鬼谷子 / 中経
攝心者、謂逄好學伎術者、則爲之稱逺。方驗之、驚以竒怪、人繫其心於己。効之於驗、驗去亂其前、吾歸誠於己。遭淫色酒者、爲之術音樂、動之以爲必死、生日少之憂。喜以自所不見之事、終可以觀漫瀾之命、使有後㑹。
新字:摂心者、謂逄好学伎術者、則為之称遠。方験之、驚以奇怪、人繋其心於己。効之於験、験去乱其前、吾帰誠於己。遭淫色酒者、為之術音楽、動之以為必死、生日少之憂。喜以自所不見之事、終可以観漫瀾之命、使有後会。
書き下し
心を攝すとは、好みて伎術を學ぶ者に逄えば、則ち之が爲に逺きを稱するを謂う。方に之を驗し、驚かすに竒怪を以てせば、人は其の心を己に繫ぐ。之を驗に効し、驗去りて其の前を亂せば、吾誠を己に歸す。淫色酒に遭う者には、之が爲に音樂を術し、之を動かすに必死を以てし、生日少なきの憂いを爲す。喜ばしむるに自ら見ざる所の事を以てすれば、終に以て漫瀾の命を觀るべく、後㑹有らしむ。
現代語訳
心を摂めるとは、技術を学ぶことを好む者に出会えば、その者のために遠くまで名を称えることをいう。実際にそれを験し、奇怪なことで驚かせれば、人はその心をこちらに繋ぐ。それを験しによって効かせ、験しが去ったあとにその前を乱せば、こちらは誠を自分に帰することになる。色や酒におぼれた者に対しては、その者のために音楽を用い、必ず死ぬということで動かし、生きる日が少ないという憂いを起こさせる。自分が見たことのない事によって喜ばせれば、ついには広大な運命を観ることができ、また会う機会を持たせられる。
解説
相手のタイプ別に、心を引きつける手が示されます。学ぶことを好む者には、その名を遠くまで称える。色や酒におぼれた者には、死と残された時間を意識させる。どちらも相手の内側にあるものを使っている点で、謀篇の原則どおりです。ただし手口として読むと、かなり操作的です。この書が二千年にわたって警戒されてきたのは、こうした箇所が具体的だからでしょう。師導では削らずに収めています。使うためではなく、こういう働きかけを受けたときに気づくためです。
この章句が説くこと
心を摂す人は其の心を己に繋ぐ後会有らしむ心理戦警戒人間関係
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