宋名臣言行録 / 後集巻五・趙抃
韓忠獻之守安陽人將鬭訟輙自止曰吾非畏汝愧見侍中耳郡幾無事趙清獻再守杭天下劇郡清獻從容為之其政本於孝悌然不嚴而肅民不敢犯議者謂二公治民雖西京所稱循吏不能過也
新字:韓忠献之守安陽人将闘訟輙自止曰吾非畏汝愧見侍中耳郡幾無事趙清献再守杭天下劇郡清献従容為之其政本於孝悌然不厳而粛民不敢犯議者謂二公治民雖西京所称循吏不能過也
書き下し
韓忠獻の安陽を守るや、人將に鬭訟せんとして輒ち自ら止まりて曰く、吾汝を畏るるに非ず。侍中に見ゆるを愧ずるのみと。郡幾ど事無し。趙清獻再び杭を守る。天下の劇郡なり。清獻從容として之を爲す。其の政は孝悌に本づく。然れども嚴ならずして肅、民敢えて犯さず。議者謂う、二公の民を治むるは、西京の稱する所の循吏と雖も過ぐる能わずと。
現代語訳
韓琦が安陽を守っていたとき、人が争って訴え出ようとして、そのつど自分からやめて言った。「私はお前を恐れているのではない。侍中にお目にかかるのが恥ずかしいのだ」。郡はほとんど事件がなかった。趙抃はふたたび杭州を守った。天下でも難しい郡である。趙抃はゆったりと構えてこれを治めた。その政は孝と悌に基づいていた。それでいて厳しくないのに粛然として、民はあえて法を犯さなかった。論ずる者は、二人が民を治めるさまは、西京の史書が称える循吏でさえ及ばない、と言った。
解説
訴訟が減った理由が、罰の重さではありませんでした。争おうとした人が、自分でやめています。しかも理由が独特です。私はお前を恐れているのではない。侍中にお目にかかるのが恥ずかしいのだ。長官を恐れているのではなく、その人の前に自分のみっともなさを持ち出すのが嫌だ、と。趙抃も同じ形でした。厳しくないのに粛然として、民はあえて法を犯さなかった。畏れではなく、恥で止まる場が作られています。
この章句が説くこと
吾汝を畏るるに非ず侍中に見ゆるを愧ずるのみ郡幾ど事無し清献従容として之を為す其の政は孝悌に本づく然れども厳ならずして粛民敢えて犯さず恥威
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