管子 / 輕重乙
桓公問於管子曰:「衡有數乎?」管子對曰:「衡無數也。衡者,使物一髙一下,不得常固。」桓公曰:「然則衡數不可調耶?」管子對曰:「不可調。調則澄,澄則常,常則髙下不貳,髙下不貳則萬物不可得而使固。」桓公曰:「然則何以守時?」管子對曰:「夫嵗有四秋,而分有四時。故曰:農事且作,請以什伍農夫賦耜鐵,此之謂春之秋。大夏且至,絲纊之所作,此之謂夏之秋。而大秋成,五榖之所㑹,此之謂秋之秋。大冬營室中,女事紡績緝縷之所作也,此之謂冬之秋。故嵗有四秋,而分有四時。已有四者之序,發號出令,物之輕重相什而相伯。故物不得有常固,故曰衡無數。」
新字:桓公問於管子曰:「衡有数乎?」管子対曰:「衡無数也。衡者,使物一高一下,不得常固。」桓公曰:「然則衡数不可調耶?」管子対曰:「不可調。調則澄,澄則常,常則高下不貳,高下不貳則万物不可得而使固。」桓公曰:「然則何以守時?」管子対曰:「夫歳有四秋,而分有四時。故曰:農事且作,請以什伍農夫賦耜鉄,此之謂春之秋。大夏且至,糸纊之所作,此之謂夏之秋。而大秋成,五榖之所会,此之謂秋之秋。大冬営室中,女事紡績緝縷之所作也,此之謂冬之秋。故歳有四秋,而分有四時。已有四者之序,発号出令,物之軽重相什而相伯。故物不得有常固,故曰衡無数。」
書き下し
桓公管子に問いて曰く、「衡に數有りや」と。管子對えて曰く、「衡に數無きなり。衡なる者は、物をして一たび髙く一たび下らしめ、常固なるを得ざらしむ」と。桓公曰く、「然らば則ち衡數は調うべからざるか」と。管子對えて曰く、「調うべからず。調うれば則ち澄み、澄めば則ち常なり、常なれば則ち髙下貳ならず、髙下貳ならざれば則ち萬物は得て使い固くすべからず」と。桓公曰く、「然らば則ち何を以て時を守らん」と。管子對えて曰く、「夫れ歳に四秋有りて、分に四時有り。故に曰く、農事且に作らんとす、請う什伍の農夫を以て耜鐵を賦せん、此れを之れ春の秋と謂う。大夏且に至らんとし、絲纊の作る所、此れを之れ夏の秋と謂う。而して大秋成り、五榖の㑹する所、此れを之れ秋の秋と謂う。大冬營室中し、女事紡績緝縷の作る所なり、此れを之れ冬の秋と謂う。故に歳に四秋有りて、分に四時有り。已に四者の序有らば、號を發し令を出だせば、物の輕重は相い什して相い伯す。故に物は常固なるを得ず、故に曰く衡に數無しと」と。
現代語訳
桓公が管子に問うた。釣り合いに決まった数はあるか。管子が答えた。釣り合いに決まった数はありません。釣り合いとは、物を一度高くし一度低くして、一定に固まらせないことです。桓公が言った。では釣り合いの数え方は整えられないのか。管子が答えた。整えてはいけません。整えれば澄み、澄めば一定になり、一定になれば高い安いが二つに分かれず、分かれなければ万物を働かせて確かなものにできません。桓公が言った。ではどうやって時を押さえるのか。管子が答えた。一年に秋は四つあり、それが四季に分かれています。だからいう。農事が始まろうとするとき、十人五人と組ませた農夫に鉄の農具を割り当てる。これを春の秋という。夏の盛りが来ようとして、綿や糸を作る。これを夏の秋という。そして本当の秋が実り、五穀が集まる。これを秋の秋という。冬の盛りに営室星が南中し、女の仕事として糸を紡ぎ績む。これを冬の秋という。だから一年に秋は四つあり、四季に分かれている。この四つの順序ができていれば、号令を出すたびに物の値は十倍にも百倍にも動く。だから物は一定に固まることがない。だから釣り合いに決まった数はない、というのです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』輕重丁桓公曰く、「衡數は吾れ已に之を聞くを得たり。請う國準を問う」と。管子對えて曰く、「孟春且に至らんとし、溝瀆阮れて遂げず、谿谷の上に報ゆるの水は藏に安んぜず、内は室屋を毁ち、牆垣を壞し、外は田野を傷り、禾稼を殘なう、故に君謹んで泉金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大夏、惟蓋衣幕の奉給らざれば、謹んで泉布の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。大秋、甲兵繕うを求め、弓弩謹むを求む、絲麻の謝物、且つ之が為に舉ぐ。大冬、甲兵に任じ、粮食給らず、黄金の賞足らざれば、謹んで五穀黄金の謝物を守り、且つ之が為に舉ぐ。已に其の謝を守れば、富商蓄賈は故の如くなるを得ず。此れを之れ國準と謂う」と。
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『管子』揆度桓公管子に問いて曰く、「輕重の數は惡くにか終わる」と。管子對えて曰く、「四時の更ごも舉がるが若く、終わる所無し。國に患憂有れば、五榖を輕重して以て用を調え、餘りを積み羨を臧して以て賞に備う。天下賔服し、海内を有てば、以て誠信仁義の士を富ます。故に民は辭讓を髙くして、竒怪を為す者無し。彼の輕重なる者は、諸侯服せざれば以て出でて戰い、諸侯賔服すれば以て仁義を行う」と。
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『管子』山國軌桓公管子に問いて曰く、「籍らずして國を贍すに、之を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「軌もて其の時を守り、天財を官する有らば、何ぞ民に求めん」と。桓公曰く、「何をか天財を官すと謂う」と。管子對えて曰く、「泰春は、民の功䌛なり。泰夏は、民の令の止まる所、令の發する所なり。泰秋は、民の令の止まる所、令の發する所なり。泰冬は、民の令の止まる所、令の發する所なり。此れ皆な民の時を以て守る所なり。此れ物の髙下の時なり。此れ民の相い并兼する所以の時なり。君は諸を四務に守る」と。
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『管子』度地夏三月に當たりては、天地の氣壯んに、大暑至り、萬物榮華す。以て疾く草薉を殺すに利あり、令をして擾さんと欲せざらしむ、命じて不長と曰う。土功の事を作すに利あらず、農に放かしむ。利皆な十分の五を耗し、土功成らず。秋三月に當たりては、山川百泉踊り、雨降り下り、山水出で、海路距たり、雨露屬き、天地湊汐す。以て疾く作して収斂し留むる毋きに利あり。一日に把れば、百日に餔らう。民男女と無く、皆な野に行く。土功の事を作すに利あらず。濡濕日に生じ、土弱くして成り難く、利は什分の六を耗し、土工の事も亦た立たず。冬三月に當たりては、天地閉藏し、暑雨止み、大寒起こり、萬物實り熟す。以て空郄を填塞し、邊城を繕い、郭術を塗り、度量を平らかにし、權衡を正し、牢獄を虚しくし、廥倉を實たすに利あり。君は樂を修め、神明と相望む。凡そ一年の事畢わる。功有るを舉げ、賢を賞し、罪有るを罰し、有司の吏を遷して之を第す。土工の事を作すに利あらず、利は什分の七を耗し、土剛くして立たず。晝日に益々短く、夜日に益々長し、以て室を作すに利あり、以て堂を作すに利あらず。四時以て得れば、四害皆な服す。」
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『管子』山國軌桓公曰く、「何をか四務と謂う」と。管子對えて曰く、「泰春、民の且に用いんとする所の者は、君已に之を廩す。泰夏、民の且に用いんとする所の者は、君已に之を廩す。泰秋、民の且に用いんとする所の者は、君已に之を廩す。泰冬、民の且に用いんとする所の者は、君已に之を廩す。泰春に功を布く日、春の縑衣、夏の單衣、捍寵纍箕勝籯屑糗、若干日の功、人を用うること若干。貲無きの家には、皆な之に械器・勝籯・屑糗・公衣を假す。功已りて公に歸し、衣は劵を折る。故に力は民より出でて、用は上より出づ。春は十日にして耕事を害せず、夏は十日にして芸事を害せず、秋は十日にして歛實を害せず、冬は二十日にして除田を害せず。此れを之れ時作と謂う」と。
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『管子』巨乘馬桓公管子に問いて曰く、「請う乗馬を問う」と。管子對えて曰く、「國に儲え無きは令に在り」と。桓公曰く、「何をか國に儲え無きは令に在りと謂う」と。管子對えて曰く、「一農の量は壤百畆なり、春事は二十五日の内なり」と。桓公曰く、「何をか春事二十五日の内と謂う」と。管子對えて曰く、「日至より六十日にして陽凍釋け、七十日にして隂凍釋く。隂凍釋けて稷を秇う、百日にして稷を秇わず、故に春事は二十五日の内のみなり。今君扶臺を立つれば、五衢の衆皆な作す。君春を過ぎて止めざれば、民其の二十五日を失う、則ち五衢の内は阻棄の地なり。一人の繇を起こせば、百畆舉がらず。十人の繇を起こせば、千畆舉がらず。百人の繇を起こせば、萬畆舉がらず。千人の繇を起こせば、十萬畆舉がらず。春已に二十五日を失いて、尚お夏作を起こす有り、是れ春は其の地を失い、夏は其の苗を失う。秋に繇を起こして止む無きは、此れを之れ榖地數々亡ぶと謂う。榖時を失えば、君の衡藉して止む無し。民什伍の榖を食らえば則ち君已に九を藉る。衡有りて幣を求む、此れ盜暴の起こる所以にして、刑罰の衆き所以なり。之に隨うるに暴を以てす、之を内戰と謂う」と。桓公曰く、「善いかな」と。