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甲陽軍鑑 / 品第十二

卷第四利根過たる大將の事付北條家上杉家〓川中島合戰物語之事第二番には利根過たる大將なり、此大將の樣子は大畧がさつなるをもつて、をごりやすうしてめりやすし、能武士は大身·小身に寄らず能事あれども侮ことなし、惡き仕合の時もさのみめらず、是は賢にして心剛成る故如此、不肖は無分別にて心愚癡成る間、大身·中身·小身共にあやまり多く、殊更利根過たる大將は邪欲深ければ、

新字:巻第四利根過たる大将の事付北条家上杉家〓川中島合戦物語之事第二番には利根過たる大将なり、此大将の様子は大略がさつなるをもつて、をごりやすうしてめりやすし、能武士は大身·小身に寄らず能事あれども侮ことなし、悪き仕合の時もさのみめらず、是は賢にして心剛成る故如此、不肖は無分別にて心愚癡成る間、大身·中身·小身共にあやまり多く、殊更利根過たる大将は邪欲深ければ、

書き下し

巻第四利根過たる大将の事付北条家上杉家〓川中島合戦物語之事第二番には利根過たる大将なり、此大将の様子は大略がさつなるをもつて、をごりやすうしてめりやすし、能武士は大身·小身に寄らず能事あれども侮ことなし、悪き仕合の時もさのみめらず、是は賢にして心剛成る故如此、不肖は無分別にて心愚癡成る間、大身·中身·小身共にあやまり多く、殊更利根過たる大将は邪欲深ければ、

現代語訳

巻第四、利根が過ぎたる大将のこと。付けたり、北条家・上杉家ならびに川中島合戦物語のこと。第二番には利根が過ぎたる大将である。この大将の様子は、おおかたがさつであるので、驕りやすくして侮りやすい。よい武士は大身・小身によらず、よいことがあっても侮ることがない。悪い巡り合わせの時も、それほど気落ちしない。これは賢くて心が剛であるゆえにこのとおりである。不肖の者は無分別で心が愚痴であるので、大身・中身・小身ともに誤りが多い。ことさら利根が過ぎたる大将は邪慾が深い。

解説

四人の悪い大将の二番目、賢すぎる大将の話が始まる。賢いはずの人がなぜがさつになるかというと、驕りやすく人を侮りやすいからだという。良い武士の見分け方が対に置かれていて、良い時に侮らず、悪い時に落ち込まない、という上下の振れ幅の小ささで測られている。良い時に侮らず、悪い時に落ち込まない。上下の振れ幅の小ささで人を測るというこの物差しは、賢さそのものを測る物差しではない。

この章句が説くこと

利根分別大将

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