鬼谷子 / 内揵篇
得其情乃制其術、此用可出可入、可揵可開。故聖人立事、以此先知而揵萬物。由夫道徳仁義、禮樂計謀、先取詩書、混說損益、議論去就。
新字:得其情乃制其術、此用可出可入、可揵可開。故聖人立事、以此先知而揵万物。由夫道徳仁義、礼楽計謀、先取詩書、混説損益、議論去就。
書き下し
其の情を得て乃ち其の術を制す。此の用は出づべく入るべく、揵すべく開くべし。故に聖人事を立つるに、此を以て先ず知りて萬物を揵す。夫の道徳仁義、禮樂計謀に由り、先ず詩書を取り、說を混じて損益し、去就を議論す。
現代語訳
相手の実情をつかんで、はじめてその術を自在にする。この用い方は、出ることも入ることもでき、楔で留めることも開くこともできる。だから聖人は事を立てるとき、これによってまず知り、そのうえで万物を楔で留める。道徳・仁義・礼楽・計謀によりながら、まず詩や書を取り、説を混ぜて増減し、去るか就くかを論じる。
解説
「其の情を得て乃ち其の術を制す」——実情をつかんではじめて技術が使える。順序が徹底しています。技術が先ではなく、把握が先。把握なしの技術は、出ることも入ることもできません。後半では、道徳・仁義・礼楽といった儒家の言葉が並びます。縦横家の書に儒家の語彙が出てくるのは奇妙ですが、この書はそれらを目的ではなく素材として扱っています。詩書を取り、説を混ぜて増減する。相手を動かすために使える材料は何でも使う、という態度です。この率直さが、後世この書を嫌わせた理由でもあります。
この章句が説くこと
其の情を得て乃ち其の術を制す去就を議論す把握判断交渉順序
関連する章句
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史記 南越列伝使者皆東郷し、太后南郷し、王北郷し、相嘉・大臣皆西郷し、侍坐して飲む。嘉の弟将為り、卒を将ゐて宮外に居る。酒行はれ、太后嘉に謂ひて曰く、「南越の内属は、国の利なり、而るに相君苦だ便ならずとする者は、何ぞや」と。以て使者を激怒せしめんとす。使者狐疑して相杖り、遂に敢て発する莫し。嘉耳目の是に非ざるを見て、即ち起ちて出づ。太后怒り、嘉を鏦くに矛を以てせんと欲す、王太后を止む。嘉遂に出で、其の弟の兵を分かちて舎に就き、病と称し、王及び使者に見ゆるを肯ぜず。乃ち陰に大臣と乱を作さんとす。王素より嘉を誅するに意無し、嘉之を知る、故を以て数月発せず。太后淫行有り、国人附かず、独り嘉等を誅せんと欲するも、力又能はず。天子嘉の王に聴かず、王・王太后弱孤にして制すること能はず、使者怯えて決無きを聞く。又以為へらく王・王太后已に漢に附く、独り呂嘉乱を為す、以て兵を興すに足らずと、荘参をして二千人を以て往きて使ひせしめんと欲す。参曰く、「好を以て往かば、数人にて足れり。武を以て往かば、二千人以て為す足る無し」と。辞して可かず、天子参を罷む。郟の壮士、故の済北の相韓千秋奮ひて曰く、「区区たる越を以て、又王・太后の応ずる有り、独り相呂嘉害を為す、願はくは勇士二百人を得て、必ず嘉を斬りて以て報ぜん」と。是に於て天子千秋と王太后の弟樛楽とを遣はし二千人を将ゐて往かしめ、越の境に入る。呂嘉等乃ち遂に反し、令を国中に下して曰く、「王年少し。太后は、中国の人なり、又使者と乱し、専ら内属を欲し、尽く先王の宝器を持して入りて天子に献じて以て自ら媚び、多く人を従へ、行きて長安に至り、虜売して以て僮僕と為さんとす。自ら一時の利を脱するを取り、趙氏の社稷を顧み、万世の為に慮計するの意無し」と。乃ち其の弟と卒を将ゐて王・太后及び漢の使者を攻め殺す。
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