鬼谷子 / 反応篇
其相知也、若比目之魚、見形也、若光之與影。其察言也不失、若磁石之取鍼、舌之取燔骨。其與人也㣲、其見情也疾。如隂與陽、如圓與方、未見形、圓以道之、旣見形、方以事之。進退左右、以是司之。己不先定、牧人不正、事用不巧、是謂忘情失道。己審先定以牧人、䇿而無形容、莫見其門、是謂天神。
新字:其相知也、若比目之魚、見形也、若光之与影。其察言也不失、若磁石之取鍼、舌之取燔骨。其与人也㣲、其見情也疾。如陰与陽、如円与方、未見形、円以道之、旣見形、方以事之。進退左右、以是司之。己不先定、牧人不正、事用不巧、是謂忘情失道。己審先定以牧人、策而無形容、莫見其門、是謂天神。
書き下し
其の相い知るや、比目の魚の若し。形を見るや、光の影と與にするが若し。其の言を察するや失わず、磁石の鍼を取り、舌の燔骨を取るが若し。其の人と與にするや㣲にして、其の情を見るや疾し。隂と陽との如く、圓と方との如し。未だ形を見ざれば、圓もて以て之を道き、旣に形を見れば、方もて以て之に事う。進退左右、是を以て之を司る。己先ず定まらざれば、人を牧すること正しからず、事の用巧ならず。是を情を忘れ道を失うと謂う。己審らかに先ず定めて以て人を牧せば、䇿ありて形容無く、其の門を見る莫し。是を天神と謂う。
現代語訳
互いに知り合うさまは、二匹そろって泳ぐ比目の魚のようだ。形が見えるさまは、光と影がともにあるようだ。その言葉を察して外さないさまは、磁石が針を吸い、舌が焼いた骨を取るようだ。相手との関わり方は微かでありながら、実情を見てとるのは速い。陰と陽のように、円と方のように。まだ形が見えないうちは円によって導き、形が見えてからは方によって当たる。進むも退くも左も右も、これによってつかさどる。自分がまず定まっていなければ、人を導くのは正しくならず、事の用い方も巧みにならない。これを、実情を忘れ道を失うという。自分がはっきりと先に定まったうえで人を導けば、策がありながら形が見えず、誰もその門を見ることがない。これを天神という。
解説
円と方の使い分けが実務的です。相手の形がまだ見えないうちは円で導く——角を立てず、幅を持たせて動かす。形が見えてからは方で当たる——角のある具体で詰める。順序を逆にすると失敗します。初対面から具体条件を詰めれば相手は身構え、最後まで幅を持たせたままなら決まりません。そして結びは反応篇の全体を締めます。自分が先に定まっていなければ、人を導けない。定まっていないまま人を動かそうとすることを、この書は「情を忘れ道を失う」と呼びました。技術の書が、技術の前提として自分の定まりを置いている点は見落とせません。
この章句が説くこと
未だ形を見ざれば円もて道く己先ず定まらざれば人を牧すること正しからず準備交渉順序自己認識
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