管子 / 地數
桓公問於管子曰:「今亦可以行此乎?」管子對曰:「可。夫楚有汝、漢之金,齊有渠展之鹽,燕有遼東之煑此三者,亦可以當武王之數。十口之家,十人咶鹽。百口之家,百人咶鹽。凡食鹽之數,一月丈夫五升少半,婦人三升少半,嬰兒二升少半。鹽之重,升加分耗而釜五十,升加一耗而釜百,升加十耗而釜千。君伐菹薪,煑泲水為鹽,正而積之三萬鍾。至陽春,請籍於時。」桓公曰:「何謂籍於時?」管子曰:「陽春農事方作,令民毋得築垣牆,毋得繕冡墓。丈夫毋得治宫室,毋得立臺榭。北海之衆毋得聚庸而煑鹽。然,鹽之賈必四什倍。君以四什之賈,修河、濟之流,南輸梁、趙、宋、衛、濮陽。惡食無鹽則腫。守圉之本,其用鹽獨重。君伐菹薪,煑泲水以籍於天下,然則天下不減矣。」
新字:桓公問於管子曰:「今亦可以行此乎?」管子対曰:「可。夫楚有汝、漢之金,斉有渠展之塩,燕有遼東之煑此三者,亦可以当武王之数。十口之家,十人咶塩。百口之家,百人咶塩。凡食塩之数,一月丈夫五升少半,婦人三升少半,嬰児二升少半。塩之重,升加分耗而釜五十,升加一耗而釜百,升加十耗而釜千。君伐菹薪,煑泲水為塩,正而積之三万鍾。至陽春,請籍於時。」桓公曰:「何謂籍於時?」管子曰:「陽春農事方作,令民毋得築垣牆,毋得繕冡墓。丈夫毋得治宫室,毋得立台榭。北海之衆毋得聚庸而煑塩。然,塩之賈必四什倍。君以四什之賈,修河、済之流,南輸梁、趙、宋、衛、濮陽。悪食無塩則腫。守圉之本,其用塩独重。君伐菹薪,煑泲水以籍於天下,然則天下不減矣。」
書き下し
桓公管子に問いて曰く、「今も亦た以て此を行うべきか」と。管子對えて曰く、「可なり。夫れ楚に汝・漢の金有り、齊に渠展の鹽有り、燕に遼東の煑有り。此の三つの者も、亦た以て武王の數に當つべし。十口の家は、十人鹽を咶む。百口の家は、百人鹽を咶む。凡そ鹽を食らうの數、一月に丈夫は五升と少半、婦人は三升と少半、嬰兒は二升と少半。鹽の重は、升に分耗を加えて釜に五十、升に一耗を加えて釜に百、升に十耗を加えて釜に千。君菹薪を伐り、泲水を煑て鹽と為し、正して之を積むこと三萬鍾。陽春に至らば、請う時に籍らん」と。桓公曰く、「何をか時に籍ると謂う」と。管子曰く、「陽春農事方に作る、民をして垣牆を築くを得る毋からしめ、冡墓を繕うを得る毋からしむ。丈夫は宫室を治むるを得る毋く、臺榭を立つるを得る毋し。北海の衆は庸を聚めて鹽を煑るを得る毋し。然らば、鹽の賈は必ず四十倍せん。君四十の賈を以て、河・濟の流を修め、南のかた梁・趙・宋・衛・濮陽に輸す。惡食にして鹽無ければ則ち腫る。守圉の本は、其の鹽を用うること獨り重し。君菹薪を伐り、泲水を煑て以て天下に籍らば、然らば則ち天下は減ぜざらん」と。
現代語訳
桓公が管子に問うた。いまでもこれを行えるか。管子が答えた。できます。楚には汝水と漢水の金があり、斉には渠展の塩があり、燕には遼東の塩焼きがある。この三つも武王の数え方にあてられます。十人の家では十人が塩をなめ、百人の家では百人が塩をなめる。塩を食べる量は、ひと月に男が五升と少し、女が三升と少し、赤子が二升と少し。塩の値は、一升にわずかを加えれば一釜で五十、一升に一を加えれば一釜で百、一升に十を加えれば一釜で千になる。君は薪を刈り、済水を煮て塩を作り、整えて三万鍾を積んでおきます。春になったら、時にかけましょう。桓公が言った。時にかけるとはどういうことか。管子が言った。春になって農事が始まる。民に垣や塀を築かせず、墓を修繕させない。男に屋敷を建てさせず、高殿を立てさせない。北海の人々には人を集めて塩を煮させない。そうすれば塩の値は必ず四十倍になります。君はその四十倍の値で、黄河と済水の流れを整え、南の梁、趙、宋、衛、濮陽へ運ぶ。粗末な食で塩がなければ体はむくむ。守りの根本として、塩の用いようだけは重い。君が薪を刈り済水を煮て天下にかければ、天下は減ることがありません。
解説
この章句が説くこと
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『管子』輕重甲管子を召して問いて曰く、「安くんぞ此の鹽を用いて可ならん」と。管子對えて曰く、「孟春既に至り、農事且に起こらんとす。大夫は冡墓を繕い、宫室を理め、臺榭を立て、牆垣を築くを得る無からしめ、北海の衆は庸を聚めて鹽を煑るを得る無からしむ。此くの若くんば、則ち鹽は必ず坐ながらに長じて十倍せん」と。桓公曰く、「善し。事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て之を梁・趙・宋・衛・濮陽に糶らん。彼れ盡く之を饋食す、國に鹽無ければ則ち腫る。守圉の國は、鹽を用うること獨り甚だし」と。桓公曰く、「諾」と。乃ち令を以て之を糶らしめ、成金萬一千餘斤を得。桓公管子を召して問いて曰く、「安くんぞ金を用いて可ならん」と。管子對えて曰く、「請う令を以て賀獻し正籍を出だす者をして必ず金を以てせしめよ、金は坐ながらに長じて百倍せん。金の重きを運らし、以て萬物に衡すれば、盡く君に歸せん。故に此れ所謂用うること河海に挹むが若く、之を輸ぶこと馬に給するが若し。此れ隂王の業なり」と。
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『管子』輕重甲管子曰く、「隂王の國に三有り、而して齊も與に在り」と。桓公曰く、「此の若き言は得て聞くべきか」と。管子對えて曰く、「楚に汝・漢の黄金有り、而して齊に渠展の鹽有り、燕に遼東の煮有り、此れ隂王の國なり。且つ楚の黄金有るは、中齊に薔石有るがごときなり。茍しくも之を操ること工ならず、之を用うること善からざれば、天下倪して是のみ。夷吾をして楚の黄金に居るを得しめば、吾れ能く農をして耕さずして食らわしめ、女をして織らずして衣せしめん。今齊に渠展の鹽有り、請う君菹薪を伐り、沸火を煑て鹽と為し、正して之を積め」と。桓公曰く、「諾」と。十月に始めて正し、正月に至りて、鹽を成すこと三萬六千鍾。
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『管子』海王桓公管子に問いて曰く、「吾れ臺雉に藉らんと欲す、何如」と。管子對えて曰く、「此れ成れるを毁つなり」と。「吾れ樹木に藉らんと欲す」。管子對えて曰く、「此れ生を伐るなり」と。「吾れ六畜に藉らんと欲す」。管子對えて曰く、「此れ生を殺すなり」と。「吾れ人に藉らんと欲す、何如」と。管子對えて曰く、「此れ情を隱すなり」と。桓公曰く、「然らば則ち吾れ何を以て國を為めん」と。管子對えて曰く、「唯だ山海を官するのみ可なるのみ」と。桓公曰く、「何をか山海を官すと謂う」と。管子對えて曰く、「海王の國は、謹んで鹽莢を正す」と。桓公曰く、「何をか鹽莢を正すと謂う」と。管子對えて曰く、「十口の家は十人鹽を食らい、百口の家は百人鹽を食らう。月を終うるに、大男は鹽を食らうこと五升と少半、大女は鹽を食らうこと三升と少半、吾子は鹽を食らうこと二升と少半。此れ其の大厯なり。
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『管子』山至數桓公又た管子に問いて曰く、「身を終うるまで天下を有ちて失う勿からんとするに、之を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う天下に施す勿かれ、獨り之を吾が國に施せ」と。桓公曰く、「此の若き言は何の謂いぞや」と。管子對えて曰く、「國の廣狹、壤の肥墝に數有り、歳を終うるまでの食の餘りに數有り、彼の國を守る者は、榖を守るのみ」と。曰く、「某の縣の壤の廣きこと若干、某の縣の壤の狹きこと若干、則ち必ず委幣を積み、是に於て縣州里は公錢を受く。泰秋、國榖は三分の一を去る、君令を下し、郡縣屬大夫里邑に謂いて皆な粟を籍りて入るること若干とす。榖の重は一なるも、以て上に藏する者、國榖三分すれば、則ち二分は上に在り。泰春、國榖の倍重するは、數なり。泰夏、榖を賦するに市の櫎を以てし、民は皆な上の榖を受けて以て田土を治む。泰秋、田榖の存予する者若干、今上榖を歛むるに幣を以てすれば、民は幣無しと曰いて榖を以てす、則ち民の三は上に歸する有り。重の相い因り、時の化舉するは、國筴と為さざる無し。
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『管子』地數桓公管子に問いて曰く、「吾れ國財を守りて天下に税せずして、外は天下に因らんと欲す、可なるか」と。管子對えて曰く、「可なり。夫れ水は激して渠に流れ、令疾くして物重し。先王は其の號令の徐疾を理め、内は國財を守りて外は天下に因れり」と。桓公管子に問いて曰く、「其の事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「夫れ昔者武王に巨橋の粟有り、糴を貴くするの數あり」と。桓公曰く、「之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「武王重泉の戌を立てて令して曰く、『民の自ら百鼓の粟有る者は行かず』と。民は最む所の粟を舉げて、以て重泉の戍を避く、而して國榖は二十倍し、巨橋の粟も亦た二十倍す。武王巨橋の粟の二十倍なるを以て繒帛を市い、軍は五歳民に衣を籍る毋し。巨橋の粟の二十倍なるを以て黄金百萬に衡す、身を終うるまで民に籍る無し、準衡の數なり」と。
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『管子』山國軌桓公曰く、「善し。吾れ軌官を立てんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「鹽鐡の筴は、以て軌官を立つるに足る」と。桓公曰く、「奈何」と。管子對えて曰く、「龍夏の地には、黄金九千を布く。幣を以て金に貲し、巨家は金を以てし、小家は幣を以てす。岐山を周りて崢丘の西の塞丘に至る者は、山邑の田なり、幣を布きて貧富を稱りて之を調う。夀陵を周りて東のかた少沙に至る者は、中田なり、之に據るに幣を以てし、巨家は金を以てし、小家は幣を以てす。三壤已に撫すれば、而ち國榖は再び什倍す。梁・渭・陽瑣の牛馬は齊衍に滿つ、請う之を毆りて齒を顛べ、其の髙壯を量らん。曰く、『國師旅を為し、戰車もて敺せて子の牛馬を歛めんとす。上に幣無し、請う榖を以て市の擴を視て子の牛馬に庚え、上粟を二家と為さん』と。二家其の粟を散ずれば、准に反り、牛馬は上に歸す」と。