鬼谷子 / 飛箝篇
用之於人、則量智能、權材力、料氣勢、爲之樞機、以迎之隨之、以箝和之、以意宣之、此飛箝之綴也。用之於人則空往而實來、綴而不失、以究其辭、可箝而從、可箝而橫、可引而東、可引而西、可引而南、可引而北、可引而反、可引而覆。雖覆能復、不失其度。
新字:用之於人、則量智能、権材力、料気勢、為之枢機、以迎之随之、以箝和之、以意宣之、此飛箝之綴也。用之於人則空往而実来、綴而不失、以究其辞、可箝而従、可箝而横、可引而東、可引而西、可引而南、可引而北、可引而反、可引而覆。雖覆能復、不失其度。
書き下し
之を人に用うれば、則ち智能を量り、材力を權り、氣勢を料り、之が樞機と爲す。以て之を迎え之に隨い、以て箝して之を和し、以て意もて之を宣ぶ。此れ飛箝の綴なり。之を人に用うれば則ち空しく往きて實ちて來たる。綴りて失わず、以て其の辭を究む。箝して從すべく、箝して橫すべし。引きて東すべく、引きて西すべく、引きて南すべく、引きて北すべく、引きて反すべく、引きて覆すべし。覆すと雖も能く復す。其の度を失わず。
現代語訳
これを人に用いるなら、知恵と能力を量り、素質と力を測り、気勢を推し量って、それをかなめとする。それによって迎え、それに従い、挟んで和らげ、意によって述べる。これが飛箝のつなぎ方である。これを人に用いれば、空しく行って満ちて帰ってくる。つなぎとめて取り逃がさず、その言葉をきわめる。挟んで縦にすることもでき、挟んで横にすることもできる。引いて東にも西にも南にも北にもでき、引いて逆にも、ひっくり返すこともできる。ひっくり返しても元に戻せる。その度合いを失わない。
解説
「空しく往きて實ちて來たる」——手ぶらで行って、いっぱいにして帰る。飛箝の効果をこの一句が言い表しています。何も持たずに出向いて、相手から引き出して帰る。前段の準備がすべてここに効きます。そして最後に「覆すと雖も能く復す。其の度を失わず」——ひっくり返しても元に戻せる、度合いを失わない。ここが技術の要件です。相手を動かせることより、動かしすぎたときに戻せることのほうが難しい。交渉で強く出すぎて関係を壊す人は、戻す設計を持っていません。
この章句が説くこと
空しく往きて実ちて来る覆すと雖も能く復す交渉間合い主導権準備
関連する章句
-
尉繚子・戰威善く兵を用うる者は、能く人を奪いて人に奪われず。
-
李衛公問対・卷中兵は主為るを貴び、客為るを貴ばず。速やかなるを貴び、久しきを貴ばず。
-
尉繚子・戰權兵法に曰く、「千人にして権を成し、万人にして武を成す。権先づ人に加ふる者は、敵力交へず。武先づ人に加ふる者は、敵威接せず」と。故に兵は先を貴ぶ。此に勝てば、則ち彼に勝つ。此に勝たざれば、則ち彼に勝たず。凡そ我往けば則ち彼来たり、彼来たれば則ち我往き、相勝敗を為す、此れ戦の理の然るなり。夫れ精誠は神明に在り、戦権は道の極まる所に在り。有る者は之を無くし、無き者は之を有らしむ、安んぞ之を信ずる所あらん。先王の伝聞する所の者は、正に任じ詐を去り、其の慈順を存し、決して留刑無し。故に道を知る者は、必ず先づ止まるを知らざるの敗を図る、悪んぞ必ず往きて功有るに在らんや。軽く進みて戦を求むれば、敵復た止まるを図り、我往きて敵勝を制す。故に兵法に曰く、「求めて之に従ひ、見て之に加へ、主人敢へて当たらざるに之を陵げば、必ず其の権を喪ふ」と。凡そ奪はるる者は気無く、恐るる者は守るべからず、敗るる者は人無し、兵に道無ければなり。意往きて疑はざれば、則ち之に従ふ。敵を奪ひて前無ければ、則ち之に加ふ。明らかに視て高く居れば、則ち之を威す。兵の道極まれり。其の言謹み無ければ、偸みて失はしむ。其の陵犯節無ければ、破る。水のごとく潰し雷のごとく撃てば、三軍乱る。必ず其の危ふきを安んじ、其の患を去り、智を以て之を決す。之を高くするに廊廟の論を以てし、之を重くするに受命の論を以てし、之を鋭くするに踰垠の論を以てすれば、則ち敵国戦はずして服すべし。
-
李衛公問対・卷上兵を善く用うる者は、先ず測る可からざるを為せば、則ち敵は其の之く所に乖く。
-
孫子・虚実篇孫子曰く、戦いを善くする者は、人を致して人に致されず。
-
『新論』長計是れ所謂其の之く所を乖く者にして、実を変じて虚と為し、虚を転じて実と為す。此くの如くなれば、則ち神聖の夷狄を御する所以の略、彼倒用するを得ずして、彼の我を擾す所以の術、我将に之を倒用せんとす。然る後操縦の権、我より之を制す。廟謨既に定まり、上下心を同じくし、千塗万轍、必ず是の道に由りて変ぜず。是に於てか我の夷狄を御する所以の者は、即ち神聖の夷狄を御する所以にして、内に一定の略有りて、外に乗ずべきの虚無し。黠虜をして千群我を窺はしむと雖も、将た何を以て我が辺陲に陸梁するを得んや。(大猷公嘗て訳官島野兼了なる者を天竺に遣はす。兼了荷蘭の賈舶に乗り、諸国を周流し、遂に東海に往くこと三千里、一大国を得たり。以為へらく是の国宜しく神州に属すべしと。因りて碑を立てて題して日本国中と曰ふ。当時の規模の宏遠なること、亦見るべきなり。海東三千里なる者は、疑ふらくは即ち西夷の所謂亜墨利加洲なる者ならん。)
人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見る