宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦
錢明逸久在禁林不合意出為秦州居常怏怏不事事公聞之語人曰已雖不欲獨不思所部百萬生靈邪
新字:銭明逸久在禁林不合意出為秦州居常怏怏不事事公聞之語人曰已雖不欲独不思所部百万生霊邪
書き下し
錢明逸久しく禁林に在り。意に合わず、出でて秦州と爲る。居常怏怏として事を事とせず。公之を聞き、人に語りて曰く、己は雖も欲せざるも、獨り部する所の百萬の生靈を思わざるかと。
現代語訳
銭明逸は長く翰林にあった。意に合わず、外に出て秦州の長官となった。ふだんから不満げで、仕事を仕事としなかった。韓琦はこれを聞いて、人に語って言った。「自分は望まなかったにせよ、預かっている百万の生きた民のことを、それでも思わないのか」。
解説
不本意な異動そのものは咎めていません。咎めたのは、そのあとの過ごし方です。**ふだんから不満げで、仕事を仕事としなかった。**気持ちには理由がある。それを認めたうえで、視線を横へ動かします。**自分は望まなかったにせよ、預かっている百万の生きた民のことを、それでも思わないのか。**気持ちの問題を気持ちで返さず、いま自分の手の下にいる人数を出しました。四十一字で、不満の相手が朝廷から民に置き換わっています。
この章句が説くこと
銭明逸久しく禁林に在り意に合わず出でて秦州と為る居常怏怏として事を事とせず己は雖も欲せざるも独り部する所の百万の生霊を思わざるか職責不満赴任
関連する章句
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説苑・臣術泰誓に曰く、「下に附きて上を罔く者は死し、上に附きて下を罔く者は刑せらる。国政に与聞して民に益無き者は退けられ、上位に在りて賢を進むる能わざる者は逐わる」と。此れ善を勧めて悪を黜くる所以なり。故に伝に曰く、「善を傷る者は国の残なり、善を蔽う者は国の讒なり、罪無き者を愬うるは国の賊なり」と。
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論語・顔淵篇子張、政を問う。子曰く、「之に居りて倦むこと無く、之を行うに忠を以てす。」
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牧民忠告・上任官を治むるは家を治むるが如し、古人嘗(かつ)て是の訓(おし)え有り。蓋し一家の事、緩急巨細と無く、皆当に知るべき所なり。知らざる所有れば、則ち治めざる所有るなり。況んや民を牧するの長は、百責の叢(あつ)まる所、庠序(しょうじょ)の若き、伝置(でんち)の若き、倉廥(そうかい)の若き、囹圄(れいご)の若き、溝洫(こうきょく)の若き、橋障(きょうしょう)の若き、凡そ司(つかさど)る所の者甚だ衆(おお)し。時を相(み)力を度(はか)り、弊るる者は之を葺(ふ)き、汚るる者は之を潔くし、堙(うず)もるる者は之を疏(とお)し、缺くる者は之を補い、旧(もと)より無き所の者は之を経営す。若し曰わく、「彼の修めざる、何ぞ我が事に預(あずか)らん、瞬夕代(か)わり去らば、自ら苦しむこと奚(なん)為れぞ」と。此の念一たび萌さば、則ち庶務皆墮(おこた)らん。前輩謂う、「公家の務め、一毫も其の心を尽くさざれば、即ち苟禄(こうろく)と為り、罪を天に獲(う)」と。
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