管子 / 輕重丁
桓公曰:「衡數吾已得聞之矣。請問國準。」管子對曰:「孟春且至,溝瀆阮而不遂,谿谷報上之水不安於藏,内毁室屋,壞牆垣,外傷田野,殘禾稼,故君謹守泉金之謝物,且為之舉。大夏,惟蓋衣幕之奉不給,謹守泉布之謝物,且為之舉。大秋,甲兵求繕,弓弩求謹絲麻之謝物,且為之舉。大冬,任甲兵,粮食不給,黄金之賞不足,謹守五穀黄金之謝物,且為之舉。已守其謝,富商蓄賈不得如故。此之謂國準。」
新字:桓公曰:「衡数吾已得聞之矣。請問国準。」管子対曰:「孟春且至,溝瀆阮而不遂,谿谷報上之水不安於蔵,内毀室屋,壊牆垣,外傷田野,残禾稼,故君謹守泉金之謝物,且為之舉。大夏,惟蓋衣幕之奉不給,謹守泉布之謝物,且為之舉。大秋,甲兵求繕,弓弩求謹糸麻之謝物,且為之舉。大冬,任甲兵,粮食不給,黄金之賞不足,謹守五穀黄金之謝物,且為之舉。已守其謝,富商蓄賈不得如故。此之謂国準。」
書き下し
桓公曰く、「衡數は吾れ已に之を聞くを得たり。請う國準を問う」と。管子對えて曰く、「孟春且に至らんとし、溝瀆阮れて遂げず、谿谷の上に報ゆるの水は藏に安んぜず、内は室屋を毁ち、牆垣を壞し、外は田野を傷り、禾稼を殘なう、故に君謹んで泉金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大夏、惟蓋衣幕の奉給らざれば、謹んで泉布の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大秋、甲兵繕うを求め、弓弩謹むを求む、絲麻の謝物、且つ之が為に舉ぐ。大冬、甲兵に任じ、粮食給らず、黄金の賞足らざれば、謹んで五穀黄金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。已に其の謝を守れば、富商蓄賈は故の如くなるを得ず。此れを之れ國準と謂う」と。
現代語訳
桓公が言った。釣り合いの数え方はもう聞かせてもらった。国の基準について聞きたい。管子が答えた。春の初めが来ようとするころ、溝や堀が崩れて水が流れきらず、谷から返ってくる水は蓄えのなかに収まらない。内では家屋を壊し塀を崩し、外では田野を損ない稲を傷める。だから君は念入りに銭と金の値下がりした品を押さえ、そのために手を打っておく。夏の盛りには覆いや衣や幕の備えが足りなくなるので、念入りに銭と布の値下がりした品を押さえ、手を打っておく。秋の盛りには武具の修繕が求められ、弓や弩の手入れが求められるので、糸と麻の値下がりした品について手を打っておく。冬の盛りには武具を用い、兵糧が足りず、黄金の賞も足りなくなるので、念入りに五穀と黄金の値下がりした品を押さえ、手を打っておく。値の下がったものを押さえてしまえば、富める商人も蓄えを持つ商人も、これまでのようにはいかない。これを国の基準といいます。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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孫子・虚実篇孫子曰く、凡そ先に戦地に処して敵を待つ者は佚く、後に戦地に処して戦いに趨く者は労す。
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『春秋左氏伝』昭公二十一年 先んずれば人の心を奪う冬、十月、華登吳の師を以って華氏を救ふ。齊の烏枝鳴宋を戍る。廚人濮曰く、「軍志に之れ有り、『人に先んずれば人の心を奪ふ有り、人に後るれば其の衰へを待つ有り』と。盍ぞ其の勞して且つ未だ定まらざるに及びて、諸を伐たざる。若し入りて固くせば、則ち華氏衆からん。悔ゆとも及ぶ無からん」と。之に從ふ。丙寅、齊の師・宋の師、吳の師を鴻口に敗り、其の二帥、公子苦雂・偃州員を獲たり。華登、其の餘を帥ゐて以って宋の師を敗る。公出でんと欲す。廚人濮曰く、「吾は小人なり、死を藉(か)す可くして亡を送る能はず。君請ふ之を待て」と。乃ち徇へて曰く、「徽を楊ぐる者は、公の徒なり」と。衆之に從ふ。公楊門より之を見、下りて之を巡りて曰く、「國亡び君死するは、二三子の恥なり。豈に專ら孤の罪ならんや」と。齊の烏枝鳴曰く、「少を用ゐるは齊しく死を致すに如くは莫く、齊しく死を致すは備へを去るに如くは莫し。彼は兵多し。
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『春秋左氏伝』宣公十二年 人に先んずる趙嬰齊其の徒をして先づ舟を河に具へしむ、故に敗れて先づ濟る。潘黨既に魏錡を逐ふ。趙旃夜楚の軍に至り、軍門の外に席して、其の徒をして之に入らしむ。楚子乘廣三十乘を為り、分ちて左右と為す。右廣は、雞鳴にして駕し、日中にして說く。左則ち之を受け、日入にして說く。許偃右廣に御し、養由基右と為る。彭名左廣に御し、屈蕩右と為る。乙卯、王左廣に乘りて、以て趙旃を逐ふ。趙旃車を棄てて林に走る、屈蕩之に搏ちて、其の甲裳を得たり。晉人二子の楚の師を怒らせんことを懼るるや、軘車をして之を逆へしむ。潘黨其の塵を望み、騁せて告げしめて曰く、「晉の師至れり」と。楚人も亦た王の晉の軍に入らんことを懼るるや、遂に出でて陳す。孫叔曰く、「之を進めよ。寧ろ我人に薄るとも、人の我に薄ること無かれ。詩に云ふ、『元戎十乘、以て先づ行を啟く』と、人に先んずるなり。軍志に曰く、『人に先んずれば人の心を奪ふこと有り』と、之に薄るなり」と。遂に疾く師を進め、車馳せ卒奔りて、晉の軍に乘ず。桓子為す所を知らず、軍中に鼓して、曰く、「先づ濟る者には賞有り」と。
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葉隠・聞書第一鉄山(てつざん)、老後に申し候は、「取手は相撲には違い、一旦(いったん)下になりても、後に勝ちさえすれば済む事と心得罷(まか)り在り。近年存じ当たり候は、一旦下になりて居る時、若(も)し誰(だれ)ぞ取りさかえ候わば負けになるべし。始めに勝つが始終の勝ちなり。」と申され候由。
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尉繚子・戰權兵法に曰く、「千人にして権を成し、万人にして武を成す。権先づ人に加ふる者は、敵力交へず。武先づ人に加ふる者は、敵威接せず」と。故に兵は先を貴ぶ。此に勝てば、則ち彼に勝つ。此に勝たざれば、則ち彼に勝たず。凡そ我往けば則ち彼来たり、彼来たれば則ち我往き、相勝敗を為す、此れ戦の理の然るなり。夫れ精誠は神明に在り、戦権は道の極まる所に在り。有る者は之を無くし、無き者は之を有らしむ、安んぞ之を信ずる所あらん。先王の伝聞する所の者は、正に任じ詐を去り、其の慈順を存し、決して留刑無し。故に道を知る者は、必ず先づ止まるを知らざるの敗を図る、悪んぞ必ず往きて功有るに在らんや。軽く進みて戦を求むれば、敵復た止まるを図り、我往きて敵勝を制す。故に兵法に曰く、「求めて之に従ひ、見て之に加へ、主人敢へて当たらざるに之を陵げば、必ず其の権を喪ふ」と。凡そ奪はるる者は気無く、恐るる者は守るべからず、敗るる者は人無し、兵に道無ければなり。意往きて疑はざれば、則ち之に従ふ。敵を奪ひて前無ければ、則ち之に加ふ。明らかに視て高く居れば、則ち之を威す。兵の道極まれり。其の言謹み無ければ、偸みて失はしむ。其の陵犯節無ければ、破る。水のごとく潰し雷のごとく撃てば、三軍乱る。必ず其の危ふきを安んじ、其の患を去り、智を以て之を決す。之を高くするに廊廟の論を以てし、之を重くするに受命の論を以てし、之を鋭くするに踰垠の論を以てすれば、則ち敵国戦はずして服すべし。
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尉繚子・戰威善く兵を用うる者は、能く人を奪いて人に奪われず。

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