甲陽軍鑑 / 品第四十三
件の大將にも、破敵·隨敵の二あり、破敵とはやぶる敵、隨敵とはしたがふ敵、それをしる事其國より來る、諸牢人に彼大將の萬づ行政一切の仕形の中に、侍のせんさく·ひはんの樣子をよく尋て、能くきいてたゝかふべき、もくさんのならし尤もの事、
新字:件の大将にも、破敵·随敵の二あり、破敵とはやぶる敵、随敵とはしたがふ敵、それをしる事其国より来る、諸牢人に彼大将の万づ行政一切の仕形の中に、侍のせんさく·ひはんの様子をよく尋て、能くきいてたゝかふべき、もくさんのならし尤もの事、
書き下し
件の大将にも、破敵·随敵の二あり、破敵とはやぶる敵、随敵とはしたがふ敵、それをしる事其国より来る、諸牢人に彼大将の万づ行政一切の仕形の中に、侍のせんさく·ひはんの様子をよく尋て、能くきいてたゝかふべき、もくさんのならし尤もの事、
現代語訳
件の大将にも、破敵・随敵の二つがある。破敵とは破る敵、随敵とは従う敵。それを知る事は、その国から来る諸牢人に、あの大将の万づの行政、一切の仕形の中に、侍の詮索や批判の様子をよく尋ねて、よく聞いて戦うべきである。目算の慣らし、もっともの事。
解説
同じ強敵でも、破るべき敵か、従えられる敵かを分ける。その見分けは、その国から流れて来た牢人に聞くという。しかも聞くのは兵力や城ではなく、あの大将が侍をどう詮索し、どう批判しているかである。人の扱い方に、その家の壊れやすさが出る。人の扱い方に、その家の壊れやすさが出る。だから聞くのは兵力や城ではなく、侍をどう詮索し、どう批判しているかのほうになる。
この章句が説くこと
破敵随敵牢人情報人の扱い見分け
関連する章句
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『墨子』尚同中故に古者、聖王は唯だ壹に尚同を以て正長と為す。是れ上下、請謁して通を為す。上に隠事遺利有れば、下、得て之を利し、下に蓄怨積害有れば、上、得て之を除く。是を以て數千萬里の外に善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、鄉里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を賞す。數千萬里の外に不善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、郷里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を罰す。是を以て天下の人を舉げて皆な恐懼振動惕慄して、敢えて淫暴を為さず、曰く、「天子の視聴や神なり」と。先王の言に曰く、「神に非ざるなり。夫れ唯だ能く人の耳目をして己が視聴を助けしめ、人の吻をして己が言談を助けしめ、人の心をして己が思慮を助けしめ、人の股肱をして己が動作を助けしむればなり」と。之を視聴するを助くる者衆ければ、則ち其の聞見する所の者は逺し。之を言談するを助くる者衆ければ、則ち其の徳音の撫循する所の者は博し。之を思慮するを助くる者衆ければ、則ち其の謀慮は速やかに得らる。之を動作するを助くる者衆ければ、則ち其の事を舉ぐること速やかに成る。
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『墨子』尚同下子墨子言いて曰く、「知者の事は、必ず國家百姓の治まる所以の者を計りて之を為し、必ず國家百姓の亂るる所以の者を計りて之を辟く。然らば國家百姓の治まる所以の者を計るに何ぞや。上の政を為すや、下の情を得れば則ち治まり、下の情を得ざれば則ち亂る。何を以て其の然るを知るや。上の政を為すや、下の情を得れば、則ち是れ民の善非に明らかなり。茍くも民の善非に明らかなるが若くんば、則ち善人を得て之を賞し、暴人を得て之を罰するなり。善人賞せられて暴人罰せらるれば、則ち國必ず治まる。上の政を為すや、下の情を得ざれば、則ち是れ民の善非に明らかならず。若し茍くも民の善非に明らかならずんば、則ち是れ善人を得て之を賞せず、暴人を得て之を罰せず。善人賞せられずして暴人罰せられず、政を為すこと此くの若くんば、國衆必ず亂る。故に賞は下の情を得ざれば、而ち察せざる可からざる者なり」と。
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孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。
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孫子・用間篇相守ること数年、以て一日の勝を争う。而るに爵禄百金を愛しみて、敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。人の将に非ざるなり、主の佐に非ざるなり、勝の主に非ざるなり。
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『墨子』尚同下是の故に古の聖王の天下を治むるや、千里の外に賢人有り、其の鄉里の人、皆な未だ之を均しく聞き見ざるに、聖王、得て之を賞す。千里の外に暴人有り、其の鄉里、未だ之を均しく見ざるに、聖王、得て之を罰す。故に唯だ聖王を以て耳聡く目明らかなりと為す毋からんや。豈に能く一たび視て千里の外を通見せんや、一たび聴きて千里の外を通聞せんや。聖王は往きて視るにあらざるなり、就きて聴くにあらざるなり。然れども天下の冦亂盜賊を為す者をして、天下を周流するも足を重ぬる所無からしむるは、何ぞや。其の尚同を以て政を為すこと善ければなり。