韓非子 / 飭令第五十三
重刑少賞,上愛民,民死賞;多賞輕刑,上不愛民,民不死賞。利出一空者,其國無敵;利出二空者,其兵半用;利出十空者,民不守。
新字:重刑少賞,上愛民,民死賞;多賞軽刑,上不愛民,民不死賞。利出一空者,其国無敵;利出二空者,其兵半用;利出十空者,民不守。
書き下し
利一空より出づるときは、其の國敵無く、利二空より出づるときは、其の兵半ば用いられ、利十空より出づるときは、民守らず。
現代語訳
利益が一つの窓口から出るときはその国に敵はなく、二つの窓口から出るときはその兵力は半ばしか用いられず、十の窓口から出るときは民は国を守らない。
解説
褒美や評価が生まれる出どころは、一つの筋道にまとめておかなければなりません。もし複数の上役や派閥、裏で人を優遇できる者がそれぞれ勝手に褒美を与えるようになれば、下の者は誰の言うことを聞けばよいのか分からなくなり、まとまりを失って崩れていきます。会社で言えば、正式な評価の仕組みとは別に、特定の上司に気に入られると得をするような裏の道ができてしまうと、社員は本来の仕事より社内の駆け引きに力を注ぐようになります。家庭でも、両親の言うことがばらばらで、それぞれが違う基準でご褒美を与えていれば、子どもはどちらの顔色をうかがえばよいか迷ってしまいます。褒美や評価の出どころを一本化することが、まとまりを保つ土台なのです。
この章句が説くこと
評価の一元化指揮命令系統ワンボイス権限ガバナンス
関連する章句
-
『韓非子』外儲説右下第三十五一。賞罰共にすれば則ち禁令行はれず。何を以て之を明らかにする。之を明らかにするに造父・於期を以てす。
-
十七条憲法 第十二条国司(こくし)国造(くにのみやつこ)、百姓(ひゃくせい)に斂(おさ)めとること勿(な)かれ。国に二君(にくん)無(な)く、民(たみ)に両主(りょうしゅ)無(な)し。率土(そっと)の兆民(ちょうみん)は、王(きみ)を以(もっ)て主(あるじ)と為(な)す。任(にん)ずる所(ところ)の官司(かんし)は、皆(みな)是(こ)れ王の臣(しん)なり。何(なん)ぞ敢(あ)えて公(きみ)と与(とも)に、百姓に賦斂(ふれん)せん。
-
『韓非子』八經第四十八臣主の異利を知る者は王たり、以て同じと爲す者は劫かされ、與に事を共にする者は殺さる。
-
『十七条憲法』第三条三に曰わく、詔(みことのり)を承(うけたまわ)りては必ず謹(つつし)め。君をば則(すなわ)ち天と為(し)、臣をば則ち地と為(せ)よ。天は覆(おお)い地は載(の)せ、四時(しいじ)順(したが)い行(めぐ)り、萬気(ばんき)通(かよ)うことを得。地、天を覆わんと欲(ほっ)すれば、則ち其れ懐(やぶ)るることを致(いた)す。是(ここ)を以て、君言(の)れば臣承る。上(かみ)行(おこな)えば下(しも)靡(なび)く。故に詔を承りては必ず慎め。謹まずんば自(おのずか)ら敗れん。
-
『韓非子』八説第四十七明主の國には、貴臣有りて、重臣無し。貴臣なる者は、爵尊くして官大なるなり。重臣なる者は、言聽かれて力多き者なり。
-
論語・陽貨篇子路曰く、「君子は勇を尚ぶか。」子曰く、「君子は義以て上と為す。君子勇有りて義無ければ乱を為し、小人勇有りて義無ければ盗を為す。」
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る