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宋名臣言行録 / 後集巻六・王安石

及惠卿入參有射羿之意而一時之士見其得君謂可傾奪公矣遂更朋附之既而天子斷意再召公秉政惠卿自知不安乃條列公兄弟之失凡數事面奏意欲上意有二上封惠卿所言以示公故公表有忠不足以取治故事事欲其自明義不足以勝姦故人人與之立敵葢謂是也既而惠卿出知亳州鄧綰張諤之徒皆以罪去然自是門下之人皆無固志公無與共圖事者又請去而再鎮金陵故詩有紛紛易變浮雲白落落難鍾老栢青者葢謂是也

新字:及恵卿入参有射羿之意而一時之士見其得君謂可傾奪公矣遂更朋附之既而天子断意再召公秉政恵卿自知不安乃条列公兄弟之失凡数事面奏意欲上意有二上封恵卿所言以示公故公表有忠不足以取治故事事欲其自明義不足以勝姦故人人与之立敵葢謂是也既而恵卿出知亳州鄧綰張諤之徒皆以罪去然自是門下之人皆無固志公無与共図事者又請去而再鎮金陵故詩有紛紛易変浮雲白落落難鍾老栢青者葢謂是也

書き下し

惠卿入りて參ずるに及び、羿を射るの意有り。而して一時の士は其の君を得るを見て、以て公を傾奪す可しと謂う。遂に更ミ朋附す。既にして天子意を斷じて再び公を召して政を秉らしむ。惠卿自ら不安を知り、乃ち公の兄弟の失を條列すること凡そ數事、面奏す。意は上意に二有らんことを欲す。上惠卿の言う所を封じて以て公に示す。故に公の表に、忠は以て治を取るに足らず、故に事事其の自ら明らかならんことを欲す。義は以て姦に勝つに足らず、故に人人之と敵を立つと有るは、蓋し是を謂うなり。既にして惠卿出でて亳州を知す。鄧綰・張諤の徒は皆罪を以て去る。然れども是れより門下の人皆固志無し。公與に事を圖る者無し。又た去るを請いて再び金陵に鎮す。故に詩に、紛紛として變じ易し浮雲の白、落落として鍾け難し老柏の青なる者有るは、蓋し是を謂うなり。

現代語訳

呂恵卿が参政に入ると、羿を射るような心があった。そして当時の士は、彼が天子の信を得たのを見て、王安石を追い落とせると考えた。そこで次々に鞍替えして群がった。やがて天子は意を決して、ふたたび王安石を召して政を執らせた。呂恵卿は自ら立場が危ういと知り、王安石兄弟の落ち度を数か条にまとめて、面と向かって奏上した。天子の心に二つの思いを起こさせようとしたのである。天子は呂恵卿が言ったことを封じて王安石に示した。だから王安石の上表に「忠だけでは治めを得るに足りない、だから事ごとに自ら明らかにしようとする。義だけでは奸に勝つに足りない、だから人ごとにこれと敵対することになる」とあるのは、思うにこのことを言っている。やがて呂恵卿は外に出て亳州の知事となった。鄧綰・張諤らはみな罪を得て去った。しかしこれ以来、門下の者はみな定まった志を持たなくなった。王安石はともに事を図る相手がいなくなった。また辞去を願って、ふたたび金陵に鎮した。だから詩に「紛々として変わりやすい、浮雲の白。落々として鐘のように響かせがたい、老いた柏の青」とあるのは、思うにこのことを言っている。

解説

自分が引き上げた後継者に、正面から撃たれた条です。羿を射る、というのは、弓の名手が弟子に射られた故事でした。周りの動きも速い。**当時の士は、彼が天子の信を得たのを見て、王安石を追い落とせると考えた。そこで次々に鞍替えして群がった。**そして上表の一句が、この巻でいちばん苦い。**忠だけでは治めを得るに足りない、だから事ごとに自ら明らかにしようとする。義だけでは奸に勝つに足りない、だから人ごとにこれと敵対することになる。**自分に忠と義があることは疑っていません。それだけでは足りなかった、と言っています。

この章句が説くこと

恵卿入りて参ずるに及び羿を射るの意有り一時の士は其の君を得るを見て以て公を傾奪す可しと謂う遂に更ミ朋附す忠は以て治を取るに足らず故に事事其の自ら明らかならんことを欲す義は以て姦に勝つに足らず故に人人之と敵を立つ裏切り門下

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