鬼谷子 / 本経陰符七術
分威法伏熊︰分威者、神之覆也。故靜意固志、神歸其舍、則威覆盛矣。威覆盛則內實堅、內實堅則莫當、莫當則能以分人之威、而動其勢如其天。以實取虛、以有取無、若以鎰稱銖。
新字:分威法伏熊︰分威者、神之覆也。故静意固志、神帰其舎、則威覆盛矣。威覆盛則内実堅、内実堅則莫当、莫当則能以分人之威、而動其勢如其天。以実取虚、以有取無、若以鎰称銖。
書き下し
威を分かつは伏熊に法る。威を分かつとは、神の覆いなり。故に意を靜かにし志を固くすれば、神其の舍に歸り、則ち威覆盛んなり。威覆盛んなれば則ち内實堅く、内實堅ければ則ち當たる莫し。當たる莫ければ則ち能く以て人の威を分かちて、其の勢を動かすこと其の天の如し。實を以て虛を取り、有を以て無を取る。鎰を以て銖を稱るが若し。
現代語訳
威を分かつのは伏せた熊にならう。威を分かつとは、神が覆うことである。だから意を静かにし志を固くすれば、神はその宿りに帰り、覆う威は盛んになる。覆う威が盛んであれば内側は実って堅く、内側が実って堅ければ、当たるものがない。当たるものがなければ、人の威を分かち、その勢いを動かすことが天のようになる。実によって虚を取り、有によって無を取る。二十四両のはかりで一両を量るようなものだ。
解説
分威とは、相手の威勢を分散させること。ただしその方法が意外です。相手に何かをするのではなく、まず自分の意を静かにし志を固くする。内側が実って堅くなれば、相手の威は自然に分かれる。「實を以て虛を取り、有を以て無を取る」——満ちているもので空いているものを取る。最後の比喩が効きます。二十四両のはかりで一両を量る。差が圧倒的なら、駆け引きは要らない。交渉で押し合いになるのは、実の差が小さいからです。差をつけるのは、交渉の場ではなく、その前の段階です。
この章句が説くこと
分威は伏熊に法る実を以て虚を取る鎰を以て銖を称る実力準備主導権
関連する章句
-
『鬼谷子』飛箝篇之を人に用うれば、則ち智能を量り、材力を權り、氣勢を料り、之が樞機と爲す。以て之を迎え之に隨い、以て箝して之を和し、以て意もて之を宣ぶ。此れ飛箝の綴なり。之を人に用うれば則ち空しく往きて實ちて來たる。綴りて失わず、以て其の辭を究む。箝して從すべく、箝して橫すべし。引きて東すべく、引きて西すべく、引きて南すべく、引きて北すべく、引きて反すべく、引きて覆すべし。覆すと雖も能く復す。其の度を失わず。
-
『鬼谷子』捭闔篇故に捭く者は、或いは捭きて之を出だし、或いは捭きて之を納る。闔ずる者は、或いは闔じて之を取り、或いは闔じて之を去る。捭闔は、天地の道なり。捭闔は、以て隂陽、四時の開閉を變動し、以て萬物を化す。縱橫、反出、反覆、反忤、必ず此に由る。捭闔は、道の大化、說の變なり。必ず豫め其の變化を審らかにす。吉凶大命焉に繫る。
-
李衛公問対・卷中兵は主為るを貴び、客為るを貴ばず。速やかなるを貴び、久しきを貴ばず。
-
李衛公問対・卷上兵を善く用うる者は、先ず測る可からざるを為せば、則ち敵は其の之く所に乖く。
-
孫子・虚実篇孫子曰く、戦いを善くする者は、人を致して人に致されず。
-
尉繚子・戰權兵法に曰く、「千人にして権を成し、万人にして武を成す。権先づ人に加ふる者は、敵力交へず。武先づ人に加ふる者は、敵威接せず」と。故に兵は先を貴ぶ。此に勝てば、則ち彼に勝つ。此に勝たざれば、則ち彼に勝たず。凡そ我往けば則ち彼来たり、彼来たれば則ち我往き、相勝敗を為す、此れ戦の理の然るなり。夫れ精誠は神明に在り、戦権は道の極まる所に在り。有る者は之を無くし、無き者は之を有らしむ、安んぞ之を信ずる所あらん。先王の伝聞する所の者は、正に任じ詐を去り、其の慈順を存し、決して留刑無し。故に道を知る者は、必ず先づ止まるを知らざるの敗を図る、悪んぞ必ず往きて功有るに在らんや。軽く進みて戦を求むれば、敵復た止まるを図り、我往きて敵勝を制す。故に兵法に曰く、「求めて之に従ひ、見て之に加へ、主人敢へて当たらざるに之を陵げば、必ず其の権を喪ふ」と。凡そ奪はるる者は気無く、恐るる者は守るべからず、敗るる者は人無し、兵に道無ければなり。意往きて疑はざれば、則ち之に従ふ。敵を奪ひて前無ければ、則ち之に加ふ。明らかに視て高く居れば、則ち之を威す。兵の道極まれり。其の言謹み無ければ、偸みて失はしむ。其の陵犯節無ければ、破る。水のごとく潰し雷のごとく撃てば、三軍乱る。必ず其の危ふきを安んじ、其の患を去り、智を以て之を決す。之を高くするに廊廟の論を以てし、之を重くするに受命の論を以てし、之を鋭くするに踰垠の論を以てすれば、則ち敵国戦はずして服すべし。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る