列子 / 黄帝篇
周宣王之牧正有役人梁鴦者、能養野禽獸、委食於園庭之內、雖虎狼鵰鶚之類、無不柔馴者。雄雌在前、孳尾成羣、異類雜居、不相搏噬也。王慮其術終於其身、令毛丘園傳之。梁鴦曰:「鴦、賤役也、何術以告爾?懼王之謂隱於爾也、且一言我養虎之法。
新字:周宣王之牧正有役人梁鴦者、能養野禽獣、委食於園庭之内、雖虎狼鵰鶚之類、無不柔馴者。雄雌在前、孳尾成羣、異類雑居、不相搏噬也。王慮其術終於其身、令毛丘園伝之。梁鴦曰:「鴦、賤役也、何術以告爾?懼王之謂隠於爾也、且一言我養虎之法。
書き下し
周の宣王の牧正に役人梁鴦なる者有り。能く野禽獸を養い、食を園庭の内に委ぬ。虎狼鵰鶚の類と雖も、柔馴せざる者無し。雄雌前に在り、孳尾して羣を成し、異類雜居して、相い搏噬せざるなり。王其の術の其の身に終わらんことを慮り、毛丘園をして之を傳えしむ。梁鴦曰く、鴦は賤役なり、何の術ありてか以て爾に告げん。王の爾に隱すと謂わんことを懼る。且く一たび我が虎を養うの法を言わん。
現代語訳
周の宣王の牧場長のもとに、梁鴦という下働きがいた。野の鳥や獣を飼うのがうまく、園庭のなかに餌を置いておくだけで、虎や狼や鷲や鶚の類まで、なつかないものがなかった。雄と雌が目の前で交わって群れをなし、異なる種類が入りまじって住んでいても、互いにつかみ合い噛み合うことがなかった。王はその技術が彼一代で終わってしまうことを心配し、毛丘園に伝授させることにした。梁鴦は言った。「私は身分の低い下働きです。どんな技術があってあなたにお教えできましょう。ただ、王が私があなたに隠していると思われるのを恐れます。ひとまず私の虎の飼い方をお話ししましょう」。
解説
猛獣が同じ庭で群れをなし、互いに襲わない。それを実現しているのが、身分の低い下働きだという配置がまず重要です。王が心配したのは、その技術が一代で消えることでした。継承の問題を、王のほうから持ち出している。そして梁鴦は「自分に術などない」と言いながら、王に隠していると思われることを恐れて話しはじめます。動機が自分の名誉ではなく、誤解を招かないためであるところが、この人物の描き方です。技を持つ人が伝えたがらないのは、出し惜しみだけが理由ではありません。自分では術だと思っていないから、言葉にする必要を感じていない。継承が滞る現場の多くが、この形をしています。
この章句が説くこと
梁鴦虎狼鵰鶚も柔馴せざる無し其の術の其の身に終わらんことを慮る適材適所
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