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甲陽軍鑑 / 品第四十七

さて兩方ひいきの輩、赤口關左衞門寺川四郞右衛門におし付られたる間寺川手抦と云ふ、赤口關左衞門方は機を取失ふほど寺川をふみたふしたる、是は赤口關左衛門利口なるといふもあり、僉議まち〳〵の事なれば、目付の人廿人頭、橫目の小人頭其日に聞付候、惣別信玄公御仕置に善惡の事、何事においても三日に一度書立を以て言上いたせとある目付衆へ御仕置故御耳に立、其座にある侍衆めしよせられ、双方の仕形をきこしめすに、何れの口も兩方共に少しも脇指心なし、諸人きこつたへの批判にも、わきざしの心なしとあり、

新字:さて両方ひいきの輩、赤口関左衛門寺川四郎右衛門におし付られたる間寺川手抦と云ふ、赤口関左衛門方は機を取失ふほど寺川をふみたふしたる、是は赤口関左衛門利口なるといふもあり、僉議まち〳〵の事なれば、目付の人廿人頭、横目の小人頭其日に聞付候、惣別信玄公御仕置に善悪の事、何事においても三日に一度書立を以て言上いたせとある目付衆へ御仕置故御耳に立、其座にある侍衆めしよせられ、双方の仕形をきこしめすに、何れの口も両方共に少しも脇指心なし、諸人きこつたへの批判にも、わきざしの心なしとあり、

書き下し

さて両方ひいきの輩、赤口関左衛門寺川四郎右衛門におし付られたる間寺川手抦と云ふ、赤口関左衛門方は機を取失ふほど寺川をふみたふしたる、是は赤口関左衛門利口なるといふもあり、僉議まち〳〵の事なれば、目付の人廿人頭、横目の小人頭其日に聞付候、惣別信玄公御仕置に善悪の事、何事においても三日に一度書立を以て言上いたせとある目付衆へ御仕置故御耳に立、其座にある侍衆めしよせられ、双方の仕形をきこしめすに、何れの口も両方共に少しも脇指心なし、諸人きこつたへの批判にも、わきざしの心なしとあり、

現代語訳

さて両方の贔屓の輩は、赤口関左衛門が寺川四郎右衛門に押し付けられたあいだ、寺川の手柄と言う。赤口関左衛門の方は、機を取り失うほど寺川を踏み倒したのだから、これは赤口関左衛門が利口であると言うもあり。僉議がまちまちの事であれば、目付の人、二十人頭、横目の小人頭がその日に聞き付け候。総別、信玄公の御仕置きに、善悪の事は何事においても三日に一度、書き立てをもって言上いたせとある目付衆への御仕置きゆえに御耳に立ち、その座にある侍衆を召し寄せられ、双方の仕形を聞こし召すに、いずれの口も両方ともに少しも脇指心なし。諸人の聞き伝えの批判にも、脇指の心なしとあり。

解説

どちらの手柄かで見方が割れる。その日のうちに目付が聞き付け、三日に一度は善悪を書いて上げよという定めがあるので主の耳に入る。そして居合わせた者を全員呼んで両方の仕形を聞き、どちらにも刀を抜く気がなかったと確かめている。三日に一度は善悪を書いて上げよという定めがあるので、その日のうちに主の耳に入る。居合わせた者を全員呼んで、両方の仕形を聞いている。

この章句が説くこと

目付報告三日僉議脇指信玄

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