宋名臣言行録 / 後集巻七・司馬光
延和登對言張方平叅政姦邪貪猥不恊物望上作色曰朝廷毎有除拜衆言輙紛紛非朝廷好事光曰此乃朝廷好事也知人帝堯所難况陛下新即位萬一用姦邪臺諌循黙不言陛下何從知之此乃非朝廷好事也
新字:延和登対言張方平参政姦邪貪猥不恊物望上作色曰朝廷毎有除拝衆言輙紛紛非朝廷好事光曰此乃朝廷好事也知人帝堯所難況陛下新即位万一用姦邪台諌循黙不言陛下何従知之此乃非朝廷好事也
書き下し
延和に登對し、張方平の參政となるは姦邪貪猥にして物望に協わざるを言う。上色を作して曰く、朝廷除拜有る毎に衆言輒ち紛紛たり。朝廷の好事に非ずと。光曰く、此れ乃ち朝廷の好事なり。人を知るは帝堯も難しとする所。况んや陛下は新たに即位せらる。萬一姦邪を用いて臺諫循默して言わずんば、陛下何より之を知らん。此れ乃ち朝廷の好事に非ざるなりと。
現代語訳
延和殿で拝謁し、張方平が参政となるのは、よこしまで貪欲であって世の期待に合わないことを述べた。天子は顔色を変えて言った。「朝廷が任命をするたびに、人々の言葉がすぐ紛々とする。朝廷にとって良いことではない」。司馬光は言った。「これこそ朝廷にとって良いことです。人を知ることは、帝堯でさえ難しいとしたところです。まして陛下は即位されたばかりです。万一よこしまな者を用いて、御史台と諫院が黙り込んで何も言わなければ、陛下はどこからそれをお知りになりますか。それこそ朝廷にとって良くないことです」。
解説
同じ言葉を、正反対の意味に切り返した条です。天子の言い分は分かります。朝廷が任命をするたびに、人々の言葉がすぐ紛々とする。朝廷にとって良いことではない。司馬光はその評価をひっくり返しました。これこそ朝廷にとって良いことです。根拠は、見分けの難しさです。人を知ることは、帝堯でさえ難しいとしたところです。誤ることを前提にすれば、騒がしさは誤りを知らせる装置になります。万一よこしまな者を用いて、御史台と諫院が黙り込んで何も言わなければ、陛下はどこからそれをお知りになりますか。
この章句が説くこと
朝廷除拝有る毎に衆言輒ち紛紛たり朝廷の好事に非ず此れ乃ち朝廷の好事なり人を知るは帝堯も難しとする所万一姦邪を用いて台諫循黙して言わずんば陛下何より之を知らん反対健全
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