鬼谷子 / 抵巇篇
事之危也、聖人知之、獨保其身、因化說事、通逹計謀、以識細㣲。經起秋毫之末、揮之於太山之夲。其施外兆萌牙櫱之謀、皆由抵巇。
新字:事之危也、聖人知之、独保其身、因化説事、通逹計謀、以識細㣲。経起秋毫之末、揮之於太山之本。其施外兆萌牙櫱之謀、皆由抵巇。
書き下し
事の危うきや、聖人之を知り、獨り其の身を保つ。化に因りて事を說き、計謀に通逹し、以て細㣲を識る。經は秋毫の末に起こり、之を太山の夲に揮う。其の外に施す兆萌牙櫱の謀は、皆な抵巇に由る。
現代語訳
事が危うくなるとき、聖人はそれを知って、独り自分の身を保つ。変化に応じて事を説き、計謀に通じ、それによって細かなきざしを見分ける。すじみちは秋の獣毛の先ほどの細さから起こり、それが泰山の根本を揺るがすところまで及ぶ。外に向けて仕掛ける、芽生えの段階での謀りごとは、みなこの抵巇による。
解説
「秋毫の末に起こり、太山の本に揮う」。細い獣毛の先ほどの変化が、やがて泰山を揺るがす。この因果の長さを見通せるかどうかが、抵巇の技術です。そして「聖人之を知り、獨り其の身を保つ」——危機を察知した者は、まず自分の身を保つ、と書かれています。全体を救えとは言っていない。冷徹ですが正確です。沈む船で他人を助けようとして共倒れになる場面は現実に起きます。まず身を保ち、そのうえで説き、謀る。順序が明示されているところに、この書の実務性があります。
この章句が説くこと
秋毫の末に起こり太山の本に揮う独り其の身を保つ兆候危機管理先見予防
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