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宋名臣言行録 / 後集巻九・蘇軾

公言頃試制科中程後英宗即欲便授知制誥相國韓公曰軾之材逺大之器也他日自當為天下用要在朝廷培養之使天下之士莫不畏慕降伏皆欲朝廷進用之然後取而用之則人人無復異辭矣今驟用之則士未必以為然適足以累之也乃授直史館公聞之曰韓公可謂愛人以德矣

新字:公言頃試制科中程後英宗即欲便授知制誥相国韓公曰軾之材遠大之器也他日自当為天下用要在朝廷培養之使天下之士莫不畏慕降伏皆欲朝廷進用之然後取而用之則人人無復異辞矣今驟用之則士未必以為然適足以累之也乃授直史館公聞之曰韓公可謂愛人以徳矣

書き下し

公言う、頃ろ制科に試みて程に中りし後、英宗即ち便ち知制誥を授けんと欲す。相國韓公曰く、軾の材は遠大の器なり。他日自ら當に天下の用と爲るべし。要は朝廷之を培養し、天下の士をして畏慕降伏せざる莫く、皆朝廷の之を進用せんことを欲せしめ、然る後に取りて之を用うれば則ち人人復た異辭無からん。今驟かに之を用うれば則ち士は未だ必ずしも以て然りと爲さず。適ま以て之を累わすに足るのみと。乃ち直史館を授く。公之を聞きて曰く、韓公は人を愛するに德を以てすと謂う可しと。

現代語訳

公は言った。「先ごろ制科に応じて基準に達した後、英宗はすぐにも知制誥を授けようとされた。宰相の韓琦が言った。『軾の才は遠大の器です。いつか必ず天下の用となりましょう。肝要なのは、朝廷がこれを育て、天下の士がみな畏れ慕って心服し、みな朝廷がこの人を登用することを望むようにさせ、そのうえで取って用いれば、誰も異論を差し挟まないということです。いま急にこれを用いれば、士は必ずしもそれをもっともとはしません。かえってこの人の重荷になるだけです』。そこで直史館を授けられた」。公はこれを聞いて言った。「韓公は徳をもって人を愛したと言うべきだ」。

解説

抜擢を止めた話ですが、止めた理由が本人のためでした。**いま急にこれを用いれば、士は必ずしもそれをもっともとはしません。かえってこの人の重荷になるだけです。**早く上げれば、周りが納得する前に立つことになります。すると本人が、実力ではなく引きで上がった人として扱われる。順序が示されています。**天下の士がみな朝廷がこの人を登用することを望むようにさせ、そのうえで取って用いる。**本人の言葉も、恨みではありませんでした。

この章句が説くこと

英宗即ち便ち知制誥を授けんと欲す軾の材は遠大の器なり他日自ら当に天下の用と為るべし皆朝廷の之を進用せんことを欲せしめ然る後に取りて之を用うれば則ち人人復た異辞無からん今驟かに之を用うれば適ま以て之を累わすに足るのみ抜擢時期

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