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宋名臣言行録 / 後集巻一・韓琦

有問公郭逵衆人皆謂出公力曰用人等事非人臣所得專須還他主上若用人是則將順非則開陳何謂琦力始英宗欲郝質在西府公謂質固得但二府論道經邦一黥卒主之恐反使不安如狄青為中外所伏一旦居此論議紛然而去愛之適所以害之英宗沉吟久之曰如此則用郭逵粗勝質遂然之

新字:有問公郭逵衆人皆謂出公力曰用人等事非人臣所得専須還他主上若用人是則将順非則開陳何謂琦力始英宗欲郝質在西府公謂質固得但二府論道経邦一黥卒主之恐反使不安如狄青為中外所伏一旦居此論議紛然而去愛之適所以害之英宗沈吟久之曰如此則用郭逵粗勝質遂然之

書き下し

公に郭逵を問う有り。衆人皆公の力に出づと謂う。曰く、人を用うる等の事は、人臣の專らにするを得る所に非ず。須らく他の主上に還すべし。若し人を用うること是ならば則ち將順し、非ならば則ち開陳す。何ぞ琦の力と謂わんやと。始め英宗、郝質の西府に在るを欲す。公謂う、質は固より得たり。但だ二府は道を論じ邦を經る。一の黥卒之を主どらば、恐らくは反って不安ならしめん。狄青の中外の伏する所と爲るが如きすら、一旦此に居りて論議紛然として去れり。之を愛するは適ま以て之を害する所なりと。英宗沉吟すること之を久しくして曰く、此くの如くんば則ち郭逵を用うるは、粗ミ質に勝らんと。遂に之を然りとす。

現代語訳

韓琦に郭逵の起用について問う者があった。世間の人はみな、韓琦の力によるものだと言っている。韓琦は言った。「人を用いるといった事は、人臣が専らにしてよいものではない。それは主上にお返しすべきだ。もし用いる人が正しければ従って助け、間違っていれば申し述べる。どうして琦の力などと言えようか」。はじめ英宗は郝質を枢密院に置こうとした。韓琦は言った。「郝質は確かに得がたい人物です。しかし二府は道を論じ国を治めるところです。入れ墨をした一介の兵卒がこれを主どれば、かえって落ち着かなくさせるでしょう。狄青のように内外の者が心服した人物でさえ、ひとたびここに座ると議論が紛々として起こり、去っていきました。可愛がることが、ちょうどその人を害することになるのです」。英宗は長いあいだ考え込んで言った。「そうであれば、郭逵を用いるほうが郝質よりはまさろう」。ついにこれを認めた。

解説

抜擢を止めた理由が、本人の能力の話ではありませんでした。**郝質は確かに得がたい人物です。**それでも置かない。置いた先の環境が、その人を潰すからです。実例が挙がっています。**狄青のように内外の者が心服した人物でさえ、ひとたびここに座ると議論が紛々として起こり、去っていった。**この一句にまとまります。**可愛がることが、ちょうどその人を害することになる。**そして冒頭に戻ると、功を人事に置いていません。**人を用いる事は、人臣が専らにしてよいものではない。**

この章句が説くこと

人を用うる等の事は人臣の専らにするを得る所に非ず二府は道を論じ邦を経る一の黥卒之を主どらば恐らくは反って不安ならしめん狄青の中外の伏する所と為るが如きすら一旦此に居りて論議紛然として去れり之を愛するは適ま以て之を害する所なり抜擢環境

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