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甲陽軍鑑 / 品第四十七

ちんてうはいまうして御膝をだきいり、奉賴べきとことはりを五日前にしる人になりては六日目に、はや臺所より、ねり入ほどの器用者なれば、長坂長閑·跡部大炊談合に牢人衆の中にて、荒川新之丞·村井久之丞二人は、なにを被仰付ても一かど然るべき人なり、是非共御取成し申べきとのことなれども、前にかわる事もなき所に卒爾に申上るに付ては、よきにはならずして結句面々旁まであしかるべしと存、

新字:ちんてうはいまうして御膝をだきいり、奉頼べきとことはりを五日前にしる人になりては六日目に、はや台所より、ねり入ほどの器用者なれば、長坂長閑·跡部大炊談合に牢人衆の中にて、荒川新之丞·村井久之丞二人は、なにを被仰付ても一かど然るべき人なり、是非共御取成し申べきとのことなれども、前にかわる事もなき所に卒爾に申上るに付ては、よきにはならずして結句面々旁まであしかるべしと存、

書き下し

ちんてうはいまうして御膝をだきいり、奉頼べきとことはりを五日前にしる人になりては六日目に、はや台所より、ねり入ほどの器用者なれば、長坂長閑·跡部大炊談合に牢人衆の中にて、荒川新之丞·村井久之丞二人は、なにを被仰付ても一かど然るべき人なり、是非共御取成し申べきとのことなれども、前にかわる事もなき所に卒爾に申上るに付ては、よきにはならずして結句面々旁まであしかるべしと存、

現代語訳

長坂長閑・跡部大炊の談合に、牢人衆の中にて荒川新之丞・村井久之丞の二人は、何を仰せ付けられても一かどしかるべき人である。是非とも御取り成し申すべきとの事であるけれども、前に変わる事もなき所に卒爾に申し上ぐるにつきては、よきにはならずして、結局は面々・方々まで悪しかるべしと存じ、一言申す事ならず。さて右の荒川新之丞・村井久之丞の両人が、長坂長閑・跡部大炊をもって落合彦助を討ちて参るべしと申し上ぐる。長閑・大炊はかねてより二人の牢人衆を別して介抱申すにつき、すなわち隠密にて披露いたす。

解説

推したくても、何のきっかけもない所で急に持ち出せば自分たちの立場まで悪くなる、と口をつぐんでいた。そこへ本人たちが討手を志願してくる。推す口実が向こうから来た形で、待っていた側がすぐに取り次いでいる。推す口実が向こうから来た形で、待っていた側がすぐに取り次いでいる。きっかけのない所で急に持ち出せば、自分たちの立場まで悪くなるからである。

この章句が説くこと

取成し口実遠慮志願長坂跡部

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