宋名臣言行録 / 後集巻九・蘇軾
頴有宿賊尹遇等數人羣黨驚刼殺變主及捕盗吏兵者非一朝廷以名捕不獲被殺者噤不敢言
新字:頴有宿賊尹遇等数人羣党驚劫殺変主及捕盗吏兵者非一朝廷以名捕不獲被殺者噤不敢言
書き下し
頴に宿賊尹遇等數人有り。羣黨驚刼して變主及び捕盗の吏兵を殺す者一に非ず。朝廷名を以て捕うるも獲ず。殺さるる者噤して敢えて言わず。
現代語訳
潁州には尹遇ら数人の古参の賊がいた。その一味は襲って驚かせ、被害を訴えた家の主や、盗賊を捕らえる役人・兵を殺した者が一人や二人ではなかった。朝廷は名指しで捕らえようとしたが、捕らえられなかった。害を受けた者は口をつぐんで、あえて何も言わなかった。
解説
捕まらない賊が、なぜ捕まらないかを書いた三十八字です。襲って驚かせ、被害を訴えた家の主や、盗賊を捕らえる役人・兵を殺した。訴えた者と、捕らえに来た者を狙っている。すると次からは、誰も訴えなくなります。害を受けた者は口をつぐんで、あえて何も言わなかった。名指しで捕らえよという命令は出ているのに、動きません。訴えが上がらないので、事件そのものが存在しないことになる。
この章句が説くこと
頴に宿賊尹遇等数人有り羣党驚劫して変主及び捕盗の吏兵を殺す者一に非ず羣党驚刼して変主及び捕盗の吏兵を殺す者一に非ず朝廷名を以て捕うるも獲ず殺さるる者噤して敢えて言わず盗賊
関連する章句
-
『講孟余話』盡心下 第三十一章「士未だ以て言ふべからずして言ふ、是れ言を以て之れを餂るなり。以て言ふべくして言はず、是れ言はざるを以て之れを餂るなり」。下章に所謂「言近くして指遠き者」とは、正に此の章の類是れなり。「人を害せんと欲するの心無き」は即ち惻隠の心なり。「穿窬の心無き」は即ち辞譲の心なり。「爾汝を受くるの実無き」は即ち羞悪の心なり。人々皆これあり、但だ拡充すると拡充せぬとの差別あるのみ。仁斎云く、「此れ当に前篇の四端の章と参看すべし」と。余謂ふに其の語意は更に親切なるを覚ゆ。言を以て之れを餂り、言はざるを以て之れを餂るは、是れ今人の通情、最も官途上の人に於て観るべし。言はざるを以て之れを餂る者は、隠黙して容れらるることを取る。此の種の人忽ち見れば重厚簡黙、器度あるに似たり、俗人最も是れを信重す。漢武の丞相石奮の如き、大害なきが如し。然れども其の甚しきに至りては、五代の馮道の如く五朝(唐・晋・遼・漢・周、八姓八主あり)に事へ皆相となるに至る、豈に憎まざるべけんや。
-
『呻吟語』内篇・修身・之を忘言に付するに若かず之を忘言に付するに若かず。久しければ則ち明らかなり。明らかなるを得ざれば、自ら天の在る有るのみ。
-
『夜船閑話』本文此時人に尋ねて路頭を指すことを用ひず。只要す、尋常言語を省略して、爾の元気を長養せんことを。是故に云ふ、目力を養ふ者は常に瞑し、耳根を養ふ者は常に飽き、心気を養ふ者は常に黙すと。
-
『墨子』尚同下何を以て其の然るを知るや。先王の書に於けるや、大誓の言、然り。曰く、「小人、姦巧を見て乃ち聞くも、言わざれば、發せらるる罪は鈞し」と。此れ淫僻を見て以て告げざる者は、其の罪も亦た猶お淫僻なる者のごときを言うなり。
-
『酔古堂剣掃』集法・辯は訥に如かず辯は訥に如かず、語は默に如かず、動は靜に如かず、忙は閑に如かず。
-
『碧巌録』第十八則多少の人か道ふ、国師の言はざる処、便ち是れ塔様と。若し恁麼に会せば、達磨の一宗、地を掃うて尽きん。若し良久便ち是なりと謂はば、唖子も也た合に禅を会すべし。豈に見ずや、外道仏に問ふ、有言を問はず、無言を問はず。世尊良久す。外道礼拝し、讃嘆して曰く、世尊大慈大悲、我が迷雲を開き、我をして得入せしむと。外道去りて後に及んで、阿難仏に問ふ、外道何の所証有りてか得入すと言ふ。世尊云く、世の良馬の鞭影を見て行くが如し。人多く良久の処に向かつて会す、什麼の巴鼻か有らん。五祖先師拈じて云く、前面は是れ珍珠瑪瑙、後面は是れ瑪瑙珍珠。左辺は是れ観音勢至、右辺は是れ文殊普賢。中間に箇の旛子有りて、風に吹著せられて、胡盧胡盧と道ふ。国師云く、会すや。帝曰く、会せず。却つて些子に較れり。且く道へ、這箇の不会と、武帝の不識と、是れ同か是れ別か。然りと雖も、似たることは則ち似たるも、是なることは則ち未だ是ならず。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る