宋名臣言行録 / 前集巻九・孫甫
為兩浙轉運使范文正守杭以大臣或便宜行事公曰范公貴臣也吾屈於此則彼不得伸於彼矣由是一切䋲以法而常以監司自處范公遇公無倦色及退而不能無恨公遇范公不少下然退而未嘗不稱其賢也
新字:為両浙転運使范文正守杭以大臣或便宜行事公曰范公貴臣也吾屈於此則彼不得伸於彼矣由是一切䋲以法而常以監司自処范公遇公無倦色及退而不能無恨公遇范公不少下然退而未嘗不称其賢也
書き下し
兩浙轉運使と爲る。范文正、杭を守る。大臣を以て或いは便宜に事を行う。公曰く、范公は貴臣なり。吾れ此に屈すれば則ち彼、彼に伸ぶるを得ずと。是に由りて一切法を以て䋲す。而して常に監司を以て自ら處る。范公、公に遇するに倦む色無し。退きて恨む無き能わず。公、范公に遇して少しも下らず。然れども退きて未だ嘗て其の賢を稱せずんばあらざるなり。
現代語訳
両浙転運使となった。范仲淹が杭州を守っていた。大臣であるので、便宜によって事を行うことがあった。公は言った。「范公は貴い臣だ。私がここで屈すれば、あの人はあちらで伸びを止められなくなる」。これによって、すべて法によって縛った。そしていつも監察官として自分を処した。范仲淹は公に接するのに、うんざりした様子を見せなかった。退いてからは恨みが無いわけにいかなかった。公は范仲淹に接して少しも下手に出なかった。それでいて退いてからは、一度もその賢さを称えないことがなかった。
解説
相手が偉すぎるからこそ、法で縛った条です。理屈が一行です。**私がここで屈すれば、あの人はあちらで伸びを止められなくなる。**大臣が便宜で動くのを、監察の側が黙認すれば、歯止めが消える。そして両方の側の後日談が正直に書かれています。**范仲淹は面と向かってはうんざりした様子を見せず、退いてからは恨みが無いわけにいかなかった。公は少しも下手に出ず、退いてからは一度もその賢さを称えないことがなかった。**
この章句が説くこと
范公は貴臣なり吾れ此に屈すれば則ち彼彼に伸ぶるを得ず是に由りて一切法を以て䋲す常に監司を以て自ら処る公范公に遇して少しも下らず然れども退きて未だ嘗て其の賢を称せずんばあらざるなり監察歯止め敬意
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