後世への最大遺物 / 改版に附する序・天地無始終、人生有生死
そして彼らの内にある者は早くすでに立派にキリスト教を「卒業」して今は背教者をもって自から任ずる者もあります。またはこの書によって信者になりて、キリスト教的文士となりて、その攻撃の鉾を著者なる私に向ける人もあります。実に世はさまざまであります。そして私は幸いにして今日まで生存らえて、この書に書いてあることに多く違わずして私の生涯を送ってきたことを神に感謝します。この小著そのものが私の「後世への最大遺物」の一つとなったことを感謝します。「天地無始終、人生有生死」であります。しかし生死ある人生に無死の生命を得るの途が供えてあります。天地は失せても失せざるものがあります。そのものをいくぶんなりと握るを得て生涯は真の成功であり、また大なる満足であります。
書き下し
そして彼らの内にある者は、早くすでに立派にキリスト教を「卒業」して、今は背教者をもって自ら任ずる者もあります。またはこの書によって信者になりて、キリスト教的文士となりて、その攻撃の鉾を著者なる私に向ける人もあります。実に世はさまざまであります。そして私は幸いにして今日まで生きながらえて、この書に書いてあることに多くたがわずして私の生涯を送ってきたことを神に感謝します。この小著そのものが私の「後世への最大遺物」の一つとなったことを感謝します。「天地に始めと終わりは無く、人生には生と死がある」であります。しかし生死ある人生に、死の無い生命を得る道が供えてあります。天地は失せても、失せざるものがあります。そのものをいくぶんなりと握るを得て、生涯は真の成功であり、また大なる満足であります。
現代語訳
その人たちの中には、早々とキリスト教を立派に卒業して、今は背教者をもって自任する者もいます。あるいはこの本によって信者になり、キリスト教的な文筆家となって、その攻撃の矛先を著者である私に向ける人もいます。まったく世はさまざまです。そして私は幸いに今日まで生きながらえ、この本に書いたことから大きく外れずに自分の一生を送ってこられたことを、神に感謝します。この小さな本そのものが、私の後世への最大遺物の一つになったことを感謝します。天地に始まりも終わりもなく、人の一生には生と死がある。けれども、生き死にのある人生の中に、死なない命を得る道が用意されています。天地が消えても消えないものがある。そのものをいくらかでも手にできてこそ、一生は本当の成功であり、大きな満足なのです。
解説

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本の中身を見るこの章句が説くこと
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言志四録・言志録 第百六十八条 其の言を儒にして行を儒にせず其の言を儒にして其の行を儒にせずんば、則ち其の言や、秖に躬自ら謗るのみ。
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言志四録・言志晩録 第百七十条 口を以て己の行を誘ふ勿れ口を以て己の行を誘ふこと勿れ。耳を以て人の言を聞くこと勿れ。
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論語・公冶長篇宰予昼寝ぬ。子曰く、「朽木は雕る可からざるなり、糞土の牆は杇る可からざるなり。予に於いてか何ぞ誅めん。」子曰く、「始め吾人に於けるや、其の言を聴きて其の行を信ぜり。今吾人に於けるや、其の言を聴きて其の行を観る。予に於いてか是を改む。」
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『武治提要』知人・第6段言を聞、行を察して、而して二のものを校量すべし。言行應當するものは常なり。言可にして行不可なるは、內に伏するものある歟、或は文に過て質にたらざるもの也。言不可にして行可なるは、文にたらずして質に過る歟、或は口舌に習慣すること深からざるもの也。爰に至て人品三等の大旨を記すべし。言行應當して可なるものは上材に屬す、言に不足して行の不可なるは中材に屬ず、言足て行不可なるは下材に屬す。善人の目五等にして、五を全く乘るものは士の粹なり、これを得ること尤も難し。二つ三つを有するものは中品なり。一つあるものは下品なり。下品なりといへども其功業重大なるときは、又小功の二つ三つを有するに超越することあり。此間の批判甚幽微にして、其品料の的切を得ること尤も難し。凡言行の撰如此して、而して后に其本意をはかるべし。若外表の言行のみを以て可否を定るときは、其實を得べからず。第二、料知と云は、外にあらわれずして內に伏する處の本意實趣を知こと也。見知を以て外を知といへども、料知を以て其內を詳にせざるときは、必ず可否をあやまつ、故に料知の道尤幽微なり。料知の大綱亦二義あり。第一かれが室內の常の政を察するなり。
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呉子・図国篇呉起、儒服にして兵機を以て魏の文侯に見ゆ。文侯曰く、「寡人は軍旅の事を好まず」と。起曰く、「臣は見るるところを以て隠れたるを占い、往きしを以て来たるを察す。主君何ぞ言と心と違うことを言わるるや。今、君は四時に人をして皮革を斬り離たしめ、掩うに朱漆を以てし、画くに丹青を以てし、爍かすに犀象を以てす。冬日に之を衣れば則ち温かならず、夏日に之を衣れば則ち涼しからず。長戟は二丈四尺、短戟は一丈二尺を為る。革車は戸を奄い、輪を縵にし轂を籠む。之を目に観れば則ち麗しからず、之に乗りて以て田すれば則ち軽からず。識らず、主君安んぞ此を用いんや。若し以て進みて戦い退きて守るに備うるも、能く用うる者を求めざれば、譬えば猶お伏鶏の狸を搏ち、乳犬の虎を犯すがごとし。闘心有りと雖も、之に随いて死せんのみ。昔、承桑氏の君は、徳を修めて武を廃し、以て其の国を滅ぼせり。有扈氏の君は、衆を恃み勇を好み、以て其の社稷を喪えり。明主は茲に鑒み、必ず内には文徳を修め、外には武備を治む。故に敵に当たりて進まざるは、義に逮ぶこと無きなり。僵屍して之を哀しむは、仁に逮ぶこと無きなり」と。是に於いて文侯は身自ら席を布き、夫人は觴を捧げ、呉起を廟に醮し、立てて大将と為し、西河を守らしむ。諸侯と大いに戦うこと七十六、全勝六十四、余は則ち鈞しく解く。土を四面に闢き、地を拓くこと千里なるは、皆な起の功なり。
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『驢鞍橋』卷下一日、衆に示して曰く、我に無きことを云ひ聞かせて人に示めすべからす、大なる答也。機の位たでを云て、いかつげな振舞すべからす、必ず若き衆初心にして見せ、だてめさるゝな。自己を抜して口を扣き廻はるほどの咎なし。皆夢中ともに守る位有りや。大形昼も抜けかちなるべし。夫れ夢中に抜ぬと言ふは、先つ夢中に負けず、物ともせぬなり。又目明くときつと機がすわつて居る物也。作して心に覚えあるべし。是れ程のことさへなく、自己を抜かして有りながら、我にも無き仏法を云ひ廻はること、大なる咎也。必ず慎むべしと也。