肴未昲。王問所従来、左右曰:「王黙存耳。」
書き下し
化人復た王に謁して同に游ばんとす。及ぶ所の處、仰いで日月を見ず、俯して河海を見ず。光影の照らす所、王目眩みて視るを得る能わず。音響の來たる所、王耳亂れて聽くを得る能わず。百骸六藏、悸きて凝らず。意迷い精喪せ、化人に請いて還らんことを求む。化人之を移すに、王虛より殞つるが若し。既に寤むれば、坐する所は猶お嚮者の處、侍御は猶お嚮者の人なり。其の前を視れば、則ち酒未だ清まず、肴未だ昲かず。王從りて來たる所を問うに、左右曰く、王は默存せるのみ、と。
現代語訳
幻術使いはまた王に一緒に遊ばないかと申し出た。行き着いた場所は、仰いでも日も月も見えず、うつむいても川も海も見えない。光の照らすところでは王は目がくらんで見ることができず、音の響くところでは王は耳が乱れて聞くことができない。全身の骨も内臓も、震えて落ち着かない。心は迷い精気は失せ、王は幻術使いに願って帰らせてくれと頼んだ。幻術使いが王を移すと、王は虚空から落ちるようだった。目が覚めてみると、座っているのはさっきと同じ場所、そばに仕えているのはさっきと同じ人である。目の前を見れば、酒はまだ澄んでおらず、肴はまだ乾いていない。王がどこから帰ってきたのかを尋ねると、側近たちは言った。「王はただ黙って座っておられただけです」。
解説
最も鮮やかな一行は「酒未だ清まず、肴未だ昲かず」です。数十年に感じた旅から戻ったのに、注いだ酒はまだ澄んでおらず、料理はまだ乾いていない。時間はまったく経っていなかった。しかも側近から見れば、王は黙って座っていただけです。強烈な体験と、外から見えるものが、これほど食い違う。ここは人の内面をめぐる普遍的な観察でもあります。ある人が大きな決断や転換をくぐり抜けたとき、周囲には何も見えません。「あの人は最近ぼんやりしている」としか映らない。逆に、自分の内側で起きた大事件を、周囲が知っている前提で話しはじめると、話は通じません。
この章句が説くこと
酒未だ清まず肴未だ昲かず王は黙存せるのみ意迷い精喪す
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