鬼谷子 / 摩篇
故謀必欲周密、必擇其所與通者說也。故曰:或結而無隙也。夫事成必合於數、故曰:道數與時相偶者也。說者聴必合於情、故曰:情合者聴。
新字:故謀必欲周密、必択其所与通者説也。故曰:或結而無隙也。夫事成必合於数、故曰:道数与時相偶者也。説者聴必合於情、故曰:情合者聴。
書き下し
故に謀は必ず周密ならんことを欲す。必ず其の與に通ずる所の者を擇びて說くなり。故に曰く、或いは結びて隙無きなり、と。夫れ事の成るは必ず數に合す。故に曰く、道數は時と相い偶する者なり、と。說者の聴かるるは必ず情に合す。故に曰く、情合えば聴かる、と。
現代語訳
だから謀りごとは必ずすきまなく行きわたることを求める。必ず自分と通じ合える相手を選んで説くのである。だから言う、結んですきまがない、と。そもそも事が成るのは、必ず道理の数に合っているからである。だから言う、道理の数は時と互いに対をなすものだ、と。説く者が聴いてもらえるのは、必ず実情に合っているからである。だから言う、実情が合えば聴かれる、と。
解説
「必ず其の與に通ずる所の者を擇びて說く」——通じ合える相手を選んで説く。誰にでも説こうとしない、という前提です。説得の技術書が、説く相手を選べと言っている。ここは実務で最も見落とされる点かもしれません。通らない提案を通そうと工夫を重ねるより、通じる相手を選ぶほうが早い場合がある。そして「情合えば聴かる」。聴いてもらえるかどうかは、話し方ではなく、実情が合っているかで決まる。話し方の改善に時間を使う前に、合っているかを確かめるべきだ、という順序です。
この章句が説くこと
其の与に通ずる所の者を択びて説く情合えば聴かる周密説得見極め選択
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