管子 / 海王
今鐡官之數曰:一女必有一鍼一刀,若其事立。耕者必有一耒一耜一銚,若其事立。行服連軺輂者必有一斤一鋸一錐一鑿,若其事立。不爾而成事者,天下無有。今鍼之重加一也,三十鍼一人之籍。刀之重加六,五六三十,五刀一人之籍也。耜鐡之重加七,三耜鐡一人之籍也。其餘輕重,皆準此而行。然則舉臂勝事,無不服藉者。」桓公曰:「然則國無山海不王乎?」管子曰:「因人之山海,假之名有海之國讎鹽於吾國,釜十五,吾受而官出之以百。我未與其本事也,受人之事,以重相推。此人用之數也。」
新字:今鐡官之数曰:一女必有一鍼一刀,若其事立。耕者必有一耒一耜一銚,若其事立。行服連軺輂者必有一斤一鋸一錐一鑿,若其事立。不爾而成事者,天下無有。今鍼之重加一也,三十鍼一人之籍。刀之重加六,五六三十,五刀一人之籍也。耜鐡之重加七,三耜鐡一人之籍也。其余軽重,皆準此而行。然則舉臂勝事,無不服藉者。」桓公曰:「然則国無山海不王乎?」管子曰:「因人之山海,仮之名有海之国讎塩於吾国,釜十五,吾受而官出之以百。我未与其本事也,受人之事,以重相推。此人用之数也。」
書き下し
今鐡官の數に曰く、一女は必ず一鍼一刀有りて、若くして其の事立つ。耕す者は必ず一耒一耜一銚有りて、若くして其の事立つ。服を行い軺輂を連ぬる者は必ず一斤一鋸一錐一鑿有りて、若くして其の事立つ。爾らずして事を成す者は、天下に有る無し。今鍼の重きに一を加うれば、三十鍼は一人の籍なり。刀の重きに六を加うれば、五六三十、五刀は一人の籍なり。耜鐡の重きに七を加うれば、三耜鐡は一人の籍なり。其の餘の輕重は、皆な此に準じて行う。然らば則ち臂を舉げて事に勝うる者、藉に服せざる者無し」と。桓公曰く、「然らば則ち國に山海無ければ王たらざるか」と。管子曰く、「人の山海に因り、之に名を假る。海有るの國、鹽を吾が國に讎れば、釜に十五、吾れ受けて官之を出だすに百を以てす。我れ未だ其の本事に與らざるなり、人の事を受けて、重を以て相い推す。此れ人用の數なり」と。
現代語訳
いま鉄を扱う役所の数え方はこうである。女には必ず針一本と小刀一つがあって、それで仕事が成り立つ。耕す者には必ず鋤と鋤先と鍬があって、それで仕事が成り立つ。荷を運び車を連ねる者には必ず斧と鋸と錐と鑿があって、それで仕事が成り立つ。それらなしで仕事を成す者は、天下にいない。いま針の値に一を加えれば、三十本で一人分の税になる。小刀の値に六を加えれば、五かける六で三十、五本で一人分の税になる。鋤先の鉄に七を加えれば、三つで一人分の税になる。その他の値の上げ下げも、みなこれに倣って行う。そうすれば、腕を上げて仕事のできる者で、税を負わない者はいない。桓公が言った。では国に山も海もなければ王にはなれないのか。管子が言った。他人の山と海に乗り、その名を借りるのです。海を持つ国が塩を我が国に売れば一釜十五、それを受け取って官が百で出す。私はもとの仕事には関わっていない。他人の仕事を受け取って、値の上げ下げで押していく。これが人を用いる数え方です。
解説
この章句が説くこと
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『管子』海王桓公管子に問いて曰く、「吾れ臺雉に藉らんと欲す、何如」と。管子對えて曰く、「此れ成れるを毁つなり」と。「吾れ樹木に藉らんと欲す」。管子對えて曰く、「此れ生を伐るなり」と。「吾れ六畜に藉らんと欲す」。管子對えて曰く、「此れ生を殺すなり」と。「吾れ人に藉らんと欲す、何如」と。管子對えて曰く、「此れ情を隱すなり」と。桓公曰く、「然らば則ち吾れ何を以て國を為めん」と。管子對えて曰く、「唯だ山海を官するのみ可なるのみ」と。桓公曰く、「何をか山海を官すと謂う」と。管子對えて曰く、「海王の國は、謹んで鹽莢を正す」と。桓公曰く、「何をか鹽莢を正すと謂う」と。管子對えて曰く、「十口の家は十人鹽を食らい、百口の家は百人鹽を食らう。月を終うるに、大男は鹽を食らうこと五升と少半、大女は鹽を食らうこと三升と少半、吾子は鹽を食らうこと二升と少半。此れ其の大厯なり。
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『管子』輕重乙桓公曰く、「衡寡人に謂いて曰く、一農の事には、必ず一耜・一銚・一鎌・一鎒・一椎・一銍有りて、然る後に成りて農と為る。一車には必ず一斤・一鋸・一釭・一鑽・一鑿・一銶・一軻有りて、然る後に成りて車と為る。一女には必ず一刀・一錐・一箴・一鉥有りて、然る後に成りて女と為る。請う令を以て山木を斷り、山鐵を鼓せば、是れ以て籍る毋くして用足るべしと」と。管子對えて曰く、「不可なり。今徒を發して之を作らば、則ち逃亡して守らず。民を發せば、則ち下疾く上を怨む。邊竟に兵有らば、則ち宿怨を懷きて戰わず。未だ山鐡の利を見ずして内に敗るるなり。故に善き者は民と其の重を量り、其の贏を計り、民は其の十を得、君は其の三を得るに如かず。之に襍うるに輕重を以てし、之を守るに髙下を以てす、此くの若くんば、則ち民は疾く作して上の虜と為らん」と。
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『管子』地數桓公管子に問いて曰く、「今も亦た以て此を行うべきか」と。管子對えて曰く、「可なり。夫れ楚に汝・漢の金有り、齊に渠展の鹽有り、燕に遼東の煑有り。此の三つの者も、亦た以て武王の數に當つべし。十口の家は、十人鹽を咶む。百口の家は、百人鹽を咶む。凡そ鹽を食らうの數、一月に丈夫は五升と少半、婦人は三升と少半、嬰兒は二升と少半。鹽の重は、升に分耗を加えて釜に五十、升に一耗を加えて釜に百、升に十耗を加えて釜に千。君菹薪を伐り、泲水を煑て鹽と為し、正して之を積むこと三萬鍾。陽春に至らば、請う時に籍らん」と。桓公曰く、「何をか時に籍ると謂う」と。管子曰く、「陽春農事方に作る、民をして垣牆を築くを得る毋からしめ、冡墓を繕うを得る毋からしむ。丈夫は宫室を治むるを得る毋く、臺榭を立つるを得る毋し。北海の衆は庸を聚めて鹽を煑るを得る毋し。然らば、鹽の賈は必ず四十倍せん。君四十の賈を以て、河・濟の流を修め、南のかた梁・趙・宋・衛・濮陽に輸す。惡食にして鹽無ければ則ち腫る。守圉の本は、其の鹽を用うること獨り重し。君菹薪を伐り、泲水を煑て以て天下に籍らば、然らば則ち天下は減ぜざらん」と。
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『管子』海王鹽は百升にして釜なり。鹽の重きをして升に分彊を加えしむれば、釜に五十なり。升に一彊を加うれば、釜に百なり。升に二彊を加うれば、釜に二百なり。鍾に二千、十鍾に二萬、百鍾に二十萬、千鍾に二百萬。萬乗の國は、人數口を問えば千萬なり。之を禺筴すれば、商は日に二百萬、十日に二千萬、一月に六千萬。萬乗の國の正は九百萬なり。月ごとに人ごとに三十錢の籍は、錢三千萬と為る。今吾れ之を諸君吾子に籍らずして、二國の籍なる者六千萬有り。君をして令を施して『吾れ將に諸君吾子に籍らんとす』と曰わしむれば、則ち必ず囂號せん。今夫れ之に鹽の筴を給すれば、則ち百倍上に歸し、人は以て此を避くる無きは、數なり。
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『管子』輕重甲管子を召して問いて曰く、「安くんぞ此の鹽を用いて可ならん」と。管子對えて曰く、「孟春既に至り、農事且に起こらんとす。大夫は冡墓を繕い、宫室を理め、臺榭を立て、牆垣を築くを得る無からしめ、北海の衆は庸を聚めて鹽を煑るを得る無からしむ。此くの若くんば、則ち鹽は必ず坐ながらに長じて十倍せん」と。桓公曰く、「善し。事を行うこと奈何」と。管子對えて曰く、「請う令を以て之を梁・趙・宋・衛・濮陽に糶らん。彼れ盡く之を饋食す、國に鹽無ければ則ち腫る。守圉の國は、鹽を用うること獨り甚だし」と。桓公曰く、「諾」と。乃ち令を以て之を糶らしめ、成金萬一千餘斤を得。桓公管子を召して問いて曰く、「安くんぞ金を用いて可ならん」と。管子對えて曰く、「請う令を以て賀獻し正籍を出だす者をして必ず金を以てせしめよ、金は坐ながらに長じて百倍せん。金の重きを運らし、以て萬物に衡すれば、盡く君に歸せん。故に此れ所謂用うること河海に挹むが若く、之を輸ぶこと馬に給するが若し。此れ隂王の業なり」と。
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『管子』山國軌桓公曰く、「善し。吾れ軌官を立てんと欲す、之を為すこと奈何」と。管子對えて曰く、「鹽鐡の筴は、以て軌官を立つるに足る」と。桓公曰く、「奈何」と。管子對えて曰く、「龍夏の地には、黄金九千を布く。幣を以て金に貲し、巨家は金を以てし、小家は幣を以てす。岐山を周りて崢丘の西の塞丘に至る者は、山邑の田なり、幣を布きて貧富を稱りて之を調う。夀陵を周りて東のかた少沙に至る者は、中田なり、之に據るに幣を以てし、巨家は金を以てし、小家は幣を以てす。三壤已に撫すれば、而ち國榖は再び什倍す。梁・渭・陽瑣の牛馬は齊衍に滿つ、請う之を毆りて齒を顛べ、其の髙壯を量らん。曰く、『國師旅を為し、戰車もて敺せて子の牛馬を歛めんとす。上に幣無し、請う榖を以て市の擴を視て子の牛馬に庚え、上粟を二家と為さん』と。二家其の粟を散ずれば、准に反り、牛馬は上に歸す」と。