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甲陽軍鑑 / 品第四十

或夜又信玄公各御咄し衆へ仰下さるゝ、人間は大小によらず身をもつ事一ツあり、各是にあたりてみよとの御諚候、各暫く有て申上る、何と思案いたしても更に分別に及ばずと申せば、信玄公そこにて仰出さるゝ、人は只我したき事せずして、いやと思ふことを仕るならば、分々躰々全身をもつべしとのたもふなり一或夜信玄公宣ふは、

新字:或夜又信玄公各御咄し衆へ仰下さるゝ、人間は大小によらず身をもつ事一ツあり、各是にあたりてみよとの御諚候、各暫く有て申上る、何と思案いたしても更に分別に及ばずと申せば、信玄公そこにて仰出さるゝ、人は只我したき事せずして、いやと思ふことを仕るならば、分々体々全身をもつべしとのたもふなり一或夜信玄公宣ふは、

書き下し

或夜又信玄公各御咄し衆へ仰下さるゝ、人間は大小によらず身をもつ事一ツあり、各是にあたりてみよとの御諚候、各暫く有て申上る、何と思案いたしても更に分別に及ばずと申せば、信玄公そこにて仰出さるゝ、人は只我したき事せずして、いやと思ふことを仕るならば、分々体々全身をもつべしとのたもふなり一或夜信玄公宣ふは、

現代語訳

ある夜また信玄公が、それぞれ御咄衆へ仰せ下されるには、人間は大小によらず身を保つ事が一つある。それぞれこれに当たってみよ、との御諚であった。それぞれしばらくあって申し上げるには、何と思案いたしましても、まったく分別に及びませんと申すと、信玄公はそこで仰せ出される。人はただ、自分のしたい事をせずに、いやだと思う事をするならば、分に応じ体に応じて全き身を保つべきである、と仰せられたのである。

解説

問いを出して考えさせ、誰も答えられないところで信玄が答える。したいことをせず、いやなことをする。それだけで身は保てるという、極端に単純な答えである。分々躰々という言葉が添えられていて、身分や器に応じてという条件が付いている。分々躰々という言葉が添えられていて、身分や器に応じてという条件が付いている。したいことをせず、いやなことをする、それだけである。

この章句が説くこと

自制好悪信玄問答

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