甲陽軍鑑 / 品第四十七
抑分別して御覽ぜよ、我等が生國甲州にてならば、討すます事も有るべし、他國にての事、まして敵の居所これよりは少し隔だゝりたれ共、信濃は先あひ手の本國なれば、うちすます事が十が一ツなるべし、さあり詮なき友達の命をうしなはせ申しては、かばねの上の恥なるべし、
新字:抑分別して御覧ぜよ、我等が生国甲州にてならば、討すます事も有るべし、他国にての事、まして敵の居所これよりは少し隔だゝりたれ共、信濃は先あひ手の本国なれば、うちすます事が十が一ツなるべし、さあり詮なき友達の命をうしなはせ申しては、かばねの上の恥なるべし、
書き下し
抑分別して御覧ぜよ、我等が生国甲州にてならば、討すます事も有るべし、他国にての事、まして敵の居所これよりは少し隔だゝりたれ共、信濃は先あひ手の本国なれば、うちすます事が十が一ツなるべし、さあり詮なき友達の命をうしなはせ申しては、かばねの上の恥なるべし、
現代語訳
そもそも分別して御覧ぜよ。我らが生国の甲州にてならば、討ち済ます事もあるべし。他国にての事、まして敵の居所はこれよりは少し隔たりたれども、信濃はまず相手の本国であれば、討ち済ます事が十が一つなるべし。そうであって、詮なき友達の命を失わせ申しては、屍の上の恥なるべし。
解説
自国でならできるが、相手の本国では十に一つしか成らないと見積もる。その勝算で友を巻き込めば、死んだ後に恥が残る。断る理由が、情ではなく成算の見込みと、その後の名で語られている。断る理由が、情ではなく成算の見込みと、その後の名で語られている。相手の本国では十に一つしか成らない、という見積もりが先に立つ。
この章句が説くこと
成算他国友巻込み恥分別
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