甲陽軍鑑 / 品第四十三
右之三人談合して、西は美濃岩村·同かんの大寺·三河野田足助·關東相摸·武藏境·新田足利境·越後境·飛彈·越中·椎名が居舘迄通り筋に、ぬかわら出し置き、是れは御分國にて百貫の高に付、糠二十俵·藁二十把出させ、是れを置きて道通り町人·百姓に十分一をくれて、やすくうらする故、度々の陣にも諸侍糠·藁にことかく事なし、殊に糠·藁うつたる代物をば本の百姓へ返へすなり、上意なれ共如件、おしばかるは是れ以て信玄公御自利能人を召つかひ給ふ故なり一信虎公の御代には、
新字:右之三人談合して、西は美濃岩村·同かんの大寺·三河野田足助·関東相摸·武蔵境·新田足利境·越後境·飛弾·越中·椎名が居舘迄通り筋に、ぬかわら出し置き、是れは御分国にて百貫の高に付、糠二十俵·藁二十把出させ、是れを置きて道通り町人·百姓に十分一をくれて、やすくうらする故、度々の陣にも諸侍糠·藁にことかく事なし、殊に糠·藁うつたる代物をば本の百姓へ返へすなり、上意なれ共如件、おしばかるは是れ以て信玄公御自利能人を召つかひ給ふ故なり一信虎公の御代には、
書き下し
右之三人談合して、西は美濃岩村·同かんの大寺·三河野田足助·関東相摸·武蔵境·新田足利境·越後境·飛弾·越中·椎名が居舘迄通り筋に、ぬかわら出し置き、是れは御分国にて百貫の高に付、糠二十俵·藁二十把出させ、是れを置きて道通り町人·百姓に十分一をくれて、やすくうらする故、度々の陣にも諸侍糠·藁にことかく事なし、殊に糠·藁うつたる代物をば本の百姓へ返へすなり、上意なれ共如件、おしばかるは是れ以て信玄公御自利能人を召つかひ給ふ故なり一信虎公の御代には、
現代語訳
右の三人が談合して、西は美濃の岩村・同じく神の大寺・三河の野田・足助、関東は相模・武蔵境・新田・足利境・越後境・飛騨・越中、椎名の居館まで、通り筋に糠と藁を出し置き、これは御分国にて百貫の高につき糠二十俵・藁二十把を出させ、これを置いて、道通りの町人・百姓に十分の一を与えて安く売らせるゆえに、度々の陣にも諸侍が糠・藁に事欠く事がない。殊に糠・藁を売った代物をば、元の百姓へ返すのである。上意であるけれども、この件のごとし。推し量るに、これをもって信玄公が御自利、よく人を召し使い給うゆえである。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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孫子・行軍篇奔走して兵を陳ぬる者は、期するなり。半ば進み半ば退く者は、誘うなり。
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孫子・作戦篇孫子曰く、凡そ兵を用うるの法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里に糧を饋る。則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費やし、然る後に十万の師挙がるなり。
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三略・上略軍讖に曰く、兵を用うるの要は、必ず先ず敵情を察し、其の倉庫を視、其の糧食を度り、其の強弱を卜し、其の天地を察し、其の空隙を伺う、と。故に国に軍旅の難無くして糧を運ぶ者は、虚なり。民に菜色ある者は、窮なり。千里に糧を饋れば、士に飢色有り。樵蘇して後に爨げば、師は宿として飽かず。夫れ糧を千里に運びて一年の食無く、二千里にして二年の食無く、三千里にして三年の食無きを、是を国虚と謂う。国虚なれば、則ち民貧し。民貧しければ、則ち上下親しまず。敵は其の外を攻め、民は其の内に盗む。是を必潰と謂う。
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孫子・作戦篇兵を善く用うる者は、役に再び籍せず、糧を三たび載せず。国に用を取り、敵に因りて糧をし、故に軍食足るべし。
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孟子・離婁章句上孟子曰く、「離婁の明、公輸子の巧も、規矩を以てせざれば、方員を成すこと能わず。師曠の聰も、六律を以てせざれば、五音を正すこと能わず。堯舜の道も、仁政を以てせざれば、天下を平治すること能わず。今、仁心仁聞有りて、而も民其の澤を被らず、後世に法る可からざる者は、先王の道を行わざればなり。故に曰く、『徒善は以て政を為すに足らず、徒法は以て自ら行わるること能わず。』詩に云う、『愆らず忘れず、舊章に率い由る。』先王の法に遵いて過つ者は、未だ之れ有らざるなり。聖人既に目の力を竭くし、之に繼に規矩準繩を以てす。以て方員平直を為すこと、用うるに勝う可からざるなり。既に耳力を竭くし、之に繼ぐに六律を以てす。五音を正すこと、用うるに勝う可からざるなり。既に心思を竭くし、之に繼ぐに人に忍びざるの政をを以てす。而うして仁天下を覆う。故に曰く、『高きを為すには、必ず丘陵に因り、下きを為すには、必ず川澤に因る。』政を為すに、先王の道に因らずんば、智と謂う可けんや。是を以て惟だ仁者のみ宜しく高位に在るべし。不仁にして高位に在るは、是れ其の惡を衆に播するなり。上に道揆無く、下に法守無く、朝は道を信ぜず、工は度を信ぜず、君子は義を犯し、小人は刑を犯して、國の存する所の者は幸いなり。故に曰く、『城郭完からず、兵甲多からざるは、國の災いに非ざるなり。田野辟けず、貨財聚まらざるは、國の害に非ざるなり。』上、禮無く、下、學無ければ、賊民興り、喪ぶること日無けん。詩に曰く、『天の方に蹶(くつがえす)えさんとする、然く泄泄すること無かれ。』泄泄とは、猶ほ沓沓のごときなり。君に事えて義無く、進退禮無く、言えば則ち先王の道を非る者は、猶ほ沓沓のごときなり。故に曰く、『難きを君に責む、之を恭と謂う。善を陳べ邪を閉づる、之を敬と謂う。吾が君能わずとす、之を賊と謂う。』」
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『韓非子』定法第四十三君術無ければ則ち上に弊われ、臣法無ければ則ち下に亂る。此れ一も無かる可からず、皆な帝王の具なり。