宋名臣言行録 / 前集巻八・王徳用
皇祐六年復爲樞宻使是嵗契丹使者來公與之射使者曰天子以公典樞宻而用富公爲相得人矣語聞上喜賜公御弓一矢五十公善射至老不衰嘗侍上射辭曰幸得備位大臣舉止爲天下所視臣老矣恐不能勝弓矢上再三諭之乃手二矢再拜一發中之遂將釋復位上固勉之再發又中由是左右皆驩呼賜以襲衣金帶
新字:皇祐六年復為枢密使是歳契丹使者来公与之射使者曰天子以公典枢密而用富公為相得人矣語聞上喜賜公御弓一矢五十公善射至老不衰嘗侍上射辞曰幸得備位大臣舉止為天下所視臣老矣恐不能勝弓矢上再三諭之乃手二矢再拝一発中之遂将釈復位上固勉之再発又中由是左右皆驩呼賜以襲衣金帯
書き下し
皇祐六年、復た樞宻使と爲る。是の歳、契丹の使者來る。公、之と射る。使者曰く、天子、公を以て樞宻を典らしめ、而して富公を用いて相と爲す。人を得たりと。語聞す。上喜びて公に御弓一・矢五十を賜う。公、善く射て老に至るまで衰えず。嘗て上に侍して射る。辭して曰く、幸いに位を大臣に備うるを得たり。舉止、天下の視る所と爲る。臣老いたり。恐らくは弓矢に勝う能わずと。上、再三之を諭す。乃ち二矢を手にして再拜す。一發して之に中つ。遂に將に釋きて復位せんとす。上固く之を勉ます。再び發して又た中つ。是に由りて左右皆な驩呼す。賜うに襲衣・金帶を以てす。
現代語訳
皇祐六年、ふたたび枢密使となった。この年、契丹の使者が来た。公はその者と弓を射た。使者は言った。「天子が公に枢密を掌らせ、そのうえ富弼を用いて宰相とされた。人を得たというべきだ」。その言葉が奏上された。帝は喜んで公に御用の弓一張と矢五十を賜った。公は弓が上手で、年老いても衰えなかった。あるとき帝に侍って射た。辞退して言った。「幸いに大臣の位を占めさせていただいております。立ち居振る舞いは天下の見るところです。臣は年老いました。恐らく弓矢に堪えられません」。帝は再三勧めた。そこで二本の矢を手に取って再び拝礼した。一発で当てた。そのまま弓を置いて席に戻ろうとした。帝は固く励ました。もう一度射て、また当てた。そこで左右の者はみな歓声を上げた。衣一揃いと金の帯を賜った。
解説
この章句が説くこと
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『塩鉄論』褒賢篇文學曰く、善を志す者は惡を忘れ、小を謹む者は大を致す。俎豆の間は以て禮を觀るに足り、閨門の內は以て行いを論ずるに足る。夫れ古の服を服し、古の道を誦し、此を舍てて非を為す者は、鮮なし。故に君子は時ありて然る後に言い、義ありて然る後に取る、道を以て之を得ざれば居らざるなり。滿ちて溢れず、泰にして驕らず。故に袁盎は景帝に親しきも、馬を秣うこと一駟に過ぎず、公孫弘は三公の位に即くも、家は十乘に過ぎず、東方先生は說けば聽かれ言えば武帝に行わるるも、驕溢せず、主父は困厄を見ること日々久し、位に在る者の道を好まずして富み且つ貴く、士を恤むを知る莫きを疾む、是に於いて饒衍の余を取りて以て窮士の急を周う、私家の業を為すに非ざるなり。當世囂囂たり、儒の雞廉を患うるに非ず、患いは位に在る者の虎のごとく飽き鴟のごとく咽み、求覽に於いて孑遺する所無きに在るのみ。
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『呻吟語』内篇・修身・軒冕は甚の物事ぞ韋弁布衣は、是れ我が生まれし初めの服なり。愧ぢずんば、此の生儘く以て大造に還す可し。軒冕は是れ甚の物事ぞ。個の丈夫を將て做し壞せり。甚の面目有りてか那の青天白日に對せん。是れ宇宙中の一の腐臭物なり。乃ち眉を揚げ氣を吐き、此を以て人に誇り、而して世人共に之を榮とし慕ふは、亦た大いに異なる事なり。
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『呻吟語』外篇・品藻・其の世教を壞ること細ならず淺識狹聞に狃れ、偏見曲說を執り、陋規格套を守る。斯の人や若し鄉里の常人と為らば、輕重するに足らず。若し高位に居り令名有らば、其の世教を壞ること細ならず。
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孟子・盡心章句上孟子曰く、「古の賢王は善を好みて勢いを忘る。古の賢士、何ぞ獨り然らざらん。其の道を樂しみて、人の勢いを忘る。故に王公も敬を致し禮を盡くさずんば、則ち亟々之を見るを得ず。見ることすら且つ猶ほ亟々するを得ず、而るを況んや得て之を臣とするをや。」
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『呻吟語』内篇・修身・賢者は其の貴重を忘る尊大の位に居りて、賢者をして其の貴重を忘れしめ、卑き者をして親炙するを樂しましむれば、則ち其の人知る可きなり。
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『講孟余話』告子上 第十七章趙孟の貴くする所は、趙孟能く之を賤しくす。此の事仕途に進む者最も深く戒むべき所なり。大丈夫自立の処なかるべからず。人に倚りて貴く、人に倚りて賤しきは、大丈夫の深く恥づる所なり。若し吾が才管仲の如くんば、鮑叔が能く貴賤する所に非ず。吾が才韓信の如くんば、蕭何が能く貴賤する所に非ず。大抵国家天下の事、必ず吾を待ちて然る後局を了する様なれば、其の人能く自立すると云ふべし。果して然らば、趙孟が能く貴賤する所に非ず。韓文公の柳子厚墓誌銘に、「子厚儁傑廉悍、議論今古を証拠し、経史百子に出入し、踔厲風発、率常に其の座人を屈す。名声大いに振ひ、一時皆慕ひて之と交る。諸公要人、争ひて我が門下に出でしめんと欲し、口を交へて之を薦誉す」とあり。余謂へらく、子厚素より才なり。然れども此の時声名已に其の実に過ぎ、又鋭進の気過ぎて甚だし。是れ其の身を失ふ所以なり。若し子厚、此の時一歩を退き、門下に出でしめんと欲するの諸公怒ると云へども顧みず、退きて巌穴に処ること十余年、志を養ひ学を畜へ、然る後仕途に進まば、仮令顚跌して永州・柳州に貶竄せらるるとも、附会の恥を免るべし。誠に惜しむべきかな。

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