宋名臣言行録 / 後集巻十四・徐積
平日教學者每以治心養氣為先曰修身務學為文之要莫大於此晚乃著書未成而病嘗曰吾之書大要以正治心以直養氣而巳或問立朝之要則曰以正輔君或問修身之要則曰以正修其身自逺方寄巨軸請教者乃大書一正字與之
新字:平日教学者毎以治心養気為先曰修身務学為文之要莫大於此晩乃著書未成而病嘗曰吾之書大要以正治心以直養気而巳或問立朝之要則曰以正輔君或問修身之要則曰以正修其身自遠方寄巨軸請教者乃大書一正字与之
書き下し
平日學者を教うるに、每に治心養氣を以て先と爲す。曰く、身を修め學に務むるは、文を爲すの要、此より大なるは莫し、と。晚に乃ち書を著すも、未だ成らずして病む。嘗て曰く、吾の書の大要は、正を以て心を治め、直を以て氣を養うのみ、と。或るひと立朝の要を問えば、則ち曰く、正を以て君を輔く、と。或るひと修身の要を問えば、則ち曰く、正を以て其の身を修む、と。遠方より巨軸を寄せて教えを請う者あれば、乃ち大いに一の正の字を書して之に與う。
現代語訳
ふだん学ぶ者を教えるのに、いつも心を治め気を養うことを第一とした。こう言った。「身を修め学に励むこと、そして文章を作ることの要は、これより大きなものはない」。晩年になって書物を著したが、完成しないうちに病んだ。かつてこう言った。「私の書の大筋は、正しさによって心を治め、まっすぐさによって気を養う、それだけだ」。ある人が朝廷に立つ要を尋ねると、こう言った。「正しさによって君を輔ける」。ある人が身を修める要を尋ねると、こう言った。「正しさによってその身を修める」。遠方から大きな軸を送って教えを請う者があれば、そこに大きく「正」の一字を書いて与えた。
解説
答えが、問いによって変わりません。朝廷での身の処し方を聞かれても、身の修め方を聞かれても、頭に置く語は同じでした。正しさによって君を輔ける。正しさによってその身を修める。そして書き物を頼まれたときの応じ方が、この人らしい。遠方から大きな軸を送って教えを請う者があれば、そこに大きく「正」の一字を書いて与えた。説明を付けていません。大きな紙に一字だけ。持ち帰った人は、毎日それを見ることになります。
この章句が説くこと
平日学者を教うるに毎に治心養気を以て先と為す吾の書の大要は正を以て心を治め直を以て気を養うのみ或るひと立朝の要を問えば則ち曰く正を以て君を輔く遠方より巨軸を寄せて教えを請う者あれば乃ち大いに一の正の字を書して之に与う正一語
関連する章句
-
『弁名』公正直後世理学興りて、先王の礼を舎てて理を以て之を言ふ。理を以て之を言ふ者は、其の臆を取るのみ。其の臆を取りて正と為す、是れ人自ら正と為す。妄なりと謂ふべし。易に中正有り、其の義は它書と同じからず。宋儒蓋し之を混ず。是れ其の失ふ所以なり。又た大学の「正心」の如きも、亦た心の礼に一なるを正と為すを謂ふ。其の書は本養老の礼の義を説く。其の礼を行ふ時に方りて、先づ忿懥・恐懼・好楽・憂患の事有れば、則ち心礼に一なることを得ず。故に「心其の正を得ず」と曰ふ。養老は飲食の礼なり。故に「食らへども其の味を知らず」と曰ふ。宋儒は礼を以て之を解するを知らず、誤れり。仲虺の誥に曰く「礼を以て心を制す」と。古の道は爾りと為す。仁斎先生遂に大学の正心を以て仏老の帰と為すは、皆古言を知らざる故なり。
-
『弁名』公正直正は邪の反なり。先王の道に循ふ、是れを正と謂ふ。先王の道に循はざる、是れを邪と謂ふ。邪謀・邪説の如き、以て見るべきのみ。諸を規矩準縄に辟ふ、正を為す所以の器なり。規に循へば則ち円なる者正しく、矩に循へば則ち方なる者正しく、準縄に循へば則ち平直なる者正し。先王の道は規矩準縄なり。故に先王の道に循ひて而る後に正と為す。曾子曰く「吾正を得て斃れなば斯れ已まん」と。大夫の簀は礼に非ざるを以てなり。経解に曰く「礼の国を正すに於けるや、猶ほ衡の軽重に於ける、縄墨の曲直に於ける、規矩の方円に於けるがごときなり」と。詩に曰く「其の儀忒はず、是の四国を正す」と。孔子曰く「其の身正しければ、令せずして行はる。其の身正しからざれば、令すと雖も従はず」と。皆礼を以て之を言ふ。
-
李衛公問対・卷上凡そ兵は前向を以て正と為し、後却を以て奇と為す。
-
言志四録・言志晩録 別存 第四十三条 正と公の二字公晩年余に謂ひて曰く、「吾職に在ること四十九年、幸ひに首領を全うす。訣は二字に在り。之を識るや否や」と。余請ひ問ふ。公曰く、「正の字、公の字」と。余其の言の虚ならざるに服す。公既に館を捐つ。其の翌辛丑、朝政一新す。図らざりき、余濫りに擢挙を蒙り、晩に仕途に就かんとは。官事諳んぜず、暗室に入るが如し。忽ち公の言を憶ひ、奉じて以て周旋す。庶はくは亦能く首領を全うして以て終らん。
-
論語・顔淵篇季康子、政を孔子に問う。孔子対えて曰く、「政とは、正なり。子帥いるに正を以てせば、孰か敢えて正しからざらん。」
-
『大和俗訓』巻之四・心術下一万の事、正あり、中あり。正とは邪ならざるを云ふ。是善なり。中とは過不及なくして、よきほどなるを云ふ。是至善なり。のどかわく時湯水をのみ、うゑて食するは是正なり。よこしまにはあらず。かわくとて飲過し、うゑたるとて食過すは、中にあらず。よきほどに飲み食ふは中なり。是を以て万事をおして知るべし。正なれども、中ならざれは、至善ならず。凡万のわざ、過不及なく、よき程なるは、中なり。是即道のある所なり。過不及ありて、よき程ならざれば、善事なりとても、道にかなはず。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る