管子 / 侈靡
「請問形有時而變乎?」對曰:「隂陽之分定,則甘苦之草生也。從其宜,則酸醎和焉,而形色定焉,以為聲樂。夫隂陽進退滿虛亾,時其散合可以視嵗。唯聖人不為嵗,能知滿虚奪餘滿,補不足,以通政事,以贍民常。地之變氣,應其所出。水之變氣,應之以精,受之以豫。天之變氣,應之以正。且夫天地精氣有五,不必為沮,其亟而反其重陔,動毁之進退即此,數之難得者也。此形之時變也。」
新字:「請問形有時而変乎?」対曰:「陰陽之分定,則甘苦之草生也。従其宜,則酸醎和焉,而形色定焉,以為声楽。夫陰陽進退満虚亾,時其散合可以視歳。唯聖人不為歳,能知満虚奪余満,補不足,以通政事,以贍民常。地之変気,応其所出。水之変気,応之以精,受之以予。天之変気,応之以正。且夫天地精気有五,不必為沮,其亟而反其重陔,動毁之進退即此,数之難得者也。此形之時変也。」
書き下し
「請う問う、形に時ありて變ずるか」と。對えて曰く、「隂陽の分定まれば、則ち甘苦の草生ずるなり。其の宜しきに從えば、則ち酸醎和し、而して形色定まり、以て聲樂と為す。夫れ隂陽の進退滿虚亡は、其の散合を時にして以て嵗を視る可し。唯だ聖人のみ嵗を為さず、能く滿虚を知りて餘滿を奪い、不足を補い、以て政事を通じ、以て民の常を贍す。地の變氣は、其の出づる所に應ず。水の變氣は、之に應ずるに精を以てし、之を受くるに豫を以てす。天の變氣は、之に應ずるに正を以てす。且つ夫れ天地の精氣に五有り、必ずしも沮と為らず、其の亟にして其の重陔に反り、動毁の進退即ち此れ、數の得難き者なり。此れ形の時變なり」と。
現代語訳
形は時によって変わるのか。答えた。陰と陽の分かれ目が定まれば、甘い草も苦い草も生える。それぞれの宜しさに従えば、酸いも塩辛いも和らぎ、形と色が定まって、音と楽になる。陰と陽の進退と満ち欠けと消滅は、その散り合わさる時を見れば年のめぐりが分かる。ただ聖人だけは年に振り回されず、満と虚を知って余った満を取り、足りないところを補い、それによって政を通し、民のふだんを満たす。地の気の変わりは、それが出てくるところに応じる。水の気の変わりには、精をもって応え、あらかじめ備えて受ける。天の気の変わりには、正しさをもって応える。天地の精気には五つあって、必ずしも塞がりにはならない。速く動いて幾重にも返る。その動きと崩れの進み退きがまさにこれで、数として掴みにくいところである。これが形の時による変わり方である。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『管子』侈靡方ならざるの政は、以て國を為む可からず。曲静の言は、以て道と為す可からず。時を政に節すれば、時と往くなり。動かざるを以て道と為し、齊しきを以て行と為す。世を避くるの道は、以て進取す可からず。陽なる者は謀を進め、幾なる者は感に應ず。再びして殺げば則ち齊し、然る後に運らす、請う可きなり。對えて曰く、「夫れ謀を運らす者は、天地の虚滿なり。合離なり、春秋冬夏の勝つなり。然る後に强弱の尤とする所を知る有り、然る後に諸侯に應じて交を取る。故に安危を知るは、國の存する所なり。時を以て天に事え、天を以て神に事え、神を以て鬼に事う。故に國罪無くして君壽く、而して民智を殺がず、謀を運らして刃を櫜に雜う。其の滿は感と為り、其の虚は亡と為る。滿虚の合は、時有りて實と為り、時ありて動と為る。地陽時に貸し、其の冬厚ければ則ち夏熱く、其の陽厚ければ則ち隂寒し。是の故に王者は日至に謹む。故に虚滿の在る所を知りて以て政令を為し、已に殺生し、其の合して未だ散ぜざるは、以て事を決す可し。將に合わんとするは以て禺す可く、其の行に隨いて以て兵と為す。其の多少を分かちて、以て曲政と為す」と。
-
『管子』四時管子曰く、令に時有り、時無ければ則ち必ず天の來たる所以に順うを視よ。五漫漫、六惽惽、孰か之を知らんや。唯だ聖人のみ四時を知る。四時を知らざれば、乃ち國の基を失う。五榖の故を知らざれば、國家乃ち路せん。故に天は信明と曰い、地は信聖と曰い、四時は正と曰う。其の王信明聖なれば、其の臣乃ち正し。何を以て其の王の信明信聖なるを知るや。曰く、慎みて能を使い、而して善く聽きて之を信ず。能を使う、之を明と謂い、聽き信ずる、之を聖と謂う。信明聖なる者は、皆な天賞を受け、能わざるを使いて惽惽と為して忘るる者は、皆な天禍を受く。是の故に上成事を見て功を貴べば、則ち民の事は接し、勞して謀らず。上功を見て賤しめば、則ち人の下と為る者は直にして、人の上と為る者は驕る。是の故に隂陽なる者は、天地の大理なり。四時なる者は、隂陽の大經なり。刑德なる者は、四時の合なり。刑德時に合すれば則ち福を生じ、詭なれば則ち禍を生ず。
-
『管子』四時是の故に春に凋み、秋に榮え、冬に雷あり、夏に霜雪有るは、此れ皆な氣の賊なり。刑德節を易え、次を失えば則ち賊氣遫やかに至り、賊氣遫やかに至れば則ち國に菑殃多し。是の故に聖王は時に務めて政を焉に寄せ、敎を作して武を寄せ、祀を作して德を寄す。此の三者は、聖王の天地の行に合する所以なり。日は陽を掌り、月は隂を掌り、星は和を掌る。陽は德と為り、隂は刑と為り、和は事と為る。是の故に日食すれば則ち德を失うの國之を惡み、月食すれば則ち刑を失うの國之を惡み、彗星見るれば則ち和を失うの國之を惡み、風と日と明を爭えば則ち生を失うの國之を惡む。是の故に聖王は日食すれば則ち德を脩め、月食すれば則ち刑を脩め、彗星見るれば則ち和を脩め、風と日と明を爭えば則ち生を脩む。此の四者は、聖王の天地の誅を免るる所以なり。信に能く之を行えば、五榖蕃息し、六畜殖えて甲兵强し。治積もれば則ち昌え、㬥虐積もれば則ち亡ぶ。
-
『管子』勢逆節萌生し、天地未だ形せざるに先んじて之が政を為さば、其の事乃ち成らず、繆りて其の刑を受く。天は人に因り、聖人は天に因る。天時作らざれば、客と為る勿かれ。人事起こらざれば、始と為る勿かれ。其の衆を慕和して、以て天地の從を脩む。人先ず之を生じ、天地之を刑し、聖人之を成せば、則ち天と極を同じくす。正静にして爭わず、動作貳ならず、素質留まらざれば、地と極を同じくす。未だ天極を得ざれば、則ち德に隱る。已に天極を得れば、則ち其の力を致す。既に其の功を成さば、順いて其の從を守り、人代わる能わず。功を成すの道は、贏縮を寶と為す。天極を亡う毋かれ、數を究めて止まる。事若し未だ成らずんば、其の形を改むる毋かれ、其の始を失う毋かれ。民を静かにして時を觀、令を待ちて起こる。故に曰く、隂陽の從を脩めて、天地の常を道とすと。贏贏縮縮、因りて當と為す。死死生生、天地の形に因る。天地の形は、聖人之を成す。小しく取る者は小しく利あり、大いに取る者は大いに利あり、盡く之を行う者は天下を有つ。
-
『管子』侈靡問う、「運の合滿は安くにか臧す」と。「二十歳にして廣む可く、十二歳にして聶廣し、百歳にして神を傷る。周・鄭の禮移れり。則ち周律廢れ、則ち中國の草木通ぜざるの野に移る者有り。然らば則ち人君の聲服變ぜり、則ち臣に依駟の祿有り。婦人政を為し、鐵の重き旅金に反る。而して聲は下曲を好み、食は醎苦を好めば、則ち人君日に退く。亟やかなれば則ち谿陵山谷の神の祭更に應じ、國の稱號も亦た更まる。之を視るに亦た變じ、之を觀るに風氣あり。古の祭は時有りて星し、時有りて星熺し、時有りて熰し、時有りて朐す。鼠は廣の實に應ず、隂陽の數なり。華落の名の若きは、祭の號なり。是の故に天子の國を為むるや、其の樹物を圖具するなり」と。
-
『管子』侈靡法制度量は、王者の典器なり。故を執り義を道とするは、變を畏るればなり。天地は夫の神の動くが若く、化變する者なり。天地の極なり、能く化と與に起こりて王之を用うれば、則ち以て山に道す可からず。仁者は善く用い、智者は善く用う、其の人に非ざれば則ち神と與に往くなり。衣食の人に於けるや、以て一日も違う可からざるなり。親戚は以て時に大にす可きなり。是の故に聖人は萬民、艱處して焉に立つ。