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宋名臣言行録 / 前集巻一・曹彬

太祖遣彬等下江南許以平定之日授之相印洎凱旋恩禮愈厚而絶無前命彬等因曲宴從容陳叙及之上曰非忘之也頋念河東未下而卿等官位隆重豈可更親此事耶彬等宴退其家各賜錢百萬其重爵勸功若此(沂公筆錄)彬怏怏而退至家見錢滿室乃歎曰好官亦不過多得錢耳何必使相也

新字:太祖遣彬等下江南許以平定之日授之相印洎凱旋恩礼愈厚而絶無前命彬等因曲宴従容陳叙及之上曰非忘之也頋念河東未下而卿等官位隆重豈可更親此事耶彬等宴退其家各賜銭百万其重爵勧功若此(沂公筆録)彬怏怏而退至家見銭満室乃嘆曰好官亦不過多得銭耳何必使相也

書き下し

太祖、彬等を遣わして江南を下さしめ、許すに平定の日を以て之に相印を授けんとす。凱旋するに洎び、恩禮愈々厚くして、絶えて前命無し。彬等曲宴に因りて從容として陳叙して之に及ぶ。上曰く、忘るるに非ざるなり。頋みて河東未だ下らざるを念う。而して卿等の官位隆重なり。豈に更に此の事に親しむ可けんやと。彬等宴退き、其の家に各々錢百萬を賜う。其の爵を重んじ功を勸むること此くの若し。(沂公筆錄)彬怏怏として退き、家に至りて錢の室に滿つるを見、乃ち歎じて曰く、好官も亦た多く錢を得るに過ぎざるのみ。何ぞ必ずしも使相ならんやと。

現代語訳

太祖は曹彬らを遣わして江南を下させ、平定の日には宰相の印を授けると約束していた。凱旋してみると、恩と礼はいよいよ手厚いのに、前の約束にはまったく触れない。曹彬らは内輪の宴の折に、落ち着いてそのことを述べた。太祖は言った。「忘れたのではない。振り返れば河東はまだ落ちていない。それにおまえたちの官位はすでに高く重い。どうしてさらにこの位に近づけようか」。曹彬らが宴を退くと、それぞれの家に銭百万が賜わった。爵位を重んじ功に報いるさまがこのようであった。(沂公筆録)曹彬は不満のまま退き、家に着いて銭が部屋いっぱいなのを見て、こう嘆じた。「よい官職といっても、しょせん銭を多く得るに過ぎない。何も宰相でなくてもよいではないか」。

解説

約束された宰相の位が来なかった話です。太祖の言い分は二つ。河東がまだ落ちていない、それにおまえたちの官位はすでに高い。代わりに銭百万が家に届きました。**よい官職といっても、しょせん銭を多く得るに過ぎない。何も宰相でなくてもよい。**不満を抱えて帰った人が、部屋いっぱいの銭を見て自分で自分を納得させた一言です。負け惜しみとも読めますし、位への執着が抜けた瞬間とも読める。編者は判定を書いていません。

この章句が説くこと

好官も亦た多く銭を得るに過ぎざるのみ何ぞ必ずしも使相ならんや平定の日を以て之に相印を授けんとするも絶えて前命無し其の爵を重んじ功を勧むること此くの若し約束地位報酬

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