管子 / 輕重甲
召管子而問曰:「安用此鹽而可?」管子對曰:「孟春既至,農事且起。大夫無得繕冡墓,理宫室,立臺榭,築牆垣。北海之衆無得聚庸也而煑鹽。若此,則鹽必坐長而十倍。」桓公曰:「善。行事奈何?」管子對曰:「請以令糶之梁、趙、宋、衛、濮陽。彼盡饋食之也,國無鹽則腫。守圉之國,用鹽獨甚。」桓公曰:「諾。」乃以令使糶之,得成金萬一千餘斤。桓公召管子而問曰:「安用金而可?」管子對曰:「請以令使賀獻、出正籍者必以金,金坐長而百倍。運金之重,以衡萬物,盡歸於君。故此所謂用若挹於河海,若輸之給馬。此隂王之業。」
新字:召管子而問曰:「安用此塩而可?」管子対曰:「孟春既至,農事且起。大夫無得繕冡墓,理宫室,立台榭,築牆垣。北海之衆無得聚庸也而煑塩。若此,則塩必坐長而十倍。」桓公曰:「善。行事奈何?」管子対曰:「請以令糶之梁、趙、宋、衛、濮陽。彼尽饋食之也,国無塩則腫。守圉之国,用塩独甚。」桓公曰:「諾。」乃以令使糶之,得成金万一千余斤。桓公召管子而問曰:「安用金而可?」管子対曰:「請以令使賀献、出正籍者必以金,金坐長而百倍。運金之重,以衡万物,尽帰於君。故此所謂用若挹於河海,若輸之給馬。此陰王之業。」
書き下し
管子を召して問いて曰く、「安くんぞ此の鹽を用いて可ならん」と。管子對えて曰く、「孟春既に至り、農事且に起こらんとす。大夫は冡墓を繕い、宫室を理め、臺榭を立て、牆垣を築くを得る無からしめ、北海の衆は庸を聚めて鹽を煑るを得る無からしむ。此くの若くんば、則ち鹽は必ず坐ながらに長じて十倍せん」と。桓公曰く、「善し。事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て之を梁・趙・宋・衛・濮陽に糶らん。彼れ盡く之を饋食す、國に鹽無ければ則ち腫る。守圉の國は、鹽を用うること獨り甚だし」と。桓公曰く、「諾」と。乃ち令を以て之を糶らしめ、成金萬一千餘斤を得。桓公管子を召して問いて曰く、「安くんぞ金を用いて可ならん」と。管子對えて曰く、「請う令を以て賀獻し正籍を出だす者をして必ず金を以てせしめよ、金は坐ながらに長じて百倍せん。金の重きを運らし、以て萬物に衡すれば、盡く君に歸せん。故に此れ所謂用うること河海に挹むが若く、之を輸ぶこと馬に給するが若し。此れ隂王の業なり」と。
現代語訳
管子を呼んで問うた。この塩をどう使えばよいのか。管子が答えた。春の初めが来て、農事が始まろうとしています。大夫には墓を修繕させず、屋敷を整えさせず、高殿を立てさせず、塀を築かせない。北海の人々には人を集めて塩を煮させない。こうすれば塩の値は座ったまま十倍になります。桓公が言った。よい。それをどう行うのか。管子が答えた。令を出して梁、趙、宋、衛、濮陽へ売りましょう。彼らはみなそれを食に用いる。国に塩がなければ体はむくむ。守りを固める国ほど、塩を使うことが甚だしいのです。桓公は、よし、と言った。そこで令を出して売らせ、できあがった金一万千余斤を得た。桓公は管子を呼んで問うた。この金をどう使えばよいのか。管子が答えた。令を出して、祝いの献上や正規の納税をする者に必ず金で納めさせなさい。金は座ったまま百倍になります。その金の重さをめぐらせて万物を量れば、すべて君のもとに帰する。だからこれを、用いるさまは大河や海から水を汲むようであり、運ぶさまは馬に飼葉を与えるようだ、というのです。これが隠れた王の業です。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『管子』地數桓公管子に問いて曰く、「今も亦た以て此を行うべきか」と。管子對えて曰く、「可なり。夫れ楚に汝・漢の金有り、齊に渠展の鹽有り、燕に遼東の煑有り。此の三つの者も、亦た以て武王の數に當つべし。十口の家は、十人鹽を咶む。百口の家は、百人鹽を咶む。凡そ鹽を食らうの數、一月に丈夫は五升と少半、婦人は三升と少半、嬰兒は二升と少半。鹽の重は、升に分耗を加えて釜に五十、升に一耗を加えて釜に百、升に十耗を加えて釜に千。君菹薪を伐り、泲水を煑て鹽と為し、正して之を積むこと三萬鍾。陽春に至らば、請う時に籍らん」と。桓公曰く、「何をか時に籍ると謂う」と。管子曰く、「陽春農事方に作る、民をして垣牆を築くを得る毋からしめ、冡墓を繕うを得る毋からしむ。丈夫は宫室を治むるを得る毋く、臺榭を立つるを得る毋し。北海の衆は庸を聚めて鹽を煑るを得る毋し。然らば、鹽の賈は必ず四十倍せん。君四十の賈を以て、河・濟の流を修め、南のかた梁・趙・宋・衛・濮陽に輸す。惡食にして鹽無ければ則ち腫る。守圉の本は、其の鹽を用うること獨り重し。君菹薪を伐り、泲水を煑て以て天下に籍らば、然らば則ち天下は減ぜざらん」と。
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『管子』輕重甲管子曰く、「隂王の國に三有り、而して齊も與に在り」と。桓公曰く、「此の若き言は得て聞くべきか」と。管子對えて曰く、「楚に汝・漢の黄金有り、而して齊に渠展の鹽有り、燕に遼東の煮有り、此れ隂王の國なり。且つ楚の黄金有るは、中齊に薔石有るがごときなり。茍しくも之を操ること工ならず、之を用うること善からざれば、天下倪して是のみ。夷吾をして楚の黄金に居るを得しめば、吾れ能く農をして耕さずして食らわしめ、女をして織らずして衣せしめん。今齊に渠展の鹽有り、請う君菹薪を伐り、沸火を煑て鹽と為し、正して之を積め」と。桓公曰く、「諾」と。十月に始めて正し、正月に至りて、鹽を成すこと三萬六千鍾。
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『管子』山國軌桓公曰く、「善し。吾れ軌官を立てんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「鹽鐡の筴は、以て軌官を立つるに足る」と。桓公曰く、「奈何」と。管子對えて曰く、「龍夏の地には、黄金九千を布く。幣を以て金に貲し、巨家は金を以てし、小家は幣を以てす。岐山を周りて崢丘の西の塞丘に至る者は、山邑の田なり、幣を布きて貧富を稱りて之を調う。夀陵を周りて東のかた少沙に至る者は、中田なり、之に據るに幣を以てし、巨家は金を以てし、小家は幣を以てす。三壤已に撫すれば、而ち國榖は再び什倍す。梁・渭・陽瑣の牛馬は齊衍に滿つ、請う之を毆りて齒を顛べ、其の髙壯を量らん。曰く、『國師旅を為し、戰車もて敺せて子の牛馬を歛めんとす。上に幣無し、請う榖を以て市の擴を視て子の牛馬に庚え、上粟を二家と為さん』と。二家其の粟を散ずれば、准に反り、牛馬は上に歸す」と。
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『管子』輕重甲桓公管子に問いて曰く、「今㦸を倳つること十萬、薪菜の靡やすること、日に十里の衍を虚しくす。㦸を頓きて一たび譟げば、而ち幣を靡やすの用、日に千金の積みを去る。之を久しくせば、且た何を以て之を待たん」と。管子對えて曰く、「粟の賈平らかにして四十なれば、則ち金の賈は四千なり。粟の賈釜に四十なれば、則ち鍾に四百なり、十鍾にして四千なり、二十鍾なる者は八千と為る。金の賈四千なれば、則ち二金は八千に中たるなり。然らば則ち一農の事、歳を終うるまで百畝を耕し、百畝の收は、二十鍾に過ぎず、一農の事は乃ち二金の財に中たるのみ。故に粟重ければ黄金輕く、黄金重ければ粟輕し、兩つの者は衡して立たず。故に善き者は粟の賈を重くし、釜に四百なれば、則ち是れ鍾に四千なり、十鍾にして四萬、二十鍾なる者は八萬。金の賈四千なれば、則ち是れ十金は四萬なり、二十金なる者は八萬と為る。故に號を發し令を出だして曰く、一農の事は、二十金の筴有りと。然らば則ち地に廣狹有るに非ず、國に貧富有るに非ざるなり、號を發し令を出だすに通じ、輕重の數に審らかなること然るなり」と。
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『管子』海王桓公管子に問いて曰く、「吾れ臺雉に藉らんと欲す、何如」と。管子對えて曰く、「此れ成れるを毁つなり」と。「吾れ樹木に藉らんと欲す」。管子對えて曰く、「此れ生を伐るなり」と。「吾れ六畜に藉らんと欲す」。管子對えて曰く、「此れ生を殺すなり」と。「吾れ人に藉らんと欲す、何如」と。管子對えて曰く、「此れ情を隱すなり」と。桓公曰く、「然らば則ち吾れ何を以て國を為めん」と。管子對えて曰く、「唯だ山海を官するのみ可なるのみ」と。桓公曰く、「何をか山海を官すと謂う」と。管子對えて曰く、「海王の國は、謹んで鹽莢を正す」と。桓公曰く、「何をか鹽莢を正すと謂う」と。管子對えて曰く、「十口の家は十人鹽を食らい、百口の家は百人鹽を食らう。月を終うるに、大男は鹽を食らうこと五升と少半、大女は鹽を食らうこと三升と少半、吾子は鹽を食らうこと二升と少半。此れ其の大厯なり。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「吾れ正商賈の利を殺して、農夫の事を益さんと欲す、此を為すに道有りや」と。管子對えて曰く、「粟重ければ萬物輕く、粟輕ければ萬物重し、兩つの者は衡して立たず。故に正商賈の利を殺して、農夫の事を益さんとせば、則ち請う粟の價を重くして金三百とせん。是くの若くんば則ち田野大いに辟け、農夫は其の事に勸まん」と。桓公曰く、「之を重くするに道有りや」と。管子對えて曰く、「請う令を以て大夫と城藏せしめ、卿諸侯をして千鍾を藏せしめ、令大夫をして五百鍾を藏せしめ、列大夫をして百鍾を藏せしめ、富商蓄賈をして五十鍾を藏せしめん。内は以て國の委と為すべく、外は以て農夫の事を益すべし」と。桓公曰く、「善し」と。卿諸侯・令大夫に下令して城藏せしむ。農夫其の五榖を辟きて其の賈を三倍す。則ち正商は其の事を失いて、農夫は百倍の利有り。