宋名臣言行録 / 前集巻二・王旦
王欽若陳堯叟馬知節同在樞府一日上前因事忿爭上召公公至則見欽若諠譁不已馬公流涕曰願與欽若同下御史府公乃叱欽若曰王欽若對上豈得如此下去上大怒乃命下獄公從容曰欽若等恃陛下顧厚上煩陛下譴訶當行朝典然觀陛下天顔不怡願且還内来日取㫖上許之翌日上召公問欽若等事當如何公曰當黜然未知坐以何罪上曰朕前忿爭無禮公曰陛下奄有天下而使大臣坐忿爭無禮之罪恐外國聞之無以威逺願至中書召欽若等宣示陛下含容之意且戒約之俟少間罷之未晚上曰非卿言朕固難忍月餘皆罷
新字:王欽若陳堯叟馬知節同在枢府一日上前因事忿争上召公公至則見欽若諠譁不已馬公流涕曰願与欽若同下御史府公乃叱欽若曰王欽若対上豈得如此下去上大怒乃命下獄公従容曰欽若等恃陛下顧厚上煩陛下譴訶当行朝典然観陛下天顔不怡願且還内来日取旨上許之翌日上召公問欽若等事当如何公曰当黜然未知坐以何罪上曰朕前忿争無礼公曰陛下奄有天下而使大臣坐忿争無礼之罪恐外国聞之無以威遠願至中書召欽若等宣示陛下含容之意且戒約之俟少間罷之未晩上曰非卿言朕固難忍月余皆罷
書き下し
王欽若・陳堯叟・馬知節、同に樞府に在り。一日、上前に事に因りて忿爭す。上、公を召す。公至れば則ち欽若の諠譁して已まざるを見る。馬公流涕して曰く、願わくは欽若と同に御史府に下らんと。公乃ち欽若を叱して曰く、王欽若、上に對して豈に此くの如くなるを得んや。下り去れと。上大いに怒り、乃ち獄に下すを命ず。公從容として曰く、欽若等は陛下の顧厚を恃み、上、陛下の譴訶を煩わす。當に朝典を行うべし。然れども陛下の天顔の怡ばざるを觀る。願わくは且く内に還り、来日㫖を取れと。上之を許す。翌日、上公を召して欽若等の事、當に如何すべきかを問う。公曰く、當に黜くべし。然れども未だ何の罪を以て坐せしむるかを知らずと。上曰く、朕が前にて忿爭して無禮なりと。公曰く、陛下、奄かに天下を有つ。而るに大臣をして忿爭無禮の罪に坐せしめば、恐らくは外國之を聞かば、以て逺きを威するもの無からん。願わくは中書に至りて欽若等を召し、陛下含容の意を宣示し、且つ之を戒約せよ。少間を俟ちて之を罷むるも未だ晚からずと。上曰く、卿の言に非ずんば、朕固より忍び難しと。月餘にして皆な罷む。
現代語訳
王欽若・陳堯叟・馬知節が同じく枢密院にいた。ある日、帝の前で事に及んで言い争った。帝は公を召した。公が着くと、王欽若が騒ぎ立てて止まないのが見えた。馬知節は涙を流して「どうか王欽若とともに御史府に下してください」と言った。公はそこで王欽若を叱った。「王欽若、主上の御前でどうしてそのようであってよいのか。下がりなさい」。帝はひどく怒り、獄に下すよう命じた。公は落ち着いて言った。「欽若らは陛下の厚い目をかけていただいているのを頼みとして、陛下にお叱りの手間をかけました。朝廷の法を行うべきです。しかし陛下のお顔が晴れないのを拝見しております。どうかしばらく奥にお戻りになり、明日ご指示をいただきますように」。帝はこれを許した。翌日、帝は公を召して、王欽若らの処置をどうすべきかと尋ねた。公は言った。「退けるべきです。しかし何の罪で処すのか、まだ分かりません」。帝は「私の前で言い争って無礼だった」と言った。公は言った。「陛下は天下を保っておられます。それなのに大臣を、言い争って無礼だったという罪で処せば、外国がそれを聞いたとき、遠方を威するものが無くなってしまうでしょう。どうか中書省に来させて欽若らを召し、陛下が寛くお許しになる意を示し、そのうえで戒めておかれますように。しばらく間を置いてから罷免しても遅くはありません」。帝は言った。「卿の言葉がなければ、私はとても我慢できなかった」。ひと月あまりして、みな罷免された。
解説
この章句が説くこと
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『呻吟語』内篇・應務・事の賊なり事に先んじては體怠り神昏く、事手に到れば手忙しく腳亂れ、事過ぐれば心安く意散ず。此れ事の賊なり。兵家は尤も此に利あらず。
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言志四録・南洲手抄朝にして食はずば、昼にして饑う。少うして学ばずば、壮にして惑ふ。饑うるは猶忍ぶ可し、惑ふは奈何ともす可からず。
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『呻吟語』内篇・應務・要は其の急ぐ所に當たるに在り朝三暮四は、術を用ふる者誠に詐なり。人情の極致、朝三暮四を以て便と為す者有り、朝四暮三を以て便と為す者有り。要は其の急ぐ所に當たるに在り。猿は愚に非ず、其の中に必ず當たる所有るなり。
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『呻吟語』内篇・應務・事後の悔は難し事前の忍は易く、正事の忍は難し。正事の悔は易く、事後の悔は難し。
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