宋名臣言行録 / 後集巻十二・劉安世
器之云安世初登第與二同年謁李若谷參政三人同起身請教李曰若谷自守官以來常持四字曰勤謹和緩其間一後生應聲曰勤謹和既聞命矣緩之一字某所未聞李正色曰何嘗教賢緩不及事来且道世間甚事不因忙錯了
新字:器之云安世初登第与二同年謁李若谷参政三人同起身請教李曰若谷自守官以来常持四字曰勤謹和緩其間一後生応声曰勤謹和既聞命矣緩之一字某所未聞李正色曰何嘗教賢緩不及事来且道世間甚事不因忙錯了
書き下し
器之云う、安世初め第に登り、二同年と李若谷參政に謁す。三人同に身を起ちて教えを請う。李曰く、若谷官を守りて以来、常に四字を持す。曰く、勤・謹・和・緩、と。其の間の一後生聲に應じて曰く、勤・謹・和は既に命を聞けり。緩の一字は某未だ聞かざる所なり、と。李正色して曰く、何ぞ嘗て賢に緩にして事に及ばざるを教えんや。且つ道え、世間甚の事か忙に因りて錯り了らざる、と。
現代語訳
劉安世は言った。私が初めて及第したとき、同期の二人とともに参知政事の李若谷にお目にかかった。三人そろって立ち上がり、教えを請うた。李若谷は言った。「私は官職に就いて以来、常に四つの字を守ってきた。勤・謹・和・緩である」。そのなかの一人の若者が、すかさず言った。「勤・謹・和は、いま承りました。ただ『緩』の一字は、私には腑に落ちません」。李若谷は顔色を正して言った。「いつ君に、ゆっくりやって事に間に合わなくてよい、と教えたか。まあ言ってみたまえ。世の中のどんな事が、急いだせいで間違えずに済んだというのか」。
解説
四つのうち、三つはすぐ納得されました。引っかかったのは最後の一字です。**ただ『緩』の一字は、私には腑に落ちません。**遅くてよいはずがない、というのが若者の言い分でした。答えは二段になっています。まず誤解を外します。**いつ君に、ゆっくりやって事に間に合わなくてよい、と教えたか。**そして問い返しました。**世の中のどんな事が、急いだせいで間違えずに済んだというのか。**遅らせよ、ではなく、慌てるなという意味だ、と。
この章句が説くこと
安世初め第に登り二同年と李若谷参政に謁す若谷官を守りて以来常に四字を持す曰く勤・謹・和・緩緩の一字は某未だ聞かざる所なり世間甚の事か忙に因りて錯り了らざる緩勤勉
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