管子 / 白心
難言憲術,須同而出。無益言,無損言,近可以免。故曰:知何知乎?謀何謀乎?審而出者彼自來。自知曰稽,知人曰濟。知茍適,可為天下周。内固之一,可為長久,論而用之,可以為天下王。天之視而精,四璧而知請。壤土而與生,能若夫風與波乎?唯其所欲適。故子而代其父曰義也,臣而代其君曰簒也。簒何能歌?武王是也。故曰:孰能去辯與巧,而還與衆人同道?故曰:思索精者明益衰,德行脩者王道狹,臥名利者寫生危。知周於六合之内者,吾知生之有為阻也。持而滿之,乃其殆也。名滿於天下,不若其已也。名進而身退,天之道也。滿盛之國,不可以仕任。滿盛之家,不可以嫁子。驕倨傲㬥之人,不可與交。
新字:難言憲術,須同而出。無益言,無損言,近可以免。故曰:知何知乎?謀何謀乎?審而出者彼自来。自知曰稽,知人曰済。知苟適,可為天下周。内固之一,可為長久,論而用之,可以為天下王。天之視而精,四璧而知請。壤土而与生,能若夫風与波乎?唯其所欲適。故子而代其父曰義也,臣而代其君曰簒也。簒何能歌?武王是也。故曰:孰能去弁与巧,而還与衆人同道?故曰:思索精者明益衰,徳行脩者王道狭,臥名利者写生危。知周於六合之内者,吾知生之有為阻也。持而満之,乃其殆也。名満於天下,不若其已也。名進而身退,天之道也。満盛之国,不可以仕任。満盛之家,不可以嫁子。驕倨傲㬥之人,不可与交。
書き下し
憲術を言い難きは、同を須ちて出づ。益す言無く、損ずる言無くんば、近ごろ以て免る可し。故に曰く、何をか知ると知らんや、何をか謀ると謀らんや。審らかにして出づる者は彼自ら來たる。自ら知る、稽と曰う。人を知る、濟と曰う。知苟しくも適えば、天下の周と為す可し。内固まりて之を一にすれば、長久と為す可し。論じて之を用うれば、以て天下の王と為す可し。天は視て精なり、四璧にして請を知る。壤土にして與に生ず、能く夫の風と波との若きか。唯だ其の適かんと欲する所なり。故に子にして其の父に代わる、義と曰うなり。臣にして其の君に代わる、簒と曰うなり。簒何ぞ能く歌わん。武王是れなり。故に曰く、孰か能く辯と巧とを去りて、還りて衆人と道を同じくせんやと。故に曰く、思索精なる者は明益々衰え、德行脩まる者は王道狹く、名利に臥す者は生を寫して危うしと。周く六合の内を知る者は、吾生の為に阻まるる有るを知るなり。持して之を滿たすは、乃ち其れ殆うきなり。名の天下に滿つるは、其の已むに若かざるなり。名進みて身退くは、天の道なり。滿盛の國は、以て仕任す可からず。滿盛の家は、以て子を嫁がしむ可からず。驕倨傲㬥の人は、與に交わる可からず。
現代語訳
法や術のことは言いにくく、同じ気持ちが揃うのを待って口に出す。足す言葉もなく減らす言葉もなければ、当面は免れられる。だから言う、何を知ることを知だといい、何をはかることを謀というのか、と。よく見きわめてから出す者には、向こうから来る。自分を知ることを稽といい、人を知ることを済という。知ることがぴたりと合えば、天下のめぐりとできる。内が固まって一つになれば、長く続けられる。論じて用いれば、天下の王となれる。天は見ることに精しく、四方の壁のように囲んでいて願いを知る。土は物とともに生む。風と波のようにできるか。ただ行きたいところへ行くだけである。子が父に代わるのを義といい、臣が君に代わるのを簒という。簒がどうして歌えよう。武王がそれである。だから言う、誰が弁舌と巧みさを捨てて、ふつうの人と同じ道に戻れようか、と。だから言う、思索が細かい者は明るさがますます衰え、徳行が修まる者は王の道が狭くなり、名と利に寝そべる者は命をすり減らして危うい、と。天地四方をあまねく知る者は、生きるうえで阻まれることがあると知っている。手に持って満たすのは、危ういことである。名が天下に満ちるのは、やめておくに越したことがない。名が進んで身が退くのが、天の道である。満ち盛っている国では、仕えて任を受けてはならない。満ち盛っている家には、子を嫁がせてはならない。驕り高ぶって乱暴な人とは、交わってはならない。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『驢鞍橋』卷下一日、去る者来て曰く、何某和尚は、道者と云はれ給ふか、又此頃は悪名世間に語り伝ふと云ふ。師聞て曰く、左も無くして、人に道者と貴はれたる咎遁れ難かるへし。天道是れを許さんや。夫れほど又世間に耻を曝らして、その報ひを返さで叶はす。或は機違ひ、或は死苦病苦强かるへし。総じて徳無くして人に貴はるゝ程の咎なし。又曰く、天然と通力抔有り、奇特の業を作す性は、悪の性、化物性也。たとひ通有りとも、一悪をも断替かする為めにも成るへからす、心は人に易らすして人に貴はるゝこと、大なる咎也。
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『驢鞍橋』卷上一日或る俗来て曰く、承り及ふ故に是れ迄伺候仕る、一句示し給へ。師曰く、一人虚を伝ふれば、万人実と伝ふとて何者かおどけ者有りて、正三こそ名誉者なれ抔といへば、末々に聞き伝へ、扨は空をも翅り、光をも放つか抔と思ひ、正三見物に来り、変も無き老人なるを見て、皆興を醒さるゝ也。誠に我何の変もなき土禅門也。只死度くも無き間、何とぞして殺さるゝ事有りとも、何とも思はす、頸を指出して自由に死ぬ程に成りたさに修する也。されとも死は置いて餓鬼畜生を出でぬ也。是れを出度く思ふ心は、何とも思はず居る者には增さるへき歟。別に人に增りたる事無し。其方も聞かんと思はゝ一向のしろうとに成りめさるへし。彼者、秘し給ふと思ひ弥示し給へと云ふ。師曰く、我仏法の能き事を知らず、只我悪敷事を能く知りたる也。我友に成り、出入めされば、何時も我処に有る餓鬼畜生を懺悔して聞かせ申すべし。実に是の外によき事を知らず、ひげして云ふかと思ひめされんずな。無間に沈むほうぞ知らぬ也。
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『童子問』卷下問ふ、中庸は声名の蛮貊に施き及ぶを以て、夫子の盛徳の験と為す。然れども仏・老子の名も亦然り。独り孔子のみならず。仏の称号に至りては、益々熾んなり。此の方には固より老子の宮無し。然れども漢土に在りては、道観と仏寺と相埒し。則ち其の盛んなること知るべし、と。曰く、怪を好みて常を好まず、奇を喜びて正を喜ばざるは、天下古今の通患にして、人人皆然り。道士は多く禅説を仮借し、又人の為に醮祭祈禱す。其の陋知るべし。仏者は荘厳を務め、誇大を好み、専ら伝灯を以て要と為す。愚民を蠱惑し、賢智を誘入し、周羅綱繆して、至らざる所無し。蓋し其の法の或いは断絶し、其の教への或いは至らざる所有らんことを懼るるなり。此れ其の声名の盛んなる所以なり。夫子の若きは、則ち然らず。子貢曰く、夫子は温良恭倹譲以て之を得たり、と。蓋し五者は己を謙りて人に下り、外を願はざるの事にして、仏老の荘厳を務め誇大を好むと異なれり。蓋し夫子の教へは、天地自然の道理にして、人心に根ざし、風俗に徹し、時として然らざる無く、処として在らざる無し。故に荘厳を務めず、誇大を好まずして、其の声名赫赫として、蛮貊に施き及ぶ。此れ其の大なる所以なり。苟も真に夫子の道の徳の大、実に堯舜より賢りて、生民以来未だ嘗て有らざるの盛んなるを知らば、則ち汝の宇宙を眼空するを許さん、と。童子曰く、大なるかな言や。始めて未だ嘗て聞かざる所を聞くことを得たり。何の幸ひか之に如かん、と。衽を斂めて退く。
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