古語拾遺 / 当年の労のみを序して
改天下萬姓而分爲八等。唯序當年之勞不本天降之績。其二曰朝臣。以賜中臣氏。命以大刀。其三曰宿禰。以賜齋部氏。命以小刀。
新字:改天下万姓而分為八等。唯序当年之労不本天降之績。其二曰朝臣。以賜中臣氏。命以大刀。其三曰宿祢。以賜斎部氏。命以小刀。
書き下し
天下の万姓を改めて分かちて八等と為す。唯だ当年の労を序して、天降の績に本づかず。其の二に曰く朝臣、以て中臣氏に賜い、命ずるに大刀を以てす。其の三に曰く宿禰、以て斎部氏に賜い、命ずるに小刀を以てす。
現代語訳
天下の諸氏の姓を改めて八つの等級に分けた。ところが、その時々の働きの順に並べただけで、天降り以来の功績には基づいていない。第二等の朝臣は中臣氏に与えられ、大刀を賜った。第三等の宿禰は斎部氏に与えられ、小刀を賜った。
解説
八色の姓の制定を、斎部氏の側から見た記述である。批判は一句に凝縮されている。「唯だ当年の労を序して、天降の績に本づかず」——目の前の働きだけで順位を決め、創業以来の積み重ねを勘定に入れていない、と。そして結果が具体的に書かれる。中臣氏は第二等で大刀、斎部氏は第三等で小刀。等級の差が、そのまま与えられた刀の大小に現れている。評価制度が変わるとき、何を評価軸に入れ何を落とすかで序列が動く。落とされた側から見れば、それは制度の欠陥である。広成がこの書を書いた動機の核心が、ここにある。
この章句が説くこと
八色の姓当年の労天降の績評価制度人事評価
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