宋名臣言行録 / 後集巻十一・蘓頌
知江寜府江寜縣事毎有發歛府移追擾吏係縲於道公至則曰此令職也府何與焉每因治訴旁問鄰里丁産多寡悉得其詳一日召鄉老更定户籍民有恡占不實者必曰汝家尚有某丁産何不自言相顧而驚無敢隱者一縣以為神明
新字:知江寜府江寜県事毎有発歛府移追擾吏係縲於道公至則曰此令職也府何与焉毎因治訴旁問鄰里丁産多寡悉得其詳一日召郷老更定戸籍民有恡占不実者必曰汝家尚有某丁産何不自言相顧而驚無敢隠者一県以為神明
書き下し
江寧府江寧縣の事を知る。發歛有る每に、府移して追い擾し、吏道に係縲す。公至るや則ち曰く、此れ令の職なり、府何ぞ與らんや、と。訴を治むるに因りて每に旁ら鄰里の丁産の多寡を問い、悉く其の詳を得たり。一日鄉老を召して户籍を更定す。民に恡占して實ならざる者有れば、必ず曰く、汝が家に尚お某の丁産有り、何ぞ自ら言わざる、と。相い顧みて驚き、敢えて隱す者無し。一縣以て神明と爲す。
現代語訳
蘇頌は江寧府江寧県の政を預かった。徴収があるたびに、府が指令を回して追い立て騒がせ、役人が道端で縛り上げられるありさまだった。蘇頌は着任すると言った。「これは県令の職務である。府がどうして関わるのか」。以後、訴訟を裁くたびに、そのついでに近隣の男丁と田産の多い少ないを尋ね、ことごとくその詳細をつかんだ。ある日、村の長老たちを召して戸籍を改め定めた。民のなかに惜しんで隠し、申告が実際と違う者があると、必ず言った。「お前の家にはまだ某の男丁と田産があるはずだ。なぜ自分から言わないのか」。人々は顔を見合わせて驚き、あえて隠す者はいなくなった。県中が、神のように見通す人だとした。
解説
神明と呼ばれた種明かしが、この条にはそのまま書いてあります。訴訟を裁くたびに、そのついでに近隣の男丁と田産の多い少ないを尋ね、ことごとくその詳細をつかんだ。別に調査を立てたのではありません。毎日やっている仕事の場で、一言ずつ足しただけです。その蓄積があるから、戸籍を改める日に名指しができました。お前の家にはまだ某の男丁と田産があるはずだ。冒頭では、県の仕事を府に取り上げさせない一線も引いています。これは県令の職務である。
この章句が説くこと
発歛有る毎に府移して追い擾し吏道に係縲す此れ令の職なり府何ぞ与らんや訴を治むるに因りて毎に旁ら鄰里の丁産の多寡を問い悉く其の詳を得たり汝が家に尚お某の丁産有り何ぞ自ら言わざる情報日常
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