鬼谷子 / 内揵篇
得其情乃制其術、此用可出可入、可揵可開。故聖人立事、以此先知而揵萬物。由夫道徳仁義、禮樂計謀、先取詩書、混說損益、議論去就。
新字:得其情乃制其術、此用可出可入、可揵可開。故聖人立事、以此先知而揵万物。由夫道徳仁義、礼楽計謀、先取詩書、混説損益、議論去就。
書き下し
其の情を得て乃ち其の術を制す。此の用は出づべく入るべく、揵すべく開くべし。故に聖人事を立つるに、此を以て先ず知りて萬物を揵す。夫の道徳仁義、禮樂計謀に由り、先ず詩書を取り、說を混じて損益し、去就を議論す。
現代語訳
相手の実情をつかんで、はじめてその術を自在にする。この用い方は、出ることも入ることもでき、楔で留めることも開くこともできる。だから聖人は事を立てるとき、これによってまず知り、そのうえで万物を楔で留める。道徳・仁義・礼楽・計謀によりながら、まず詩や書を取り、説を混ぜて増減し、去るか就くかを論じる。
解説
「其の情を得て乃ち其の術を制す」——実情をつかんではじめて技術が使える。順序が徹底しています。技術が先ではなく、把握が先。把握なしの技術は、出ることも入ることもできません。後半では、道徳・仁義・礼楽といった儒家の言葉が並びます。縦横家の書に儒家の語彙が出てくるのは奇妙ですが、この書はそれらを目的ではなく素材として扱っています。詩書を取り、説を混ぜて増減する。相手を動かすために使える材料は何でも使う、という態度です。この率直さが、後世この書を嫌わせた理由でもあります。
この章句が説くこと
其の情を得て乃ち其の術を制す去就を議論す把握判断交渉順序
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