宋名臣言行録 / 後集巻十・彭汝礪
紹聖元年上初專聽斷召二三大臣條舉熈寧元豐政事人人争獻所聞公居之如不能言者或問之曰在前日則無言之者於今則人人而能言之矣以寳文閣待制知江州入辭上勞問甚寵曰卿非久别也問所欲言者公曰陛下今所復者其政不能無是非其人不能無賢不肖政唯其是則政無不善人唯其賢則人無不得矣
新字:紹聖元年上初専聴断召二三大臣条舉熈寧元豊政事人人争献所聞公居之如不能言者或問之曰在前日則無言之者於今則人人而能言之矣以宝文閣待制知江州入辞上労問甚寵曰卿非久別也問所欲言者公曰陛下今所復者其政不能無是非其人不能無賢不肖政唯其是則政無不善人唯其賢則人無不得矣
書き下し
紹聖元年、上初めて專ら聽斷す。二三の大臣を召して熙寧・元豐の政事を條舉せしむ。人人爭いて聞く所を獻ず。公之に居ること言う能わざる者の如し。或るひと之を問う。曰く、前日に在りては則ち之を言う者無し。今に於いては則ち人人にして能く之を言うと。寶文閣待制を以て江州を知す。入りて辭するに、上勞問すること甚だ寵にして曰く、卿は久しく別るるに非ざるなりと。言わんと欲する所を問う。公曰く、陛下今復する所の者は、其の政は是非無き能わず。其の人は賢不肖無き能わず。政唯だ其れ是なれば則ち政に善からざるは無し。人唯だ其れ賢なれば則ち人に得ざるは無しと。
現代語訳
紹聖元年、天子がはじめて自ら政を聴いて裁いた。二三の大臣を召して、熙寧・元豊の政事を箇条で挙げさせた。人々は争って聞き知ったところを差し上げた。公はそこにいて、まるで何も言えない者のようであった。ある人がこれを尋ねた。公は言った。「あのころには、それを言う者がいなかった。いまとなっては、誰もがそれを言える」。宝文閣待制として江州の知事となった。参内して暇乞いをすると、天子はねぎらい問うことがたいそう手厚く、言った。「卿とは長く別れるのではない」。言いたいことを尋ねた。公は言った。「陛下がいま復されるものは、その政に是非がないはずがなく、その人に賢と不肖がないはずがありません。政がただ正しくありさえすれば、政に善くないものはありません。人がただ賢くありさえすれば、人に得られないものはありません」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『講孟余話』盡心下 第三十一章「士未だ以て言ふべからずして言ふ、是れ言を以て之れを餂るなり。以て言ふべくして言はず、是れ言はざるを以て之れを餂るなり」。下章に所謂「言近くして指遠き者」とは、正に此の章の類是れなり。「人を害せんと欲するの心無き」は即ち惻隠の心なり。「穿窬の心無き」は即ち辞譲の心なり。「爾汝を受くるの実無き」は即ち羞悪の心なり。人々皆これあり、但だ拡充すると拡充せぬとの差別あるのみ。仁斎云く、「此れ当に前篇の四端の章と参看すべし」と。余謂ふに其の語意は更に親切なるを覚ゆ。言を以て之れを餂り、言はざるを以て之れを餂るは、是れ今人の通情、最も官途上の人に於て観るべし。言はざるを以て之れを餂る者は、隠黙して容れらるることを取る。此の種の人忽ち見れば重厚簡黙、器度あるに似たり、俗人最も是れを信重す。漢武の丞相石奮の如き、大害なきが如し。然れども其の甚しきに至りては、五代の馮道の如く五朝(唐・晋・遼・漢・周、八姓八主あり)に事へ皆相となるに至る、豈に憎まざるべけんや。
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